「猟罪図鑑~見えない肖像画~」
警察学校の美術教官・沈翊(シェン・イー)は、その並外れた観察眼によって生み出される、“容疑者の似顔絵”を描く能力を買われ、似顔絵捜査官として北江分局の刑警隊(※刑事警察隊)のメンバーに加わる。
そこで隊長である杜城(ドゥー・チョン)とバディを組むことになるが、二人には浅からぬ因縁があった。杜城は7年前、敬愛する上司を殺され、沈翊はその事件に間接的に関わっていたのだ。
どんな顔でも情報さえあれば推察で描ける能力を持つ沈翊だが、当時その目で見たはずの容疑者の似顔絵だけはずっと描けずにいた。その後、7年前の事件が沈翊の心にも影響を及ぼしていたことを知る杜城。
数々の事件を共に解決していくうちに、二人の関係は徐々に変化していく。そして新たに発生した事件の捜査を進めていくと、7年前の容疑者の影が見え隠れし始め…。
2022年 猎罪图鉴
感想
檀健次の正しい使い方をわかってる感すごい。今回はいい意味で、配役って本当に大切。現代劇で社会問題を描いちゃったよ…。ひやひやしたわー。最後まで出せて、本当に良かった。十分にヒットしたけど、ヒットしすぎてはいないようなので、今後ともキャストにもスタッフにも会社にも悪いことがないと思う。第二季待ってる。
絵画が一つのテーマなのもあり、いろんなところで絵柄がすごく綺麗。とはいえ、最近の于正のインスタ映えを目指してそうな淡いパステルカラーのような作り方ではなくて、構図とか、色の配置とか。
猎という簡体字は、日本語だと猟。なのでこのタイトルを日本語の文字に置き換えると「猟罪図鑑」。なので、日本の題名はそのまんま持ってきてくれて感謝してる。
辞書的には「猎罪」って単語は見つからなかったので、そのまんま、犯罪者を捕まえた図鑑ってことですかね。と思ってたんだけど、本作の犯罪は実に後味の悪いものが多くて、犯罪者として刑事罰を受ける人は本当にこの「事件」の加害者ですか?被害者の乾坤一擲ですよね?的なものが結構ある。
ご本人が興味本位で引き受けたのではなかろうか(昔、顔で売ろうとして失敗したと言っていたので、今、顔で売って過去にリベンジ的な?)と思う、「今夕何夕」に、「骊歌行」では、役がこの人の良さを引き出すものではなかったよね。
本作ではところどころに「あらイケメンね」みたいなことを言っていく人たちもいるんだが、それは客観的な事実として指摘するだけで、そこに何かあるわけではない(今の所)。
日本に持ってきてほしいは欲しいのだけど、本作はイケメン売りもしていなければ、作品そのものがブロマンスでもないのよ。本当に硬派な作品なんだけど。ブロマンス解釈ができなくはないんだけど、BLどころかブロマンスでもない。キャラクター二人とも恋愛に興味なしという感じなので、無茶苦茶なブロマンス消費のされ方をするのはなんか嫌なんだな。(あれ?姉さんBL大好き人間なんだけど…)
檀健次の出演作が、アプリケーションでプッシュされることはあっても、ご本人が出てくることはなかった。けど本作では主演&主題歌歌ってて、健次が猛プッシュされてるよ。初主演作だ…。本来、初主演作は烽火流金(殺破狼)のはずだったけど、山河令のあおりを食らってお蔵入りもしくは大幅に編集されて出て来そうなので、無事に一作出て来て安心です。
ここのところ、私が中国の犯罪捜査系のドラマを見ていたのは、本作のためです。中国ドラマのストーリー展開に慣れたかったというかなんというか。年がら年中頭の軽い「白狐」みたいなのが見たい人なのにな。
「迷雾剧场」シリーズの一つと思っていたら、そういうわけでもないらしく。爱奇艺のみならず騰訊でも見られるんだけど、本国アプリ二つからはジオブロされて、iq.comで見られます。3月中にVIPなら全話が公開されるのでさっさと一ヶ月間の課金だ、課金。推しに課金するのに一ヶ月680円なので、ためらうことはない。iq.comは途中で「洛陽」みたいにVIPのみにすることもあったから、さっさとVIPにすべし。ただ、国際版は本国版よりも高いからサブスク契約は切って、その都度買います。切り方はこの記事の真ん中あたりに書いた。中華VODアプリで楽しむ。日本のApple IDから支払ってる。
撮影時期は2021年の3月から5月なので、本当に365日目に公開開始。撮影場所は廈門で、くすんだ空がきっと黄砂だなって。开端でトラックの荷台に乗ってた道っぽい道があったり、开端のあの街だーって思った。开端の撮影時期は冬から春じゃなさそう。
端的に言って「健次の使い方がわかってる」「私はこういう健次が見たかった」が現代劇で実現されてて、なんかすごい。
编剧の贾东岩さんが、我就是演员にいて、第一季は(かなり呉秀波がドライブしていたのか)軍師連盟組がたくさんいたのだけど、そこからのご縁で健次を本作にキャスティングしたのだ中国のファンが書いていたし。健次の持ち味をうまく活かせる使い方をよーく知っている人が多分(それも複数)このチームにおられるんじゃなかろうかと。
沈翊ちゃんのキャラは一部分ぶっ壊れてる感が拭えないのだけど、壊されていった感のある機密の曹丕ちゃんよりも、軍師連盟の司馬昭ちゃん的なナチュラルボーンクレイジーだったところ絵の師匠に出会い、七年前の事件で強く学習した結果という感じがしてる。
とはいえ、中盤まで来て全部被害者(=刑事事件としては加害者のことがある)が、全員女性(ボーイッシュ女子含む)というのは…。「男性」が「男性」であることが罪的な何かを、男性コンビでやるのか…。それが現代中国だなあと思った。西洋的なマチズモとは完全に切り離されているというか。15集で見たように、二人とも性的なものというか、女性に興味がないコンビ。さらに、「警察」というホモソーシャルだろう集団を描きながら、ホモソーシャルさとは無縁。
すごく新鮮でした。
お話は。
北江市の警察学校(?)絵の描き方を教えていた沈翊は、ようやく念願の捜査に加わることができるようになった。与えられた406号室には因縁がある。7年前、絵を描いていた沈翊に女が幼児の写真を持って来て「この子が35歳になったときの絵を描いて」と言われた。書き上げたが、実はそれは雷刑事の顔で、雷刑事は死んでしまう。今捜査隊を率いる杜城は雷刑事の元コンビ(師弟関係?)で、7年前に沈翊の取り調べを行ったので、沈翊が加わることに大反対。
というところで始まる。杜城のチーム(ワンワン隊)の中に沈翊が入るわけ。沈翊一人が身長がガクっと低いのもあって、仔犬っぽさがある。中国では子猫的に扱われてるけど、ご本人に猫っぽさがなくて、犬だよね、あの人。スマホの大きさで見ると仔犬なんだけど、ブラウザで見ると喫煙者っぽい不健康そうな肌色と、年齢なりの汚肌で30代男性だった。仕方がない。健次はもともとニキビ肌だったっぽいので。
何はともあれ、杜城の沈翊へのほだされ方など、「HIStory3 圏套~ラブ・トラップ」よりよっぽどいい感じの…に見えちゃうのだ。
7年前の事件が杜城と沈翊二人の間のしこりであって、特に沈翊の人生を変えた出来事でもあって、という感じ。別に肉体関係を持つ必要はないんだよな、BLって。
杜城(すごくいい人というか本当に犬っぽい)が上司に命じられてチームに入れるのに「あのガキを見張ってやる!」と影で言ってるし、敵意も隠さないのに、仔犬(沈翊)は杜城の車の助手席で眠りこける始末。無防備…で、結構あっさりと絆される杜城、大丈夫か?
一応、法医学者役の張柏嘉さんの名前が二番目に出ていて健次とダブル主演っぽくしてある割にまだほとんど出てこない。ワンワン隊の隊長の杜城役の金世佳を二番目に持ってくるとヒロイン枠になっちゃうので、このご時世では出せないということで、一応二番目に出しておいた感が気の毒。沈翊をズタボロにするファムファタールになるんですかね?あそこから?
沈翊のことを「あの子は7年前には利用されただけなのよ」とかばってくれる張局長を演じるのが秦海璐。かくれんぼの不穏な女優さんだったのが強烈なせいで、いるだけで不穏。
沈翊が入って来て「かっこいい!」って言ってた女の子が軍師連盟で司馬昭にXされた陸妍淇さんだし(今回も痞子英雄みたいに後半にXされそうなキャラなので、すごく不穏)、沈翊が飼っているのが亀だし。とにかく軍師連盟で300日間ずっと健次と仕事をした人がいるんじゃないかと思った。
謎。
あの亀は美容整形外科医のところから持って来たの?白猫も美術教師のところから持ってくるの?
以下ネタバレのある感想文だから、気をつけて
お国柄仕方がないとはいえ、たまにあるお説教がいらねえ。
全20集で。
3集の半ばで一つ目の事件(美容整形外科医殺し)が終わった。沈翊によるキュリー夫人を引用したお説教があって超面倒くせえ。お前は裁判官かよ、みたいな。中国は勧善懲悪で犯人は反省しないとならないのが前提らしいんで、仕方がない。さらに健次ご本人がそもそも優等生で模範的な人民だから。私のような日本生まれで日本育ちのくせに中国ドラマを中国語で見ようというひねくれ者とは違うんだよなあ。その割に沈翊は過去に闇落ちしてるっぽいんだけど、あれは反抗期の少年の表現でしょうかね。
二つ目の事件は3集の半ばで10年前に失踪した美術班(高校の美術クラス?)の女の子の遺体が見つかった事件だけど、当時同級生だった美術教師が劉美彤に見えるのだが??と思ったら、やっぱりそうだった。いつものツンケンしたお嬢さまよりも良いじゃん。高校時代も自分で演じていて、この人痩せてて骨ばってて背が高くて、少年体系だったのかー!。7年前に沈翊はこの北江市にいるので、10年前にもいると思うんだよ。違う高校としても、あれだけ絵が上手いと美術教師になれるような人ですよ。年齢の近い人同士なら…少なくとも片方が片方を一方的に名前くらいは聞いていると思うんだが…。大学進学で沈翊がこの北江市に来たなら、今度は母校に戻ってくるような美術教師って、多分この北江市から出てないと思うんですよ。と思ったら、大学は別のところに行ってるようだし、沈翊はストリートの画家だったらしいんで、接点はないか。
三つ目は5集のごく最後からの開始。昔の殺人事件が蒸し返されて…という話。死刑囚もいるような刑務所(日本では死刑囚は拘置所にいるよ!)からタクシー(か滴滴?)に乗ったら、うっかりとやばい人の車で誘拐される沈翊、杜城が飛んでいくwwwなんかもう健次の使い方がよくわかってる感じで。うっかり拉致られて縛り上げられて水(廈門なら海?)に突き落とされて救われるとか、なんですか。ストーリー上警察官を拉致って縛り上げて水に突き落とす必要があるかなんかよくわからなくて、ただただ、みんなが見たいものを見せてる感すごいんだけど。…好き。
四つ目は7集からで女の子の誘拐事件。ただ、7集と8集のポイントは、7年前の事件のことで。6集で突き落とされて女のことを思い出し始めて、沈翊は女のことを思い出そうとしているというのが、メイン。杜城はふざけた絵描きのガキだった沈翊に「お前の絵のせいで警官が死んだんだぞ。いい警官だったんだ」と詰め寄って、沈翊は女の絵が描けず、沈翊は芸術を捨て、良いことに自分の能力を使おうと思った、という話だったみたいだけども。沈翊はただのイキったガキでしかなかったのか、残念だ。むしろ現在がイキリから闇落ちして陽転してる感じなんですかね??だって、沈翊の7年前の絵を描いていた頃の目つきが、闇落ちしてるときの機密の曹丕ちゃんみたいな雰囲気だったので、とってもいい感じだったのに。なぜ一人で闇落ちしているのか不明だったけどさ。連れていた女(どうも絵の師匠のところで知り合ったっぽい)がファニーフェイス系というのも、ストリートな感じ。でも7年前のファッションは、ご本人の私服っぽさがあって、フードをかぶっちゃうところもご本人プレゼンツっぽくて良い。(MICの人たちとか、符龍飛あたりとつるんでるときにはあんな感じで出てきて、みんなで年越しを楽しみましたという写真は悪いことをしてそうな集団っぽかったもん。一応、ヒップホップ系でデビューしてるし…)
しかしながら、何が良かったかって、あっさりと女に海に蹴り込まれるのよ、7年前のストリート系の沈翊ちゃん。ほんと、見たいものを見せてくれる感じ。好き。
五つ目が、9集から。とある女の子の父親が失踪したという話だが…。「あの女」に会っていたのか!という事件なのだけどね。(例の事件を思い出すために)プールで溺れるまでやりたいと飛び込んでいく沈翊とか。一応、身分は刑事なもので、似顔絵師に銃をwww持たせるがwww。杜城が完全に保護者目線で、大丈夫か、杜城。とまあ、事件ではなくて、この二人に目がいってしまうわけですよ、私。
六つ目が、11集の途中から。とあるDV男が殺されたのだが…。という事件。女が生き延びるためのシスターフッドに気づくのが、アルテミジア・ジェレティンスキの「ホロフェルネスの首を斬るユディト」の絵の解説をしているときというのは、沈翊…。授業をすっぽかされる学生の身にもなってくれ。
七つ目が、12集の終わりから。幻覚剤を飲まされてレイプされた女の子の証言で出てきた奇妙な絵で…。と言う事件。レイプ犯が複数いることがわかったが、さらにもう一つ…。
八つ目が、13集の半ばから。AI合成のオレオレ詐欺。沈翊の絵の師匠が被害者になっていて…というところから始まる。師匠の元に、燃やしたはずの沈翊の絵がある。金に困って、沈翊の絵の贋作を売っていたのではないかという疑惑がうまれた。その裏には、AI合成した息子の顔による、オレオレ詐欺がある。という、現代中国ってそうなんだ!過去の話が明らかになるけれど、沈翊も家庭的にはどうも恵まれなくて、虞犯少年になりかけていたところを、師匠が拾ったらしい。しかし15集冒頭のアレは、ナチュラルボーンクレイジーすぎて、司馬昭ちゃん、曹丕ちゃんを超えるような気がする。最後にびびってたけど、司馬昭ちゃんならにったーって笑いそうだし、曹丕ちゃんなら呆然としてそうだし、沈翊ちゃんは、司馬昭ちゃんが「ここは笑ってはいけない、ぶるぶると震えるべきだ」と学習した感すごい。
ほんと、健次が演じるべき役で、これは健次じゃないと演じられないと思う。
で、この犯罪はオレオレ詐欺なので女性が犯人設定もできなくはないと思うんだけど、やっぱり男性で。
九つ目が、15集初め過ぎてから。なんかBL小説を改変したドラマでしたっけ?というくらい距離が近くなっていくんですが。「俺たち友達だろ?」は「朋友」を使ってたけど「知己」を使ってたらもう確定ですね。隠語になってしまってるから。あの単語。杜城は気の乗らないお見合いまでしてるけれど、相手のモデルさんの目的は「優秀な警官」と知り合いたかった。ということで、このモデルさんの写真がくりぬかれるという気味の悪い事件に関して。なんかこれは、あの、なんというか、沈翊と杜城の距離感を近づけるためのお話でしたの?ここも男性性が罪。
杜城姉が出てくるのだけど、いいところのお嬢さまがいいところの奥さまに収まった感があったんだが。あの、杜城は虞犯少年だったんだが、両親が多忙でほったらかされたお坊ちゃんが荒れていたという設定?
十個目が、16集目の冒頭から。連続爆破事件。八つ目と九つ目の事件がなんかテイストが異なっていたのが戻ってきたけれど、沈翊と杜城の距離感が変。手を繋いでるんですけど…。公式に犬(杜城)と猫(沈翊)でCPにして遊んでる感があって、あれ、今2020年くらいでしたっけ?山河令の後からCP禁止が出たと思ってたんですが…。大丈夫?18集の頭からの解決シーンはやっぱり、沈翊は司馬昭的ナチュラルボーンクレイジーがぶるぶる震えてみせているように見えた。本当に怖くて怖くてたまらないという演技とは違う気がして。(健次は「怖くてたまらない」と「ここは怖くてたまらないとブルブル震えるべきであると学習した人」くらい演じ分けると思う…)
十一個目が、最後の事件。18集からのMの死体が発見された事件。しかも被疑者は…。15集のパーティーで出てきた男がやはり出てくるのだが、今度は情報セキュリティ問題。一つの会社が市民のほぼ全ての情報を握っていいの?無料という名で何を目的にしているの?という話があり、それを現代中国でやるの!?とびっくり仰天。最後はエンディングにも使うシーンだけど、制服ではない私服刑事が、制服で揃い踏み。そこからの赤色って…これは結婚式でした?状態で、警察署に飾られる絵もウェディングアートにしか見えない。結婚…しましたよね…。
何を見ていたのだろうか…
猟罪図鑑Ⅱ
撮影が終わって、かなりあっさりと検閲を通ってさっさと出ました。通ったらさっさと出す、それが大切。
猎罪图鉴2 2024年
そういえば、健次は「続編」への出演は初めてでしたっけ。すごく近くてすごく遠いのだという沈翊には、「三年ぶりに古い友達に会ったようだ」と言ってた。脚本家が変わってるのでどうなるかな…とちょっと不安ではあった。ただ、蓋を開けてみると、1が「男性性という罪」だったのが、もう少しバラエティ豊かな犯罪になり、社会の問題点を描いてるかな?と思ったり。そして、裁判官の訓諭かよ?みたいな、犯人へのお説教が減った。
沈翊の家が変わってると思う。お引越ししたようで。そして目覚ましは杜城の声…「沈翊、起きろ」。コンビがどうみてもバディではなくてご夫夫(ふうふ)。ただし、シーズン1とシーズン2の間にあったらしい赤いスカートの女の子の事件が引っかかってる。
第一集と第二集は、TBBTという4人組アイドルのうち3人が本番前に死亡した事件。芸能活動と薬物は、薬物に大変厳しい中国ですら密接なんですね…あと「君は千万の中の一人でしかない。アイドルの方は演技してるんだよ」というのは本気で言ってない?(特に沈翊以来、夢女子が本当に増えたっぽくて)
第三集と第四集は、男が襲われて重体に。男には目の見えない息子がいて行方不明になっていた…という事件。目の見えない息子は浮浪少年たちと一緒にいて、虐待の跡がある… これはかなりすぐに児童虐待事案だなとわかるんだけど、どう持っていくのか、というところよね。浮浪少年たちもシングルマザー家庭・足に障害があるetc。取り調べを受けて反応が何かの障害があるんだろうと思われる雰囲気の演技の子も。上海から帰ったところだけど、なんでも二代証の登録が必要で、外国人観光客はパスポートを使うんだけど。こういう社会から弾かれた人のハードさは日本以上だなと思いました。
第五集から第七集は、若い女の子の失踪事件。風光明媚な山で、自殺谷と呼ばれる場所がある。女の子を捜索中に何人もの人の遺体が見つかった…から始まる事件。失踪した小静はレズビアンかな?と思ったんだけど。そういや、1にもレズビアンの事件があったね。2.5話使ったわりに、農村部と都市部の生活格差は思ったけれど、あんまりピンとこなかった。
第七集の終盤は山から帰ってきた沈翊の元に絵が売れたという電話がくる。買い主は以前沈翊の前で絵を酷評した男だった。男は沈翊の目の前で絵を切り裂く…「お前は俺の夢を…」「俺の夢さ…」というインターミッション的な伏線なんでしょう。
第八集と第九集は、心理戦。デジタル担当の李晗は、心理学者を名乗るアカウントに引っかかりかけたが…という話。李晗は確か登場当時の沈翊に「帥…」って言ってませんでしたっけ。李晗、沈翊に対して「同僚の男性」に対する警戒心が一切ないんだけど…あの…まあ、そりゃご夫夫ぶりを見せつけられてればそうなるか…というか、「ピザを食べる沈翊」というのがキャラ設定が崩壊してるような気がする。あの人、固形物が食べられるの?みたいな。なお、このピザはドラマのスポンサーです。
第十集からは、私立探偵が殺された話。その背後に八年前の少年事件があるようで。私立探偵が追い回したのは八年前の事件の三人の元少年たち。私立探偵を雇ったのは八年前の犠牲者の一人の親。犠牲者の家庭が崩壊していく様子が一つだけ例示されていたけれど、子を亡くした夫婦の悲しみのレベルがそれぞれ異なって家庭が崩壊する話は聞かないではないですよね。そして「『清純な少女』に怯える沈翊」がツボだった。そのカットだけ出すとコメディすれすれだけど、コメディに落とさない演技はさすが。妙に長かった。第十三集の中盤まで。「どこにいるか連絡しろよ。俺がいつも助けてやれるとは限らないんだぞ」という杜城と、杜城に背を向けて立ち去る沈翊の悲しみ。感情というものがないのかな?と思われるような沈翊の見せた悲しみと孤独感は、杜城いてのことだろうなあ。
これ、男女だったり、BLだったら杜城が沈翊を追いかけて「心配させるなよ」とか言って抱きしめそうだけど、この二人、多分肉体関係はない。中国だからじゃなくて、多分この二人はない。
しかし、沈翊の言うところの「犯罪者を事前にを見つける」というのは、本当にやばい。杜城の言う通り「警察は起きた犯罪を捜査するんだ」。いや、起きてもない事件、起こしてもない事件について人の内心を??いや、コレが中国らしいと言うか。
第十三集の中盤からは、罔紅(ワンホン)。これが第十五集の中盤まで。結婚を控えた女の前に旧友が…ということで、旧友が罔紅。「この人ヤバい」という直感で警官が追いかけ回すのはヤバいでしょう。
第十五集の中盤からは、雷さんが気にかけていた性被害者の女の子。雷さんというのが、1でまだ未解決の事件の。ここまであの人の事件は出てこなくて、え?と思ってたけどようやく。結局この子は成人女性を使った美人局をやってたというだけ?
第十七集の中盤からは、ある女が殴り倒されたのだが、死ななかった。周辺から廃工場の捜査が始まり、複数の遺体が発見された。一番初めに亡くなったのは、ある京劇女優だった。娘はある男を名指しした。この話の最後に、ガラスコップが割れたところから赤いワンピースの少女を思い出し、沈翊は「おじさんはもう二度と逃さない…」と…というのだけど、やっぱり沈翊はナチュラルボーンクレイジーだな。
第十九集の終盤からは、豪邸の冷凍室から夫人が見つかった事件。夫人の装飾品などを窃盗したとして捕まったのは、もともとその豪邸で働いていた男。末期癌患者で、沈翊の見るところよい父親なのに、人生の最後でなぜ殺人を?ここからゆる〜く最後まで事件がつながっていく。
この事件からは遺伝子操作されたデザイナーベイビーの問題が出てきて。確かに中国ってすでにデザイナーベイビーが誕生してるんですよね。で、今回は何をデザインしたかというと、男性の凶暴性に関する遺伝子…ということで。前シーズンがずっと「男性性」を問題にしていたことに通じていた、というわけ。
一方の沈翊は方凯毅という科学者と急速に親しくなっていき、杜城は面白くない。
第二十一集の終盤からは、薬学生が亡くなった事件。三角関係と主従関係が見えてくる…そしてちらほらする方凯毅の影。
第二十五集は方凯毅の部下の唐可盈が失踪した事件。これで第十九集から一繋がりに。
というわけで、面白くなくはないけど…という感じ。犯人やその周辺のキャストが、健次と金世佳と共演歴がある人だらけで。なんと、軍師連盟の何晏(司馬昭とハニトラをかけあってた人。中の人は女性)までいるから。中国では「知り合いはみんな捕まえてやる by沈翊」と書かれてて笑った。