紳士探偵L 魔都・上海の事件録

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警察学校を卒業したばかりの秦小曼(チン・シャオマン)は、憧れの上海へ。ところが、彼女が住処と決めたサリバン・アパートに着いた早々、銃声が轟く。小曼は怪しい隣人の男に疑惑の目を向け、真相追及を誓うのだった。翌日、赴任した警察署で、彼女は思いがけない事実を知る。同じアパートに住む不審な男は、署の特別顧問を務める名探偵だというのだ。しかも小曼は、その探偵-羅非(ルオ・フェイ)とタッグを組んで、ある行方不明事件の捜査をする羽目に…。

绅探 2019年

感想

舞台は1920年代ー30年代の上海のフランス租界。30年代ものは迫り来る日本軍の話で上海もオタオタするシーンが大抵あるから、20年代ですかね。

フランス租界は淮海中路の周辺で、私は「新天地」と呼ばれるエリアには行ったねえ。ここなら住めるなあ的なことを思った。高架橋の向こうまで道を渡るに渡れなかったんです。

新天地 良い!良すぎる!

再開発した、なんちゃって、っぽかったけど、悪い雰囲気ではない。
もちろん、上海で20年代の街が残ってるわけがなく、本作は撮影所のオープンセット+CGです。20年代もの30年代ものがすごく需要がありまして、大掛かりなセットが作ってあるわけ。上海市内なのかな。上海影視楽園という場所があるらしいのね。

で、中国ドラマって最後まで丁寧に丁寧に語っていくんだけど、本作はアメリカドラマ的クリフハンガーとも、フランス映画的終わり方とも取れるのが良かったです。一応、伏線は全部回収したしね。

というか、結構ネタがあるよね

羅非が警察署に入ってきたときのネタは「消失的子弾」…。

という具合で、音楽は「シャーロック」のテーマ曲をそのまま使ってるかわかんないが、連想させるんだよなあ。事件そのものはコナン・ドイルのホームズから設定を借りてくる感じ。展開は別としてもね。

ワトソンとレストレードが一緒になって秦小曼になってるけど、法医学者の本杰明(ベンジャミン)は、シャーロックのモリーだし。大家さんのミセス・サリバンこと汪蘇蘇は明らかにハドソン夫人。霍文斯もモリアーティー。ダメ刑事ではあるが足を引っ張るわけではない葉常青は、いろんな作品に出てくるキャラ。好きにさせてくれる刑事部長は、ダメに見せて人を使うことができる理想の上司。で、いろんな作品(ケイゾクSPECのあの人とかさ)に出てくるキャラ(最終話に死んだりするキャラの筆頭よね…)。

以下、十代の頃にホームズを繰り返し繰り返し読んでた人が、あーって思っただけなので、気になさらず。悪いと言ってるわけじゃないから。

・「新米刑事」の死体を入れ替えるのは、いくつかあるよね。「ノーウッドの建築業者」とか、「レディ・フランシスの失踪」とか。

・「消えた恋人」の銃撃の名手(日本人)が出てくるのって、「空き家の冒険」のモラン大佐とか。黒龍会は「オレンジの種5つ」のKKKとか。「恐怖の谷」のスコウラーズとか。(その手のものはドイルもの以外にもたくさんある!)

・「彼岸花」の密室トリックって、コナンみたいだけど、あれはあれでエラリー・クイーンが元ネタのような気がするんだけど、ホームズにも「ソア橋」というトリックものはある。復讐というか自分のものを取り戻しに戻ってくる話は「四つの署名」があるけれど、ますますホームズにこだわる必要はないような気がする…

・「怒れる花海棠」の方が「四つの署名」っぽさがあるような気がする。女の子たちも四人だし。でもストーリー的には「緋色の研究」かなあ…いや、なんかドイルではなくてクリスティっぽさがあるような気がするけど…

・「連続放火」は明らかにクリスティの「ABC殺人事件」。

・「ほほ笑む黒衣の女」は、大学の中に…というのが、「プライオリ・スクール」的な。ただ、アメリカドラマっぽさを感じたけどわからん。

・「山頂の迷宮」は「マスグレーヴ家の儀式」が元ネタの一つかな。当初、エラリー・クイーンに元ネタがありそうだなと思った。「〇〇館に閉じ込められて」が「摩天楼」のイメージがあるというだけ。

・「上海、危機一髪」は、このご時世で疫病ものなのできついよね。しかも20年代上海に、人間がコントロールできるウィルスがある!?!?この時代だから、余計に作り物らしく思えて、最終話にはふさわしくないような気がした。

キャスト

白宇は、「鎮魂」の人。あれは演技が悪いとは思わなかったけど、どうにもこうにも演出が安っぽ過ぎてギブした。ただし「受けの人」フィルターがかかってるせいで、本作もBL枠で見てしまったというわけ。ただ、キャラとしての羅非は常識人すぎた。私の好みからすると、もう少しダメ男っぽく演出して欲しかった。生活ができない感じで、汚部屋の住人で汪さんに世話されてるるとよかったなあ。そうだよ、「唐人街」のロイ・チウのダメ男ぶりが良過ぎたわけよ…。

羅非のステディーな相手はベンジャミンに見えたわけ。ベンジャミンを演じたのは、季晨ですよ…。脇役をよく演じる人で、良くも悪くも存在感がない。一番存在感があったのは、「琅琊榜」の祁王(お兄ちゃん)。は祁王の遺腹児(とは本人は知らない)の子の話だったので、そういうキャラではあった。それがね…妓楼育ちで母親に捨てられて女嫌いになったという、ご遺体解剖を愛する医者兼ボディーガード(突然ボディーガードだったという設定が出てきた)なんだけど…。こう、奥ゆかしく…羅非にだけ心を開いているようにしか見えなかった。誘い受けのベンジャミン x 受けの羅非的な。

一応、設定としては羅非もベンジャミンも小蔓を憎からず思っているという設定なんだけど。あの…羅非と小蔓があんまり両片思いには見えないんですよ…。三人とも恋愛脳じゃないし…。いわゆる恋愛脳な人たちが出てくる話は「開端」とかさ。「白狐」とかさ。ああいうのを見た後だから、この人たち、三人とも人生において恋愛の価値は低いなーって。

むしろ、霍文斯の方が…。え?霍文斯が好きなのは羅非でしょ?陳孟奇くんがきもかわいくて良かった。

小蔓を演じた尤靖茹はまさか92年生まれとは思わなかった。もうちょい上に見えた。20年代だからか知らないけれど、メイクが老けてる感じに見せたんでしょうね。なお、陳孟奇の91年生まれは納得。白宇…90年生まれ…。確かにヒゲがないとそれくらいの年齢に見えました。

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