日月(じつげつ)神教の教主・東方不敗(とうほうふはい)が、かつて本拠地としていた黒木崖を奪還した。何年も前に五岳剣派によって壊滅させられたはずの魔教が、再び息を吹き返したのだ。並ぶ者のない武芸の達人である東方不敗の再起に危機感を抱いた嵩山派の掌門・左冷禅(さ・れいぜん)は、秘伝の奥義書「辟邪剣譜(へきじゃけんぷ)」を手に入れて対抗しようと画策。一方、剣譜の持ち主である林震南(りん・しんなん)は、嵩山派とよしみを結ぼうと考え、華山派掌門で“君子剣”の二つ名を持つ岳不群(がく・ふぐん)に対して、左冷禅との橋渡し役を依頼するのだった。これを受けて岳不群は、一番弟子である令孤冲(れい・こちゅう)と二番弟子の労徳諾(ろう・とくたく)を林家へと向かわせるのだが…。
新笑傲江湖 2018年
感想
令孤冲は、「れい・こちゅう」でわない…れいこ・ちゅう。
アクションもかなりキレッキレで結構良かった。
なぜか妙に金庸作品の中では、「笑傲江湖」は特に東方不敗を中心に改造しちゃう。
全三十七話で結構コンパクトにまとめてきているような気がします。早いところで、令孤冲に任盈盈、藍鳳凰に東方不敗、林平之に岳霊珊を出してしまうのは、この三組を見てくださいねということで比較的わかりやすい作り方というか、現代的な作り方かも。
月下の恋歌の頃と比べるというか、思い起こすとこちらは完全にスマホに配信されることが前提になっていて、顔のアップアップアップまたアップで時代がはっきりと変わったんだなと思いました。
さて、これです。今回のれいこちゃん。
わっか&じっみ。というかやたらと、今回のれいこちゃんが、学部のときの先輩に見えて仕方がない。40だぞ、あの人。当時24だったから、40前の人から見たらこんな感じだったんだな。
ところが、この地味な丁冠森は、どこまでご本人がなさっているかは別ですが、アクションをしているように見せられる人なんですよね。手首を返して剣を使うところなども綺麗だった。それが起用の理由でしょうね。そしておそらく令孤冲というキャラクター自身もおそらく三十をすぎない。むしろスタート時点では二十歳ソコソコのお兄ちゃんだと思うんです。キャラの年齢に近い俳優さんです。初めはちゃんと少年を演じてますし、どういう順番で撮影したのかはわかりませんが、きちんと次第に成長します。
任盈盈を演じる薛昊婧も、メイクのせいか比較的地味ですね。悪い意味ではなく、あのれいこちゃんが好きになるなら、そういう感じだなあという、清楚さ。
で、「笑傲江湖」といえば、ブリジット・リン(女神復活の、カジキに乗って「東方ふはーい!」ドーン!「東西方ふはーい!」ドーンがすき)以降東方不敗(ちょっきんしちゃった男性)を女性が演じることがよくあります。その挙句、東方不敗とれいこちゃんをくっつけてあげてほしい!ってなっちゃう月下の恋歌なんて作品まで出てきます。
ところが今回東方不敗を演じるのは、丁禹兮。男性です。なんと95年生まれ。かわいいのなんの。かわいい東方不敗で、え、これが東方不敗なの!?大丈夫か?と思ったのだけど、問題ない問題ない。というよりも、ジョー・チェンの東方不敗よりも、ブリジット・リンの東方不敗よりも、上出来ではないでしょうか。美しさと禍々しさの両立をしていますから。女性が演じると、東方不敗というキャラクターの禍々しさがあまりないですね。最終話はきっちりと男性の演じる美しくて禍々しい東方不敗です。それまでの少年のような東方不敗から、最後二話だったかな、三話だったかな。きれいに化けます。
なぜか東方不敗と五毒教の藍鳳凰がカップルになってる。おおーう。東方不敗ニキはやっぱり東方不敗ニキ(?)。けれども、海岸のシーンは二人とも良かった。本当に良かった。その直前の「あなただけが愛を与えてくれた」というセリフは本心でしょうね。でも、やらなければならないという、腐敗した世界よ。愛した人、愛してくれた人と一緒では進めない。
れいこちゃんの成長譚とともに、東方不敗が東方不敗になる物語でもあった。
演技ができる人は、脇に持って来るべし。という私の持論を、実現してくれましたよ。
本作もともとヒロインの任盈盈の影が薄いのだけど、藍鳳凰の方が出演時間が長かったのではないかというほどです。いわば、令孤冲と任盈盈のパート(令孤冲中心)、そして藍鳳凰と東方不敗のパート(藍鳳凰中心)というくらいかな。藍鳳凰、もうキャラが原作からあまりに乖離しすぎてたけれど、きちんと筋は通る。
丁禹兮は、「月光変奏曲」で爱奇艺が猛プッシュ中の男の子だったか。見るしかないな、あれ。しかも「传闻中的陈芊芊」で腾讯视频にも猛プッシュされてた子か。見よう。
その藍鳳凰を演じた劉珈彤は一人だけすごい迫力と色気だと思ったら、87年生まれだった。本作で一番演技できたのではないかと思うけれど、今のところ、この作品が出演最新作のようで。もともと出演作が少ない方だけど。(年齢的にご出産とか?)現代劇よりも、古装劇の方が似合うお顔立ちだと思う。どうなさってるかわからないけれど、将来的なカムバックを期待。
本来の第二主人公たる林平之を演じたのは陳汛。悪くはないけれど、✂︎後からの陳暁が強烈だったのもあって、そこまででは、ない。
小師妹の岳霊珊を演じたのが、姜梓新。延喜攻略でも明玉の悲劇を演じていた、あの子です。撮影はどっちが先なんでしょうね。こっちではそこまで頭がグラグラしていなかったので、頭の上に乗っけるミッキーマウスの耳みたいなのが重たいんでしょう。悪くはないんだけど、こっちもこっちで楊蓉を見てしまえば、劣るよねえ。ということになっちゃう。
オープニングの主題歌になっていたのは、有名な曲。サム・ホイの笑傲江湖で使った曲だから広東語。あの作品で「笑傲江湖」の曲として出てきたんじゃなかったっけ。いろんな人がカバーしてて、陳情令コンビもカバーしてる。