琅琊榜<弐>~ 風雲来る長林軍~

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梅長蘇(ばい・ちょうそ)が補佐した靖王(せいおう)の即位から数十年後。靖王の息子が治める梁では、皇帝の義兄弟である蕭庭生(しょう・ていせい)が、長林軍を率いる長として皇帝から絶大な信頼を得ていた。ある日、庭生が北の敵国・大渝の動きを察知し、庭生の長子・平章(へいしょう)は国境にある甘州城へと出兵する。その頃、次男の平旌(へいせい)は、世の中のあらゆる情報を集める組織・琅琊榜(ろうやかく)で修行に励んでいたのだが、甘州城への補給船が沈没したと聞き、兄の元へと駆け付ける。援軍も物資も無い中で戦っていた平章。大渝を破るも、ひどい傷を負っていた。平旌は、補給物資喪失の件に裏があるとにらみ調査を開始する。だが、この件を皮切りに、朝廷に深く入り込んでいた敵が動き始め、再び梁に風雲が巻き起こる!

原題:琅琊榜之风起长林 2018年

感想

琅琊榜」の続編。前作のサブタイトルの「麒麟の才子、風雲起こす」は、中国語タイトルにはなかった。英語タイトルもNirvana in Fire だったので「永遠の業火」くらいの感じで、赤焔軍の復讐が前面に出てた。しかし、本作のサブタイトルの「風雲来る長林軍」はそのまんま、风起长林から来てるので変なサブタイトルではない。

靖王=武靖帝が梁の一時代を築き、武靖帝の代の人で残っているのは、兄の寧王、藺晨、そして雲南の穆王(つまり、郡主の弟)。穆王は名前だけ。人間関係は下でまとめた。

今回は、武靖帝の孫の代の話。

前作「琅琊榜」は傑作中の傑作、物語の破綻も少なく、演出も54話ギリッギリ緊張感が漂い、各俳優の演技も代表作にできる出来だった。その次なのでハードルが高い高い。しかし、物語の破綻のなさ、演出のうまさ、演技のうまさは前作にも劣らない。

まあ、確かに惠王殺人事件は「まじかよ!」だったけれども。むしろアクションシーンの派手さでは今作の方が上だ。確か、黄暁明が言ってたんだと思うが、「前作は文の戦いだったら、本作は武の戦いだね」という通りだった。

それでも萌えどころが少ない、もしくは萌えどころが前作との関係だったのは私の腐女子趣味に少しそれ、前作の梅長蘇の「政治とはいかにあるべきか」を青臭く説くところが、おじいさん(庭生)では、萌えにくい。それでも、良作どころか傑作の一つであることは変わらない。萌えにくいんでね・・・。

それでも、主役の劉昊然と、影の主人公とも言える呉昊宸は若いが今後が楽しみだ。

劉昊然はどう見てもきれい目の周杰倫なのだが、大変爽やかだ。演技力も「主演」にふさわしい。途中で岳将軍大活躍、主人公山で引きこもり、なんてことにもなるんだけどね。

対して呉昊宸は大変に気持ちが悪い。褒めてるよ。前回の悪役・誉王を演じた黄維徳は誉王に同情を呼び起こさせたけれども、呉昊宸は一切同情の余地を呼び起こさせない。まあ、これがうまいのなんの。この年齢の主役はかわいく、愛嬌を振りまくといい。脇役は演技力を見せつけるといい。二人とも完璧に自分の仕事をこなしたと思う。

暁明先生が、抑え気味で終始「弟」を引き立てていたのが大変良かった。やればできるじゃん!

最終話の劉昊然と呉昊宸のアクションはそうでもないけれど、劉昊然の演武は大変綺麗。

もう一人同情の余地が一切ない人物としては荀皇后。前作の越貴妃によく似た性格のキャラクターなのだろうけれども、どう見ても言皇后・静妃と比べると品がないし小物感が漂う。女優としても、こうやって演じることはそれなりにリスクがあるだろうに、梅婷はよくやったと思う。ドシン!と演じると同情させてしまう。キャラの重さとしても(誉王とは異なり)同情させては不正解。

追い込まれる恐怖

前作が追い込んでいく側から見ていた。なので、主人公の意図は明確であり、巻き込まれていく人々(誉王とか謝玉一家)の恐怖はあまり味わわない。

ところが今作はリアルタイムで見たので原作も公開されていない。物語の行き先がよくわからない。余計に怖いのであった。前半の濮太纓の気持ち悪さと後半の元启のキモさが合わさって、特に前半はいわば、寧国公府・誉王府側から「琅琊榜」を見ているような気分になった。

ああ、梅長蘇に近寄られた靖王はめちゃくちゃ気持ち悪かっただろうし、一家離散させられてもまだ礼を尽くした蕭景睿はちびりそうだっただろうし、蒞陽長公主なんて吐き気がするほど嫌だっただろうなあ。結婚詐欺にあったような誉王が可愛さ余って憎さが百倍なのもわからないでもない。

「転生」しすぎ問題

「琅琊榜」ではスタッフが数人演者として中に入っていた。それがまたまるっと「転生」しちゃってるんだから笑ってしまう。中にはプロの女優さんもいるけど、転生しすぎ。

私が気づいただけで、
・夏江(の中の人)が黎老堂主
・蒞陽長公主(の中の人)が雲姐。おかげで「長公主に主人公が刺されて、夏江が助けようとしている」なんてことになる。
・夏冬(の中の人)が戚夫人。雰囲気が随分と変わる。しかしこの人は本当にアクションのできる女優さんなんだろう。
・南楚の郡主(の中の人)が安如。この人は綺麗だった。でも横顔があまりきれいではない。顎だね、顎。

そして、特に名前があったわけではないけれど、黎綱(の中の人)が文官に、童路(の中の人)が長林軍の将軍たちのなかにいた。

転生してない問題。
藺晨は生きているけれど、おじいさんが演じている。こっちは良い。上のサムネ、右側は息子なのか、養子なのか。

しかし、ちらっと出て来た寧王はおじいさんになっているはずだし、おじいさんメイクをしているけれども、演じている人の肌がピッチピチである。甥の皇帝(死にそう)と一緒に出ているから若さが際立っていた。

登場人物の整理

ネタバレしまくっているので、ネタバレされたくない方は即刻戻ろう。

武靖帝一家

武靖帝蕭景琰=先帝=「琅琊榜」の靖王の子は二人の実子と一人の養子。
上から順に、

養子 長林王蕭庭生
今上
莱陽王

長林王は、梅長蘇によって掖幽庭から救い出された三人の子たちのうち、武靖が一番可愛がった子・庭生を養子にしたということになっている。しかし、その実は武靖の長兄・祁王蕭景禹の遺腹児と思われる。本作においてもこのことを庭生本人は知らないらしく、どこの馬の骨ともわからない自分を奴隷の身から皇子にしてもらったと思っている。

莱陽王は皇帝の同母弟。蕭景琰・・・皇子はたったの二人ですか。やっぱりあなたが好きなのは梅長蘇だったものね・・・。しかし、武靖の時代に、罪を得てすでに死んでいる。

長林王蕭庭生と今上との関係は大変良好。良好どころか「大好きなお兄ちゃん」で、体調の優れない皇帝はお兄ちゃん大好きすぎて、伯父さんの寧王(王叔、と呼ばれていた)に長林王を支持してほしいと頼み、死後は長林王に補佐させると宣言してさらに「庭生哥哥」と言いながら庭生の腕の中で死ぬ。ここに萌え・・・られなかった。

新帝は新帝で、幼帝とは言えなくても少帝ではある。庭生を排除しようとする荀太后・荀大人と庭生の間で葛藤する。平旌を隠居に追いやるが、それは平旌の命を守る手段だった。平旌のことを長林王と呼び、最後まで信頼しているし、金陵を去りたいのも理解していた。がここにも萌え・・・られない。いい子だねえ、みたいな。

長林王家

長林王蕭庭生は先帝の養子である。先帝に与えられた名前のない位牌を一家で拝む。戦いで死んだ者全てを祀るというのだけれど、まあ、先帝=武靖だもの。あれはきっとお兄ちゃん祁王。そして、林殊。

「琅琊榜」のラストで蒙摯が軍を再編成して「長林軍」の名前を新帝(武靖)が与えている。私の理解ではおそらく長林軍は一度蒙摯の手にあり、それが庭生の成人を待って庭生に与えられた。

ここの子供達は世子・平章と二公子・平旌。本作の主人公は平旌。賢い兄とおバカな弟という関係であるが、二人は仲良し。軍務に就く平章と異なり、平旌は軍のことは兄に任せて自分は琅琊閣にいる。

実は世子・平章は庭生の実子ではない。前作で誉王妃が妊娠したまま逃がされ、廃太子にも息子がいるという話だったのでその子孫かと思ったら違った。

掖幽庭から庭生と共に助けられた子が二人いて、彼らも庭生の「しょんでぃー」である。路原と林深。そのうち林深はすでに戦死。路原は長林軍の副将だったが莱陽王の謀反に加担してそれを庭生に白状して莱陽王の企みが失敗に終わり、処刑されている。まだ幼い子には罪はない。庭生は子を引き取って長林王家の第一子とした。

林深にも遺児がいて、それが医女の林奚。

幼い頃に平旌と婚約している。多分髪の毛は全部自前で結っているのではないかと思う。アホ毛わさわさで毛先も細く、ヒロインならもう少し綺麗目に仕上げてあげてよ、と思う。しかし、医女が世子妃みたいではおかしいわけで、まあ、仕方がない。

世子妃の蒙浅雪は蒙摯の一族の娘。兄の孫というところだろう。

浅雪・平章・荀飛盏の三人は共に蒙摯の(最後の)謦咳に触れたらしい。この国で一番の武芸者は荀飛盏。次が浅雪。

荀飛盏と、平章か平旌が怪しければ、萌え死ねるが、BL偏光グラスをかけてるのにどう見ても浅雪さんのことが好きだったからなあ。

どうも、蒙摯は実子がいない代わりに、色々な人たちを鍛え上げたらしく、「蒙家」は武人たちの間で大変尊敬されているらしい。萌え萌え将軍らしいわあ。

平旌の命を救うために平章は死ぬのだが、そこは、なんでまだ存命中で元気そうな蔺晨でも呼んでくればよかったんじゃないかと・・・。なお、この兄弟BLにもあまり萌えられなかった。

見ながら思い出したのが、趙氏孤児の話だ。前作も、孤児=趙武が庭生のようにも見えた。そうすると、なので、結局最後にその子、平旌が即位するのかと思った。つまり、平旌が即位して、靖王の血筋から本来あるべき皇統=祁王の血筋に戻すのかと思ったら違った。

祁王の生母は林殊の叔母。平旌は祁王の孫。なのでこの林妃を通じて、林殊と平旌は血が繋がってるのね。平旌には林家の血が濃厚に出ている。蔺晨が気に入るのも、「銀の腕輪」を与えるのもよくわかる。林殊は一人っ子だったので赤焔軍を継ぐつもりだったけれど、たぶん本当は金陵のおぼっちゃま生活よりも蔺晨と一緒に江湖に遊ぶ方が性に合っていただろうなあ。とここも「琅琊榜」を連想してしまう。

そして、もちろん長林王府はすごく見慣れていて、元の靖王府のセットを使っていた。そう。だからあるんだよ、密道が。梅長蘇は埋めろと言ったけれど、結局埋めさせなかったのか、後に武靖帝が戻させたのか。

莱陽王家

長林王家が光とすれば、影が莱陽王家。

莱陽王は罪を得て死んでいるが、王妃と子はいる。

子は王位をつげず莱陽候に落とされ、元の王妃は太夫人でしかない。子・元启は父を知らない子である。あの子が平章を恨むのは仕方がない。だって、父の処刑につながったのは、平章の父親の密告からだから。

夫人は東海から来た女だったが、一族の女は皇帝の淑妃になり皇帝の第一子を妊娠した。嫉妬に狂い、長林王家を恨み、蒙浅雪の結婚祝いに皇后が準備した物の中に避妊効果のあるものを忍ばせ、それを知った淑妃に毒を飲ませて難産のすえに淑妃は死亡。

このことが明らかになり、夫人は自殺。これをきっかけに元启は濮陽纓の扇動にのり、墨淄侯と通じることになる。

元启は自分こそが武靖の孫であり、血も繋がらないくせに皇帝と太子(=新帝)の信頼の厚い長林王家は目の上のたんこぶと思う。平章の死後は特に。荀家と組んで平旌排除、最終的には謀反を起こす。まあ、この元启がきもいきもい。性格もねじくれて、どうしようもない。褒めてるのよ。ただし、平旌と元启の嫉妬&逆恨み系BLにはなぜか萌えなかったんですよ。好物のはずなのになあ。

元启は荀皇后の姪の荀安如を見初めて妻にもらい、郡王になるが、安如は夫が東海と通じていることを知り心が離れ、謀反後に自殺する。そりゃそうだ。いくら叔父の殺人事件の犯人とはいえ、戚夫人を焼き殺すのを目にさせられたら大ショックだし、まあ、キモいよね、あんたの旦那。

荀家

荀皇后の兄・荀白水が内閣の主補である。白水は子がいないのか父のいない甥の荀飛盏と姪の荀安如を育てた。荀飛盏は禁軍大統領。

荀家から見れば、皇帝の信頼の厚い長林王家は疎ましい。皇帝没後は自分たちが国の実権を握ると思っていただろうに、皇帝の遺言は長林王を補佐にすることである。平章・庭生と亡くなったのちに荀大人が中心になって長林王府は封鎖され、平旌は琅琊閣に隠居する。荀飛盏はそれに不快感を示して禁軍大統領をやめて旅に出てしまう。

疫病のときのように利用できるときは長林王家を使うが、皇帝没後はこれを追いおとす。元启と組んだはずの荀白水だが、元启を疑いはじめたことを気づかれて殺される。食えないタヌキのつもりだっただろうに、策士策に溺れる感じが大変良い。ザマァ!荀太后もかつて濮阳缨を信頼し過ぎたことが疫病を引き起こさせた。これを理由にして自刃させられる。こっちもザマァ!感満載で大変お上手なのである。

荀飛盏は中の人が見覚えがあると思ったら、「三国」の孫権さん(張博)じゃありませんか。でも平章よりも浅雪が好きなのが見え見えだし、平旌を助けるのも皇帝のためなので萌えなかった・・・。彼のアクションは見どころです。

謎の人物・濮阳缨

濮阳缨は艶のない髪の毛にしても気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。前半はこの人が気持ち悪くて後半は元启が気持ちが悪い。

元の属国・夜秦の遺民で、夜凌子を率いた。その遺民たちを操ったのだが、その目的は決して夜秦を復興させたいわけではない。

案外あっさりと元启に殺されるのだけど、皇后令を見つけさせたり、結局夜秦の復興は無理でも梁を崩壊させられればよかったわけで、この人の手の中で後半も進んだのだろう。怖い怖い。

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コメント

  1. […] どったばったどったばったしながら名探偵とダメダメ刑事の物語なのだけど、佟麗婭が出てきたところで、「らんやーばん2」で涙崩壊。 […]

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