「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」「コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義」

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コールド・ウォー 香港警察 二つの正義

香港警察の緊急部隊5名が銃器を積んだ車両ごと拉致された。そのなかに一人息子のジョーが含まれていると知った行動班副長官リーは、人質救出作戦“コールド・ウォー”を発令。だが、管理班副長官ラウだけは、リーの公私混同ともいえる強硬策に疑問を抱き、二人は激しく対立する。やがて、複雑に絡みあう恐るべき事件の真相と黒幕が明らかになっていく……。

原題:寒戦 2012年

感想

監督は、リョン・ロクマンとサニー・ルク。

シネマートにて。

「香港映画は終わってないんだ」という本作。香港映画界で育った監督も俳優もみな中国映画、もしくは中国との合作が多くなってしまっている。けれど、本作はオール香港ロケ、広東語作品だ。キャストもレオン・カーフェイ、アーロン・クオック。そしてちょい役でアンディ・ラウ。「香港」の物語だ。

タイトルが「二つの正義」とか、キャッチコピーが「お前が敵か、自分が敵なのか」とかわけのわからんことになっているが、素直にタイトルは「コールド・ウォー」で、キャッチコピーは「香港映画は終わらない」くらいで良かったんじゃないかと思う。「お前が敵か、自分が敵なのか」なんて、アーロンの「殺人犯」じゃないか。これはラウとリー二人に容疑がかかるところからくるのだろうけれど、ミスリードさせてしまう。

アーロン・クオックは普段「やりすぎ」なのだが、今回は引き算が上手くできたように思う。こうしてみるとダンディなおじさまなのよねえ。しかしながら、こうなってしまうんだよなあ

レオン・カーフェイは「王朝の陰謀」のせいか、最近は悪役なイメージを持ってしまう。黒幕はこの人?と思ったのだが、そうではなかった。踊らされただけである。

保安局長とは日本で言う国家公安委員長(政治家)みたいなものだろうか。長官が警察庁長官(警官)だろう。保安局長を演じたのがアンディ・ラウ。アンディさんの作品は多く見ているが、コールド・ウォー以前のもので最新なのは「王朝の陰謀」だろうか。見ていたのが若い頃の「鹿鼎記」なので、特に思うのだろう。脂がぬけきってスッカスカになってしまったように感じた。この人も引き算のできない俳優だと思っていたが、ちょい役だったからだろう、うまく力が抜けていた。

残念なのは広東語だったのでエディ・ポンが吹き替えなのは残念だ。でも、良い俳優になった。あごの長い男は好みではないのだが、成長著しい俳優ではないか。今後とも期待。ラストの無邪気な感じの不気味さといい、素晴らしい。

ほとんど悪役専門のアンディ・オンがちょい役?と思ったが、案の定一ひねりあった。テレンス・インもきっと、と思ったのだが、テレンスのITの伏線は一切回収されなかった。2以降で回収されるのだろうか。そういえば、珍しくテレンスがオープニングから出て(とちゅうで出なくなるが)死なない。

収穫はチョン役のアーリフ・リー。87年生まれか。よしよし、である。若手俳優があまり目立たない中華圏だが、任せたよ。

気になった点

何度も繰り返される「香港はアジアで最も治安の良い都市」「香港は法治都市」という点だ。「香港の法システムが金融都市としての繁栄をもたらした」というのも事実だ。

治安については、私には東京の方が楽なのだが、東京の順位が下がるのは地下鉄サリン事件のせい。そして私が東京が楽なのは日本語話者だからだ。法治であることも事実。

何を思ったのかと言うと、中国だ。香港に行く準備をするので香港女子と連絡を密接に取っているのだが、香港女子の大陸嫌いは数年前よりも深まったのではないかと思う。いずれ香港は上海のように中国の一都市になるだろう、とつぶやくのである。中国は法治であるか否か。法治ではない、人治にすぎない。それが香港人の出した結論なのかもしれない。「中国に吸収されようとする香港だが、それでは香港には将来はない。香港の今の繁栄は法システムのおかげである。それを忘れてはならない」だろうか。

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義 (字幕版)

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義 (字幕版)

レオン・カーファイ, アーロン・クォック, チャーリー・ヤン, エディ・ポン, アーリフ・リー, アンディ・ラウ, ラム・カートン, チン・ガーロウ, テレンス・イン, アンディ・オン
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コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義

国家の存亡を脅かす警官誘拐事件で、見事な捜査指揮により誘拐された仲間を救出することに成功したショーン・ラウは、警察署長となった。
しかし、彼の妻が逃亡中の犯人により誘拐された。犯人の要求は、投獄されている主犯ジョー・リーの解放だった。
ジョー・リーを逃がすため、犯人は爆弾と共に多くの市民が行き交う地下鉄の駅に、ジョー・リーを連れてくることをラウに命じる。
市民の大混乱と負傷者、そしてジョー・リーの逃亡を招いてしまった失態に政治家やメディアは批判を浴びせ、ラウは辞職に追い込まれるが…。

原題:寒戦2

感想

香港で見てきた。

アーロン・クォックのコンサートの次の日でした。今回の旅行はアーロン祭り、と思ったらちょっと違ったんですがね。
郭富城・舞林密嗎演唱会に行ってきました!

大変良かったのは、テレンス・インが生きていたことだ。一言しかセリフがなかったし、やはり途中でフェードアウトするのだが、生存が確認できてめでたいことである。最大のネタバレかもしれない。

前作寒戦同様、一筋縄ではいかない、警察・議会の力関係など骨太である。ただ、香港の統治システムに疎いのもあり、英語ではこの点をうまく追えなかったのが残念であった。

ただし、「Asia’s the most safest city」と書かれた文字が空虚だ。確かにアーロンのコンサートでもカメラチェックという名の持ち物検査もなく、その意味で居心地がとても悪かったのは事実だ。

上海に行ってから香港に行けば、もう既に香港が東アジアの中心地ではないことに容易に気づく。

帰国後に「他来了,请闭眼」を見たせいもあるだろう。

前作を見れば「香港映画は終わらない」と思ったが、今回は思う。ゲストに持ってくるのは前回がアンディ・ラウ。今回はチョウ・ユンファエディ・ポンの描きかたを見れば3があるのはほぼ確実なのだが、次は誰だろう。ジャッキー・チュンなら「赤道」と同じになる。ならトニー・レオンを持ってくるんだろうなー、になってしまう。

やはり、香港映画は、広東語映画はすでに終わったのかもしれない。

コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義(字幕版)

コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義(字幕版)

アーロン・クォック, チョウ・ユンファ, レオン・カーフェイ, エディ・ポン, チャーリー・ヤン, アーリフ・リー
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