成績優秀、眉目秀麗、スポーツ万能の大学生・山田太郎が、貧乏一家を支えるためアルバイトと内職と生活費節約に励む日々をコミカルに描く。
原題:貧窮貴公子 2001年
感想
ヴィック以外に見所のなかった「部屋においでよ」と比べると、本作は脇がしっかりしている。キャラがしっかり立っていて、非常に良い。原作の力も大きいと思った。
レンタル版(森永あいセレクション)とセル版の違い
レンタル版がどうにもカットし過ぎていたと感じて、セル版を購入した。
違いはまず、セル版は一話25分以下と短い。が話数は多い。おそらく、台湾ノーカット版に字幕をつけたのだろう。ストーリーもぶっ飛んではいるのだが、まだつながりがある。中古で良いので、こちらを強くお勧めしたい。買う価値はあると思う。注意する必要があるのだが、レンタル落ちのものも中古市場に出回っているようだ。「6枚組」はレンタル落ち、「10枚組」はセル版だ。「10枚組」と書かれているものをチョイスすることをお勧めする。
たまに動画配信されることもあるようだが、今見られないからレンタル版かどうなのかがよくわからない。
とにかく、ヴィック!
ヴィック・チョウは、まだ顔がガキ。しかし、「流星花園」のぼわんとした「花沢類」と「流星花園2」のしっかりとした「花沢類」の演技の違いはどこにあるのだろうと思うのだが、本作にはむしろ「僕は君のために蝶になる」のアトンの影が見えた。着実に一つずつ吸収していたのだな、と思う。
本作ではいろんな人(鳥居先生、御村の祖父)の夢の中に「ブラック太郎」が出てくるのだが、その人を馬鹿にしたような悪そうな顔が、「ブラック&ホワイト」の在天というよりは、「僕は君のために蝶になる」でリー・ビンビンを事故現場に連れていって、交通警官の幽霊と笑いあってリー・ビンビンにこわーい笑いを送る、というシーンがあるのだが、あのシーンのアトンに似ていた。
本作の前半は太郎に周囲の人が翻弄される話だ。
ヴィック・チョウ本人は完全な弟属性で、誰かのお世話をするというよりはむしろ、誰かにお世話されたい、いや、お世話させたくなる男らしく、同じくF4のケンのみならず、飛輪海の”パパ”ウーズン(ちなみに”ママ”はケルビン・チェン)にまで飯を作らせていたというたらしぶりを発揮してくれる。自分でも無意識のうちに相手を共依存に陥れるタイプなのではないかと思われるのだが、その魅力を良くわかったキャスティングだと思った。太郎本人はかわいい弟妹のために尽くす人なのだが、みんな太郎を放っておけず、振り回しに振り回されるのに笑った。
けれど、本作の後半、よし子の婚約あたりからは、逆に太郎が周囲の人に翻弄されていく。そこの苦悩の様子に微かに「流星花園2」の花沢類が見えてくる。本作の撮影は「流星花園」の放送開始後なのだろう。後半、御村の姉たちに変身させられて「花沢類みたい」と言われている。始まりのお祈りでも「F4のサイン会でサインをもらったら高く売れますか?」があったり、台詞に「F4のCDの売り上げのように上がる」という比喩が出てくる。太郎が貧乏人と校内で言いふらす美也子も家に太郎の写真を飾っているが、全て「太郎」ではなく、「周渝民」のもので、サイン入りボードもあった。本作の撮影時期は台湾の秋から冬だろうか。ここから真冬の「部屋においでよ」と春から夏っぽい「流星花園2」に続くのだろう。「流星花園」のぼうっとした類から、本作を経て、「部屋においでよ」の中原の目力があって、「流星花園2」の花沢類の堂々とつくしを受け止める演技ができたのだろう。変化率が大きいときなのだろうなあ。
リウ・ガンホンは、Will Liuだから「ウィル・リウ」だろうとおもうのだがなぜか「ウィール・リウ」と書かれることのあるこの人、私にはジェイの彼氏親友のガンホンだ。
これが、面白い面白い。チンピラのイメージが強かったのだが、コメディの才能があったのか。ちなみに、本作のヒロインがこのガチムチマッチョのごっつい乙女。しかし、本作以降にコメディにコメディロールで出演した形跡がないのが惜しまれる。
弁護士役で出て来るのがウェン・シェンハオ(「敗犬女王」のレスリー先輩)ではないか。さらに、終盤、屋敷の中庭で杉浦(リウ・ガンホン)と太郎が車の練習をするときに出てくる教習所のセクシーな先生の有美さんがシェリル・ヤン。ほほがまだまあるくて、肌がパンと張っている。口元が今と違うのだが、本作では歯がガタガタ。この当時モデルだったと思うのだが(そう言えば、「薔薇のために」のルー・ミンジュンも歯がガタガタだったなあ)、台湾は気にしないのだろうか。「敗犬女王」ではガタガタではなかったので、矯正をしたのだろう。
なお、DVDには中国語字幕があり、台湾華語を学ぶには結構いいと思う。内容が内容なので、難易度も低い。
コメント
[…] MCはF4ではなく、フィービーとアヤ。フィービーは見たことがあると思ったら「ろまんす五段活用」の麦子の育ての母だし、アヤは「山田太郎」の隆子。でもまあ、この二人がぎゃんぎゃんうるさいうるさい。撮影時期はおそらく「流星雨」後「流星花園2」前だろう。「流星花園2」放映直前だったのだろうか。 […]
[…] 今回はヴィックの演技が上手くなって生きているせいか、ヴィックのいるシーンでは私の目はヴィックを追いかけ続けている。「花沢類」は「ファーツァーレイ」になってしまった。F2がつくしといるときにヴィックが一人変な方向に行くところとか。ああ、類ってこうなんだよ、と思う。空気読まないところは類なのだけど、少年体型だったファーストシーズンや「山田太郎ものがたり」と違って線があまり細くない。自信がついたのかな。 […]
[…] 楊貴妃の死因は何だったのか、が本作のテーマなのだが、楊貴妃を演じた張榕容は、「光にふれる」では「サンドリーナ・ピンナ」で出ていた。今回も張榕容という漢字の上にSandrine Pinnaと振られる。日本では、「山田太郎ものがたり」では張榕容(チャン・ロンロン)と書かれていたし、サンドリーナ・ピンナと書かれたりするので、そろそろ統一してあげてほしい。楊貴妃は胡人の血を引く設定でハーフ女優が使われたようだ。ハーフ女優といえば、Angelababyだったり、ハーフっぽい少数民族出身だったら設定に近いだろう迪麗熱巴(ディリラバ)が中国にいるのだけれども、今回は台湾から張榕容。確かに玄宗皇帝=デブ専なのは壁画その他で残っているし、おデブちゃんだったのではないかと言われる楊貴妃なのだけれども、張榕容は太くはない。ただし、Angelababyやディリラバのようには細くない。妖艶さというよりもそれなりに迫力があった。「皇帝が国を傾けさせ、白龍・丹龍が人生をかけ、阿倍仲麻呂が帰国を諦め、30年後の白楽天が夢中になる楊貴妃」に説得力があるこの役、ベスト中のベストならばおそらく孫麗。ただし、お金がかかるね。 […]
[…] さて、悪役はリウ・ガンホン。ジェイ映画における安定した悪役である。これを見てから「山田太郎ものがたり」の杉浦先輩の部分を見るととっても笑える。 […]