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宮廷の諍い女

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1722年、 9人の皇子たちによる皇位を巡る争い“九王奪嫡”の末、愛新覚羅・胤禛(あいしんかくら・いんしん)が康熙帝の後を継いだ。
それは清の第5代皇帝・雍正帝の時代の幕開けと同時に、皇帝の寵愛を巡る側室たちの激しく哀しい諍いの始まりでもあった…
皇后と側室の華妃が勢力を二分する後宮に、甄嬛(しんけい)が秀女として宮廷入りする。そこでは華麗に着飾った側室たちが
皇帝の寵愛を巡る暗闘を繰り広げていたのであった。華妃とその手下の側室が仕掛けてくる冷酷な罠に、甄嬛はその類まれな智慧で
立ち向かっていく。甄嬛の辛く激しい人生の扉が、今、開かれる―。

原題: 后宫・甄嬛传 2011年

感想

タイトルが「諍い女」というのがちょっと気の毒な作品。

物語も、私はあくまで男の物語、表の物語が好きなのだな、と思い知らされた。「ジャクギ」の面白さとは、ジャクギが後宮に上がらない、ということにあった。ジャクギは秀女選考に漏れ、皇帝直々に仕える茶給女であった。康熙帝の皇子たちの後継者争いに「妻」という立場ではなく、官僚として関わったとすらいえる。後継者争いを激しくした一因が未来人ジャクギだった、というオチになるのだが。

ジャクギも甄嬛もただ一人の男に愛されたい。ただ、「ジャクギ」で描いていたのは皇位(=ジャクギ)を奪い合う兄弟たちの、男の欲望だった。

しかし、同時代を描くが本作ではストレートに皇帝の寵愛を奪い合う女たちの欲望の物語だ。仲はいいけれど、甄嬛に寵愛を奪われると感じた沈眉荘の不快、病気だった甄嬛に先を越された安陵容の焦り。甄嬛の侍女たちに、自分たちと同等の者(甄嬛が上で安陵容は自分たちと同じ)と扱われた安陵容の悔しさ。実家の繁栄と自分の寵愛が密接に絡んでいると知っているからこその華妃の怒り。正妻なのに「尊重」されるだけの皇后の不満だ。

これは完全に好みの問題なのだが、男の争いの方が楽しい。腐女子ゆえ仕方がない。女がわらわらしていてもちっとも萌えないのだから。

ビジュアルはおなじ清朝ものでも明らかにこちらの方が凝っている。金がかかっているのは絶対にこちらだ。

しかし、最大の問題はイケメンがいないことだ。これ、私にとっては致命的だ。イケメン担当が笛吹き果郡王だけ、というのがなんだかな。綺麗な人だけど、辮髪というけったいな髪型でも美男でいられるほどではない。それを考えるとジャクギの二番手くん担当だったケニー・リン(林更新)はすごかった。辮髪でも綺麗に見えるってすごいよ。

前半陰険ぶりに笑ってしまったのが観劇シーンだ。
物語を引き合いに出して上品に、

華妃:皇后早よ死ねや❤︎このクソババア
皇后:愛人の分際でだまれボケ
華妃:愛人?てめーは愛人の娘のくせに生意気な
甄嬛:奢れる者は久しからずや

である。

ジャクギが現代中国批判をしていた(と受け取った)のに対して、同じ年のこちらは、表現がいよいよ先鋭化する。すべてが伏線になり、その伏線が見事に回収できる本作は素晴らしい脚本(と原作)だと思う。だが、そんなに語りたいわけではない。

本作の演出の素晴らしいところは、ただただ、純元皇后の姿を写さなかった、という演出にある。スン・リー姐さんはきっと二役を演じ分けただろう。しかし、写さないことによって死者がますます美化され、生者を蝕んでいく様が強調されていた。

本作は見所が前半に集まってしまっている。その理由は、初めの悪役の華妃を演じた蔣欣が全部持っていくんだもの。「本宮(ぼんごん)」と一人称でいい始めるときの音の慇懃さとか、もう素晴らしいのなんの。中国の女優さんたち、俳優さんたちは、悪役をやる時に本当に輝くよね。

迎え撃つスン・リー姐さんも冒頭の前髪ガタガタな少女ぶりから、美少女貴人だったんだろう莞貴人の可愛らしさ、莞嬪のあまり飾らないむしろ素朴な美しさも大変に良かった。尼時代のすっぴんメイクも清楚だ。そして、後宮に舞い戻るときのけっばいメイク・・・(皇帝は素朴さと当意即妙ぶりが気に入っていたんだろうに)。皇太后になってからの20代なのに老け込んでいる演技も絶品だ。

ジャクギのリウ・シーシー先輩が「少女時代」を演じようとしてバカみたいなっていたのだが、それが一切なく「少女」で押し切れる。

ただ、清朝の衣装も飾りも漢服の方が私の好みだ。纏足をしているということなのだろう、女優たちが侍女に助けられてよったよった歩くのが見ていられない。

本作の問題点をあげるなら、キモとなる女優たちがそれほど演技がうまくなかったことだろう。

主役格のスン・リー・華妃・皇后(顎の細さとかなんか整形しまくってるんじゃないかというのが釈由美子っぽい感じだが、結局歯がしゃがしゃで貧乏くさい)の演技は良い。皇后の狸っぷりとかね。脇の端妃や敬妃(皇帝に「信頼される」ということに重点を置いたのではないかと思われる)も良かった。

キャラクターの描き分けはすごくうまいのだ。長丁場ゆえにきちんと描き込める、というのもあるのだが。しかし、最大の問題は、脇を固めるはずの沈眉荘と安陵容だった、沈眉荘役の声優が棒読み、安陵容役の女優はおばさんだし何かがあるとすぐに頭をグラグラさせてしまうのがよくない。葉瀾依(最後に薬をすり替える)役は最後のキモになるのに女優も声優も大変ひどいものだった。

ま、どうでもいいわね。

残念ながらDVDにも中国語字幕はないようで。

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コメント

  1. […] 本作は非常に脇役がしっかりしていて、例えば夏紫熏というキャラは大変良い味がある。ただし、「諍い女」の華妃とおなじジャン・シンなので。(当惑したときのぷくーっと唇を突き出すところまでも同じでは困る。) […]

  2. […] 2011年なのか。中国がジャクギ、諍い女と出していた頃に、台湾は拝金女王かー。このころの台湾は、八大の子供っぽいアイドルドラマが受けにくくなり、三立が(アイドルドラマ出身者を使って)「ハートに命中100%」に「敗犬女王」とか、自立した女性をテーマにした作品が受けていた模様。 […]

  3. […] そしてネタ以外に以下の要素を含みます。百合(男二人)・ドM男・宮廷の諍い女・宮廷女官ジャクギ・封神演義・三国志演義・正史三国志・水滸伝・西遊記・楊家将・史記・どらえもん・アーサー王と円卓の騎士・ニーベルンゲンの歌・スーパーマン・シャーロック・マッドマックス 怒りのデスロード・シンデレラ・白雪姫・眠りの森の美女・ロミオとジュリエット・007・赤毛のアン […]

  4. […] 「琅琊榜」の誉王殿下こと黄維徳がかつて周瑜をやっていたときき、これは仕方あるまい・・・と見始めました。演義の劉備が嫌い。関羽は爪が長いのがキモい。曹操は結構好きなんだけど、「諍い女」の皇帝の俳優さんなのですよ。いやだー。こんな曹操、いやだあ。というわけで、赤壁大戦・荊州争奪を経て、周瑜の死まで。 […]

  5. […] これが極端だというならば、男女ものをあげていこうじゃないか。後宮ものの傑作の1つ「諍い女」も主人公は愛した皇帝に裏切られ、皇弟に走る。ファンタジー歴史ものの「ミーユエ」も初恋の人は(誰だっけ)黄軒の演じた男。純然たる中華ファンタジーの「三生三世」も白浅の初恋の人は離鏡。現代物は、、、観てない、、ああ!「妖怪彼氏」! […]

  6. […] なお、嫁役は「宮廷の諍い女」の端妃。病身というのを引きずってるじゃないか。 […]

  7. […] イーフォン先輩が片想いするシャオイン(バイツァオの親友)もおばちゃんだなあ。演じる譚松韵は「諍い女」で溺れて死ぬ子やってたのか。でもこの単純な陽キャの役にはものすごくあってたんだろうと思う。なんとなく、お金持ちを捕まえて結婚して引退するか、おばちゃん役で生き残るかなんだろうな、と思ったけれど、いい意味で裏切ってくれよ。面白い感じから。 […]

  8. […] 「諍い女」ではかなりぎゃーぎゃーやったし、同じチームの「ミーユエ」は見るのが耐え難いくらいで途中でギブしたんだけど、こちらは引き算ができる。それが、いろんな映画に出てる割に映画監督にはあまり主演で起用されないスン・リーと、映画女優のジョウ・シュンの違いだろうか。 […]

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