数奇な運命を背負って生まれた花千骨(かせんこつ)。
村人に忌み嫌われながら生きる彼女が唯一の肉親だった父を亡くした時、心の支えとなったのは行きずりの剣士、白子画だった。その後、花千骨は武林で最大の流派・長留派の掌門となった白子画に弟子入りし、彼と師弟の縁を超えた絆で結ばれる。
だが、彼女は愛する人を破滅させ、この世に恐ろしい厄災を招く運命にあった。
その呪いを断ち切るため危険な冒険に出た花千骨。彼女は愛で奇跡を起こすことができるのか…。
原題:花千骨 2015年
感想
いわゆる、舞台になる時代のない、中華ファンタジーです。
面白い〜。
学園ドラマのくせにプラトニックだけど過激なSMだったけれど。
何言ってるかわからんって?本当に中華ファンタジーの学園ドラマです。ただし、師匠と弟子の間なので、千歳の校長先生と16歳の女子高生と考えると大変🤮ですが。プラトニックですよ、あの二人。しかしながら、SM。
だって、白子画は花千骨のために死にかけ、花千骨は白子画のために罪を犯し罰を受け、白子画はその罰を肩代わりする。その上に最後の3話は「君に殺されたい(そんな姿は見たくない)」「私を殺しなさい」「(私の手で君を)殺させるために騙したのか。ならば、私も一緒に逝こう」だし。
そういうと気持ち悪いけれど、めっちゃ面白かったよ。
確かに荒涼の地パートは一気につまらなくなるし、最終話の冒頭の白子画の号泣はなんなんだ。なんで君はなくんだ。竹染にちょこちょこ言われただけで泣くのか、君は結局メンヘラ君かい?なんですけど、それでも、削られたシーンはなんだったのか妄想するだけで最高だ。
花千骨=不幸を呼ぶ前向きロリ、白子画=ロリコン&ストーカーかつ全部知って火の中に飛び込んでいくドMさん(趣味はガーデニング)。
主人公は「花千骨」と見えて、この話の本当の主人公は「白子画」。
キャスト順も花千骨を演じた趙麗穎ではなく、白子画を演じた霍建華の方が先。この当時どちらが売れていたのかという問題もあるのだろうけれど、それでもあれだけ出演時間が長く、本質的にキャリアがそこまでない女優を中堅の俳優がサポートするドラマなのに、趙麗穎よりも霍建華の方が先っておかしいでしょう。
それは主人公が白子画だから。白子画の払った犠牲の話だからだ。いやまあ、バカップルがいろんな人を巻き込んだんだけど。白子画はその払った犠牲を千骨に教えないし、知ってほしいとも思わない。特に、最後の、世尊が命をかけて救った記憶を失った千骨には特に。
長留山の上仙、白子画は掌門になる前の最後の修行で花蓮村を通りかかり、少女にであう。少女の名は花千骨。不幸を呼ぶ女として父以外に忌み嫌われる少女を助けたが、正体を隠して墨氷という変名で旅を続ける修行の最中ではその父の病を治してやることはできない。その代わりに孤独な少女に頼まれて友となり家を修理してやり、身を守るための簡単な剣術を教えてやった。
この段階で白子画はかなり花千骨が気になって気になってしょうがない。本来の上仙としては救ってやれるのに規範があるので救えない。救えないのではなくて、救わない。その罪悪感があるのだけれど、この段階ですでに白子画は花千骨にフォーリンラブ。一話目はカットされているシーンが流出、というよりもオープニングに残っていて墨氷の髪についた葉を花千骨が取ってやるというシーンで、プライベートゾーン入り込んだ花千骨に墨氷はドッキドキ。墨氷は髪型とちょっぴりむっりちした体型もあいまって、とてもおぼこい感じが「仙剣3」の白豆腐っぽくて大変よろしい。
花千骨は妙な体臭がして(それは伏線の回収がなかったような気がする)、なくことはできず(そのくせ荒涼の地から帰ってきたらよく泣いていた)、その血は草木を枯らす。生まれた時に異状を察知した蜀山の掌門・清虚道長がやってきて「この子は16になったら蜀山に登らせよ。私の弟子にする」と言われていた。父の遺言でそれを知った花千骨は墨氷が姿を消して、家をたたんで旅に出る。ようやく蜀山にたどり着けば、七殺派に襲われて蜀山は清虚道長は虫の息、山に残っていた弟子は全滅。花千骨は清虚道長に次代の掌門に任命され「長留山の白子画に助けを求めよ」と遺言される。
そして現れる白子画。今回は白子画として現れるので法術をきちんと使える。花千骨は墨氷の顔が思い出せないので相手が墨氷だと知らずに助けられる。しかし、白子画さん。花千骨をずっと追いかけてるんですよ、覗き鏡で。異朽君に墨氷は長留山にいると教えられて次の目標を長留山に決めると白子画に「絶対弟子にしてもらいますからね!」と頑張る。
白子画さん、自分の生死劫(生死の難)が現れ、破滅の運命から逃げるためには相手を殺すしかないので狙いに行けば、相手は花千骨。あの!?いたいけな!?トラブルが起きるのはこの子のせいじゃないぞ!?と殺さずにいれば、花千骨は「弟子にしてもらいますからね!」と追いかけてくる。花千骨に諦めよ、蜀山の掌門ならば長留の弟子にするわけにはいかぬ、と何度も邪魔をするのだけど、花千骨はやってきてしまう。ここの弟子に会いたかったのか。しかし、墨氷という者はいないのだから、諦めて出て行くがよい。でも、諦めよ、ならば、蜀山againのところで見捨てたっていいのだけど、そういうことが白子画さんにはできない。蜀山に戻る前には、自分の断念剣(生死の難をこれで殺せと師匠に与えられた)を与えて断念剣にその身を守らせる。
誰であれ自分の命を顧みずに救いに行く。それが白子画という仙人なのである。それを自分に課しているので、無辜の少女・花千骨を殺すことはできない。そこに愛情が加わってしまえばどうしようもない。唯一の弟子として花千骨を絶情殿に入れてからも、白子画という人はそこに愛情まであることを認めることができない。あくまでも「師父」として影に日向に花千骨を庇護する。実は雲宮以降も白子画は花千骨に対する一人称は一貫して「師父」である。尽くすべき世界があり、規範第一だ。錯是錯。花千骨はあくまでもその一人だ。だから、白子画が側にいない雲宮以降は、花千骨は愛されている自信がなくなってしまう。その後に無理やり白子画を七殺殿に留めても嬉しくない。「私が愛した人はもっとも優しく、もっとも情がない」
しかし、視聴者は白子画に特別な感情があることがわかるシーンがいくつかある。
花千骨は墨氷への憧れよりも、目の前にいる白子画を慕う。気に入られたいというよりも、ほとんどまだ無邪気な愛嬌だ。父の代わりに懐くようなものである。白子画の大切なガーデニングをダメにしてしまってがっかりされるところ。覗き鏡を扱えるようになっても近場しか見えなくて「じゃあ、師父」はどこにおられるのかしら、と覗き見たのは師父の入浴シーン!謝るところのぎょっとした顔。花千骨は強烈だったのかそれを描いてしまい、トラブルの元になるのだが。漫天の罠にかかって、夏紫熏とお香の勝負をすることになって、夏紫熏は花千骨の作ったお香のレシピの中の最後の一つがわからない。それは白子画の枕に仕込んだものを入れたからだ。全員びっくりするというかドン引きするのだけど、白子画の顔が楽しい。
中国ドラマでは私の見る限りハッピーエンドが少ない。現代劇をほとんど見ないというのもあるのだけど、思いつくハッピーエンドは「他来了」とくればあとはお察し。
しかし、花千骨は、最終話の冒頭がグダグダなのだが、ラストはまあまあそれなりにハッピーエンドだ。
千骨はずっと師父に生きて欲しい。罪を得るのも、罰を受けるのも構わない。師父が生きてさえいるならば、自分が死ぬのはどうだって良い。しかし、白子画が死ぬのも、白子画が転生して自分の記憶を失うのは耐えられない。太古の力は持て余して扱いようがない。「お前と一緒に死ぬ」と自殺しようとした白子画を最後の力で永遠に生かし、しかも不老不死、怪我をすることもなく、病気になることもなくした。「神の名で呪ってやる」というけれども、これは呪いだろうか。千骨の、白子画にこうあって欲しいという願いが叶えられたのだ。自分は?生きていても辛いだけだ。あなたの手で死なせて欲しい。
ところがその願いは半分だけ、白子画の部分だけが叶えられ、千骨本人は自分を嫌ったはずの摩厳が命をかけて救われる。
白子画の最後の願いはただただ千骨と一緒にいたい。また愛してくれればそれで良い。昔のように、「師父〜」と甘えられて幸せではないか。
というわけで、登場人物が死にまくるんだけど、ハッピーエンド。
映画化する、2を作る、という噂に大抵一度は花千骨役に劉詩詩の名前が出る。確かに、動けるよね、あの人。ところが、劉詩詩はジャクギを見てもわかるように「少女」を演じることができない。
趙麗穎の少女ぶりは「ロリ」といいたくなるくらいきちんと少女なのだ。実際には87年生まれなのでそんなに若いわけではないし、劉詩詩とほとんど変わらない。霍建華が79年生まれなので年齢差は8歳しかない。それでもロリとロリコンのおっさんにきちんと見える。ただ、丸顔だが細すぎて雪山からよろよろの白子画と一緒のシーンだったり、ヤってると誤解されるシーンも折れそうなのだ。けれど、顔に傷を負い、紫の衣を着るシーンあたりから貫禄が出てくる。妖神と化してからはパーツパーツを見るとやりすぎメイクだが、妖艶といってすら良い。そしてただただひたすら白子画を愛する花千骨はこの人でないとできなかった。ただ、大きい目が魅力なのだが、妖神と化してからは演技はますます良かったけれども、しょっちゅう白目が赤く、泣いているというよりも、アイメイクのせいでアレルギー!?という風に見えるのが気の毒だった。
細身の趙麗穎に対して、あくまでも「師父」の霍建華は凄まじく大きく見える。趙麗穎の顔が小さすぎるのか、霍建華の手が大きいのなんの。決して小さい人ではないけれども、貫禄というわけには太りすぎだ。脱ぐシーン(しかもロリに覗かれる)があるのに、あの体は恥ずかしくないのだろうか。白い衣装なんで膨張して見えるのは仕方がないのだが。実はこの時の撮影中のオフショットを見ても決して太り過ぎというわけではないのに、なぜか太って見える。デブエフェクトでもかけたのだろうか。表情があまりないわりには、小さな動揺の表情が見逃せない。しかし立ってるだけで、ロリコンのストーカーにしか見えないのは最高。この人にしか演じられない。
本作は非常に脇役がしっかりしていて、例えば夏紫熏というキャラは大変良い味がある。ただし、「諍い女」の華妃とおなじジャン・シンなので。(当惑したときのぷくーっと唇を突き出すところまでも同じでは困る。)
白子画が若い女の子を弟子にしたと聞いて、「ここに独り者の男と、若い女が二人きりで住むとは」と嫌味を言っていたのだが、千年も一緒にいれば白子画の表情くらい読めるだろう。そりゃそうだ。もっとも強く、もっとも孤高で、もっとも気高いはずの白子画が、この酔っ払いロリに軽くストーカー気味で、フォーリンラブしてロリコン化したらそりゃ頭にくる「あのロリぶっ殺す!!!」になり、堕仙と化すのはよく分かる。しかし、自分の過失で白子画が毒に侵され、にくいはずのロリがその命をかけて解毒するときにも、孤独なロリが殺されかけても、最後に助けるのは夏紫熏。大変良かった。
夏紫熏が檀凡の死で堕仙するならば、もう一人。花千骨に嫉妬する霓漫天。「修学旅行」から帰ってきて三つの池を回るところで、怒りの池のところで苦しむか、何度目かの花千骨殺人未遂のところ、もしくは朔風死亡の段階で魔に入るべきだと思うし、世尊はもっと前に入魔するだろう。演じる側は大変美味しい役だと思うのだけど、演じる李純の演技が単調で単調で。初めの方は、グイッと見栄を切る感じで頑張ってるなあ、と思うのだけれども、単調なのだ。49話の霓漫天の死のところは「なんでこの人が主演で私じゃないのよ!」というところまで入って良いのだけれども、全体的には残念だ。学園ドラマだし、生徒がかなり被る「トキメキ弘文学院」から周奇奇を持ってきてくれればよかったのに。周奇奇は多分悪女役が蔣欣以上に似合うと思う。
摩厳(世尊)も大変憎々しい。正と邪というけれども、どちらかというと正側の人の方が悪人である。世尊はその代表格だ。おそらく武侠ものの、「正と邪」というのは、結局カトリックとプロテスタントのような関係でしかないのだろう。多数派が正、少数派だから力で多数派にしようとするのが邪、くらいだろう。夏紫熏があれだけで堕仙するくらいなら、世尊はとっくの昔に堕仙しそうなものだ。ただ、その力をもって最後に千骨を救ったらしいが、魔に入った夏紫熏だって、白子画を救って死ぬのだし。魔に入るか否かかの基準がよくわからない。竹染のお説教よりも摩厳が千骨を助けるシーンはあっても良いと思うんだけど。
姐姐(殺阡陌)は出てきた時にびっくりしたけれど、面白い。まあ、これがボスだと部下も苦労する。「小不点」と千骨を呼ぶけれど、日本語で見たら「童や」となっていて、笑った笑った。わらべか〜。部下の眉毛(単春秋)はお間抜けさん。どう見ても姐姐が好きすぎる。BL的バカップル(一方通行)である。
軽水と皇帝も一方的だ。でも皇帝、最後には軽水の責任をとるし、まあ、このCPは本作にしてはハッピーな方だ。
皇帝が三番手くんとすると東方彧卿が二番手くん。二番手くん好きなのだが、まあ、この人は置いておこう。だって、異朽君の時のお面が気持ち悪いんだもの。花千骨は結局メアリー・スーなのである。みんなこの人を愛しちゃう。
しかし、愛さない男が少しはいて、朔風・雲陰・笙簫默(儒尊)である。弟子になるなら儒尊のところが良いと思うし、多分教え方も尊上(白子画)よりもうまいと思う。多分、この三人がこの登場人物のそれなりの重要な役どころをする人たちの中ではまともだと思う。おそらく最終的に儒尊が長留山の掌門になるのだろうけれども、尊上よりもそもそもこっちを後継にした方が万事うまくいったと思うんですよ。お師匠さん。
また、残念ながらDVDに中国語がない。
コメント
[…] ところで、ジンジーとリンチャオ、SMでもなんでもない花千骨と白子画に見えたんだけど。特に、リンチャオ「私が面倒をみてやるしかないか」が「大好き!!!」になっちゃうロリコンぶりとか。白子画さんも1000歳の仙人、リンチャオさんも500歳の妖怪で、相手が(そりゃ、千骨さんも随分変な人でしたけど)生まれて20年くらいしかしていないロリだし。仙人も妖怪もポンコツだし、二人とも恋したロリに命を救われるし。。。 […]
[…] 「古剣奇譚」で「花千骨」。というか、「花千骨」のSMを抜いてその分を「古剣奇譚」にした感じ。 […]
[…] 素錦は見覚えあり過ぎ、李純。これが花千骨と変わらない演技で。。。 […]
[…] ヤン・ヤンの演じるルオバイは能面。ただ、存在だけで笑えてくる。お坊ちゃん設定かと思ったらそんなにお坊ちゃんではない設定で、嫉妬のあまり道着をちくちくちくちく。ああ、大陸の世話好きの男の子だ。さらに、バイツァオのためにどんどんどんどん自己犠牲していき、そのバイツァオ本人はそれになかなか気づかないというのが、白子画に見えてくると、もう笑える。存在だけで笑えてくるぞ。 […]
[…] これまで何を演じてきたかというと、花千骨の虫(霊虫)、三世三生の蛇(巴蛇)。なので、何よりも人間を演じられてよかったねえと思う。 […]
[…] 主演の女子が女子高生というよりも、おばちゃん(しかも大根)だし、杰先輩はブサイク(今をときめく?張若昀なんだが・・・)。執事その1は、花千骨で南弦月を演じた鄭業成だけど、これが大根。 […]