漫画キャラクターのカサバ王子に本気で恋するオタク少女のモモ(レイニー・ヤン)は通っている大学で、超ナルシストのアイドルMARS(ジロー)と出会うが、その勘違いぶりに苛立ち初対面でケンカしてしまう。
そんなとき、モモの姉のチュチュがカードで借金を作ってしまい、家の一部屋を貸し出すことに…。
後日決まったその部屋の借り主とは、豪華マンションを追いだされたあのMARSだった!
原題:愛就宅一起 2009年
感想
すごく笑える作品だ。
台湾的ゆるさに怒りを覚えない方であればおすすめできる。が、MARSを演じるジロー・ワンの演技は下手なのでそれは覚悟していただきたい。
原作はないようだが、タイトルからして秀逸だ。MARSはモモを「あーつぁい(阿宅。お宅の意味)」と呼ぶ。「愛就宅一起」で「愛してる。一緒に住もう」だろうか。ここの「宅」が「お宅」と「モモ」と「家」や「住む」に引っ掛けてある。英題のTo Get HerはもちろんTogether。最高!
主演のレイニー・ヤンは本作が初見だ。ガリガリに痩せているが可愛い人だ。だが、おかっぱはカツラで後ろ姿のショットではカツラなのが良くわかることがしばしば。こういう細部が本当に惜しい。これが台湾クオリティか。
モモはお宅で孤独だが、おどおどしたり人の顔色をうかがうようなところはみじんもない。協調性はあまりないが責任感はある。芯が座っていてぶれない。だからこそ、孤独なのだ。日本人の抱く「お宅少女」のイメージをぶちこわしてくれる。そして、レイニーの演技は上手い。
MARSを演じるジロー・ワンの作品はかなり見ている。この人は決してぶれない。演技のへたさ、大味さという点においては。
流れる曲は全て飛輪海。コンサート映像も飛輪海のものなど、「MARSのパフォーマンス」は本物のアイドルだけあって(割に)見ることができる。ただ、当時飛輪海はトップアイドルだったはずなのに、MARSは落ち目のアイドルだ。カムバックを果たすことができるのだが、恐怖を覚えなかっただろうか。トップアイドルの人気はいつしか衰える。衰える過程で演技派に転向するか、シンガーになるか、それともバラエティに行くか、しなければ地に落ちるだけだ。
本作の二番手君チアセン(字幕にはチアセンと出てたけど、ジャーセンに聞こえる)はジョージ・フー。おそらく知的障害がある役なのだと思う。こういう配役はイヤなんだが。日本だったら、こういう相手がいたら、女の子はズブズブになってしまいかねないけれども、台湾では、振り切ってアイドルのところに行っちゃう。
彼の他の出演作品は「ろまんす五段活用」、「ホットショット」で、いつもウーズンの弟役なのだが、本作ではウーズンはいない。私は二番手君派なのだが、今回は萌えなかった。けれど、ジョージの演技はうまいと思う。
台湾版との違い
どうも、日本では台湾放送版とは違いカットされたものらしく、2011年に台湾に行ったときに買って一気見して中古ショップに売って帰ったのだが、おおざっぱな私には「明らかに」カットされた部分だ、というのはわからなかった。おそらく、一つずつのシーンに余裕がある程度だろうか。ただ、そのおかげでトニー社長を演じた包偉銘という人のポスターなどに気づくことができた。
三越ではクリスマスの広告で一家の父親、だった。一番面白かったのはどうもテレビショッピングか何かなのだろう。日本では盛りのすぎた俳優や女優が「すごいですねえ」とやっているが、台湾ではどうなのだろう。とにかく、テレビショッピングに「トニーさん」が出ていて、「これで47歳ですか!?若いですねえ」と言われていた。確かに、30代にしか見えない。現地でそういうことを発見するのは結構楽しかった。
コメント
[…] レイニーがギャーギャーとうるさくて、確か撮影がかぶっていたという話の「モモのお宅」はすごく好きなのですけれど、私はこちらは途中でリタイアしました。ディーン目当てに、頑張って、見て、くれ・・・。 […]