九州世界の東にある瀾州大地、敵対する人族と羽族は協定を結び、均衡を保ちながら共存していた。羽族は、100年に1度現れる星流花神が生む星流花粉によって羽が生え、空を飛ぶことが出来る。星流花神の転生体を持つ人族・易茯苓は、想いを寄せる幼馴染の人族王子・白庭君に会いに行くが‥。
2016年 九州・天空城
感想
「九州」シリーズという、ハイファンタジーシリーズがあるんですね。ハイファンタジーというのは最近知った単語なんだけど、現実世界とは一切関係ないファンタジー世界ということらしいよ。
いわゆる仙侠とはちょっと違うんじゃないかなあ。
十二国記は全部同じ世界の同じ時空軸の話だったけど、九州シリーズがどうかはしらん。
羽族というのは、全員ではないのだけど羽を生やすことができる(のが出てくる)種族。それと人間が住んでいるという設定です。
日本語が雑すぎて…
これねえ、「青雲志」と同じチームが日本語字幕製作をしてるんでしょうか。いろんなのがすごく雑。
そもそも「二人の王」ではなくて、「皇帝」な。本当に羽皇って字幕では言ってる。人族王子ではなくて白庭君も太子なんですよ。
実在した皇后を王妃、皇貴妃を王妃、貴妃を王妃にされた恨みがまた出てくるぞ。楊貴妃を王妃ってなんだよ…楊貴妃だぞ?
青雲志でも気になったのが二人称が全部「そなた」だった。実は本作でも二人称が「そなた」。中国語の「你」にあたる二人称は日本語ではすごくバリエーションがあるんだけど、本作ではほぼ全て「そなた」もしくは「お前」。
あのね…青雲志は皇帝が出てくる世界ではなかったよ。こっちは二人の皇帝に愛された女の話なんです。侍女が太子に「そなた」ってきつくないです?
現代人の我々が「そなた」と聞くと、上から下って思うよね。
じつは「そなた」という単語は、(日本の)中世、つまり鎌倉時代から室町時代ではイーブンな関係から目下の人に親愛と軽い敬意を示す二人称であった時代もあったんだそうで、そこは私の不勉強です。これが、近世、つまり江戸時代には敬意が失われる。

侍女から太子に使っていい時代は…ないんじゃないかな…。だって、目上の人に対して使った時代はないから。
ハイファンタジーだから「そなた」を下から上にいじっていいということにすると、今度はそもそも日本語字幕である必要がなくなってしまいます。
姫はまあいいや。「美人さん」くらいの意味でしかないなら、まあそうですよ。「かぐや姫」だって、そうだからね。
皇帝を王にしちゃうチームの仕事って、すっごく雑。
「白雪」というキャラクターがいまして、確かに日本語話者の我々「しらゆき」って読みたくなるけれど、この人の姓は「白」。諱が「雪」だよ。侍女の「彼岸花」が「ひがんばな」は仕方がない。これは「清少納言」とか「和泉式部」とか「伊勢」みたいな侍女としての名前だから。この人が「皇子」って言ってたのは「少主」。
皇后や皇貴妃、貴妃を「王妃」にしちゃうところと、皇帝を「王」にしちゃうところには、古装も、ハイファンタジーも、仙侠も関わらないで欲しいよ。
イライラしすぎて、騰訊がジオブロックしてないのをいいことに、途中から中国語にするかなと。ところがAmazonで配信してたのは20話。騰訊では多いからなあ。
ところが、それをしたくなるようなお仕事を、今度はキャストがしていない。編集の問題かねえ。2016年なので仕方がないかねえ。近い時期の、古剣奇譚よりもCGが安いし…
主人公の「姫」たる易茯苓を演じたのは関暁彤。学芸会演技…
相手の王(皇帝だよっ!)の一人の風天逸を演じたのは張若昀。これがまたかなり微妙。
悪女雪飛霜を演じた鞠婧禕はそこそこ演じられたけれど、微妙で。
初恋の人白庭君を演じた劉暢も微妙なところ。
駆け出し時代の陳若軒や賈征宇がいたりするんですけれどもね。他来了とか、妖猫伝のキモい役ばかりでみてきた張魯一が比較的まともな人を演じていると、胡歌に被る…とか。
あるんですけれども。
もうギブだ…
ほら、ただでさえ「運命」とか「血」とか、「壮大なスケールで描く」って話が嫌いだから仕方がない。お腹いっぱい途中でギブ。