映画「ルパン三世」

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紀元前40年代の古代ローマ。アントニウスがクレオパトラ7世に贈った”世界で最も美しいジュエリー”・・・<光の首飾り>に<真紅のルビー>を埋め込んだ究極の宝物・・・【クリムゾン・ハート】。それはかつて何者かによって盗み出され、以来、歴史の闇に消え去ってしまった。そして現代。ルビーと首飾りのそれぞれの所有者、アジアの闇社会を牛耳るプラムック(ニルット・シリチャンヤー)と、かつてアルセーヌ・ルパンの相棒だったドーソン(ニック・テイト)は、互いの秘宝を狙い合っていた。プラムックはドーソンを暗殺して首飾りを入手、【クリムゾン・ハート】を完成させた。ドーソンの遺志を継ぎ、ルパン三世(小栗旬)は秘宝奪還を誓う。

2014年

感想

映画館で見てきた。

監督は北村龍平。

脚本は決して悪くはない。もう少し削れば良かったけれど。
キャスティングはしゃーないかな、と我慢できるレベル。「るろうに剣心」の神谷薫のようなミスキャストではない。一人一人の演技も悪いわけではない。

が。

全てをぶちこわす演出とカメラワーク、そして何より邪魔な音楽。
アクションは肉弾戦なら体と体がぶつかりあう音が、銃撃戦なら銃声が、殺陣なら金属音が、そして足音や息づかいそれが最高のBGMなのだ。決して安っぽいジャズもどきではない。これほどBGMが邪魔した作品は他に一つしか知らない。あの大駄作として呼び声の高いジェイ・チョウとリン・チーリンの「トレジャー・オブ・エンペラー」(「刺陵」)だけだ。「刺陵」に並ぶことのできる作品が存在するとは驚きだ。

外連味の強い演出の数々がいろいろと台無しにしてしまった。「るぱん、ルパーン!」のテーマ音楽が使えないなら使えないで完全に別物の「ルパン三世」にしても良かっただろうに、下手にアニメーションを意識して、しかもアニメーションを使おうとするから失敗する。

シンガポールと同じバイクでルパンが香港に現れるのも、タイの黄色いフィアットが日本あるのも変だ。ああそうですか。同じ型の車に乗るんですか、ルパンは。アニメーションでは違和感がなくても、実写では違和感がある。

乗っている飛行機が日本航空と思わせたいのだろう。機体の外から窓によって中のルパンに、というシーンは不要だった。しかも、スッチーが山田優って何だ。ルパンの「いい女みっけ!」、次元の「・・・お前なあ」のシーンだったのだろうが、玉山鉄二は完全に無視しているぞ。しかも、ルパンの「いい女みっけ!」は常に不二子に圧倒的に劣る存在でルパンの記憶からはすぐに消える。ゲスト出演とはいえ、妻をそんなところに持ってこられて小栗旬は良いのだろうか。あそこは聞かされてなかったのだろうか。そもそも、山田優、それでいいのか?黒木メイサに圧倒的に劣る存在という設定で。

小栗旬

ルパンの小栗旬は台詞回しはアニメ風だ。悪くはない。所々格好をつけるのだが、アニメーションならくどくないのが実写ではくどくなってしまう。まあ、仕方がないか。ただ、撮影の角度のせいで顔がのっぺらに見えてしまうことが多かったのが気の毒だ。特に相手が彫りの深い黒木メイサにジェリー・イェンでは分が悪い。主演なのだからもう少しかっこ良く撮影してやれば良いのに。そもそも、小栗旬はコミックロールが得意な俳優ではない。印象深い役は「花より男子」の花沢類、「花ざかりの君たちへ」の佐野泉。どちらも陰の役だ。「東京Dogs」でも陰だった。

主役のコミックロールというものは陽でなければならない。それが顕著なのが「ルパン三世」だもの。陰が得意な俳優を持ってくるとバランスを崩してしまう。生田斗真がもっと身長があれば良かったのにと思う。松岡昌宏でも良かったなあ。いや、長瀬智也か。長瀬は決して細く見えないのが問題か。ひょろひょろモードのヴィック・チョウなんて良いんじゃない?陰も陽もできるよ、奴は。キャスティングに夢が膨らむ。

玉山鉄二&綾野剛

玉山鉄二は中盤の「決して不二子に心を許さない」次元だったのに、最終決戦直前に不二子に食べさせるシーンで不二子を仲間として認めてしまっている。キャラクター崩壊じゃないの・・・。

私は綾野剛が嫌いだ。だが今回の真面目過ぎるが故に笑える存在、石川五右衛門は気に入っている。アニメーションの五右衛門ってここまで笑える存在ではなかったと思うけれど。黄色いフィアットの上に座る五右衛門が再現されていたのが面白かった。五右衛門は陰のコメディロールだったのか。

黒木メイサ

黒木メイサは不二子には少し若すぎる。しかし、日本語話者の女優でエキゾチックでセクシーな女優が他に見当たらないのだから仕方がないか。良い意味で人形のような美貌のせいか、当初は黒木メイサのイメージビデオになるのかと思ったが、そうでもなかった。まあ、お見事。台詞回しというよりも喋り方が友人そっくりで、個人的に親しみの持てる不二子になってしまったが。アクションは代役を立てたのだろうか。もしももう10歳、いや、5歳上だったら完璧だったのなあと思う。

ただ、あの美貌はKATEかと思うとちょっと萎える。メイクをもう少し変えても良かっただろうに、CMのままではつまらない。

ジェリー・イェン

ルパンのアニメにはゲストが出てくる。ルパンがひと肌脱いでやろうと思う相手だ。それが今回はジェリー・イェン!
悪役と聞いていたが、結局ラスボスは別で、ジェリーのためにルパンが働くことになる。珍しくひげ面なのだがなかなかセクシーなのだ。シンガポールのシーンのむんむんとした色気にあてられてしまった。ちなみにひげ男は好みではない。

流星花園」ではジェリーが動で陽、ヴィック・チョウが静で陰だった。その他でもジェリーは常に主演だからか、ジェリーには陽の人のイメージがある。そのせいか今回は妙にオーラがないと思ったのだが、そもそも陰の人小栗旬を陽に持ってきたので、ジェリーは陰に回ったのだろう。それが、小栗旬があまりキラキラしていないし目力がないのでオーラのバランスがとっても悪いのだ。そう思うと「流星花園」のジェリーとヴィックのオーラのバランスは絶妙で、チープな作りのくせに妙に惹き付けられるのはそこだっただろうか。

若い頃の野性味がなくなっているのだが、それでも良い意味で力が抜けていてそこそこ良い。小栗旬とのアクションシーンでは小栗旬が吹っ飛ぶんじゃないかと心配になった。本気で演じているときのヴィックだったら小栗旬は食っちゃっただろう。今回の小栗旬ならジェリーにも食えたんじゃないかと思うところが残念だ。

浅野忠信

銭形のとっつぁん、イケメン過ぎる。
イケメン過ぎるくせに、どこまでもとっつぁんなのが素晴らしかった。

キム・ジュン&脚本の大きな穴

ピエールを演じたキム・ジュンも「花より男子」出身らしい。なんとなく松本潤に似ている。
肌があまり綺麗ではないのが残念だが、まあ、アイドル映画ではないのだと言えば許容範囲内か。吹き替えだったが、ジェリーの口がなんとなく英語の動きのように見えたのに対して、この人の口の動きはほぼ完璧に日本語。そもそもそういう役だったが。

さて、今回の脚本の穴はこのピエールにある。

オープニングのシンガポールではピエールは身体能力を生かして侵入する。なのに、得意技は「パズルを解く」らしい。タイの最終決戦ではハッカーになっている。しかもヨセフという「天才プログラマー」が出てきてお株を全部奪うという、何のためにいたわけ?な人になってしまった。

オリジナルの時代、まだインターネットの時代ではなかったから、腕利きの泥棒、最高のヒットマン、孤高の剣術士の組み合わせで良かったのだが、今は後方支援のハッカーがひつようなのだ。必要な役なのに上手くいかしきれていないのが残念だ。

やるならば、シンガポールのシーンでは警報装置に侵入して撹乱させなければならない。それではメダル争奪レースにならないというならば、ピエール一人は争奪レースには加わらず「良いかい。○分だけ警報を切ってあるよ」などと言ってやる役でなければ。そしてラストはタイムキーパーだけではなくてシステムに侵入する役でなければ。

海外を視野に入れたこと

音の感じからして、もともとはかなりの部分が英語だったのではないだろうか。それを日本語に吹き替えているので違和感が残る。それでも、ウーズン一人を吹き替えた「金田一少年の事件簿 香港九龍殺人事件」「獄門塾殺人事件」よりは自然だった。

しかし、海外、特にアジアを意識し過ぎかもしれないと思った。
言葉は良いとしよう。メインキャストに台湾人&韓国人俳優を入れたのも良いだろう。
今の時代、ルパンが盗もうとしてそれが日本とは限らないし、不二子とマイケルが兄妹でも変ではない。シンガポールの富豪を狙い、香港の富豪がルパンの背後にいて、タイの富豪がラスボスなのも良い。

そういう時代なのだ。アニメーションだって、最近のものは海外が舞台になることが多いではないか。
ただ、微かに無国籍映画にしようという気配を感じた。無国籍ドラマにしようとしたジェイ・チョウの「パンダマン」的な匂いがするのだ。

むしろ、日本をばんっと全面に出した方がアジア受けしそうなのにな、と思った。日本ではエキゾチックだけど、アメリカあたりにはたくさんいるアジア系の女の子の黒木メイサではなく、もっと日本人らしい顔立ちでセクシーな不二子とか。ただ、思いつかないのが残念だ。黒木メイサは良い仕事をしたけどね。

そういえば、ジェリーって「パンダマン」でジェリー警部をやってたね・・・
いずれにせよ、続編を作るつもりがあるなら「こうやったら失敗する」のオンパレードだった「パンダマン」と「トレジャー・ハンター」をしっかり見て反面教師とすべきだと思う。

変顔だった綾野剛、大画面で見られて本当にうれしかったジェリー・イェン、想像もできなかったのだが完璧にとっつぁんだった浅野忠信、ものすごく親しみが持てる人になった黒木メイサ、演出はひどかったが、そのものは良かったアクションで一点ずつ。

あー惜しいわ、この映画。

映画「ルパン三世」【TBSオンデマンド】

映画「ルパン三世」【TBSオンデマンド】

小栗旬, 玉山鉄二, 綾野剛, 黒木メイサ, 浅野忠信, ジェリー・イェン, キム・ジュン, タナーヨング・ウォンタクーン, ニルット・シリチャンヤー, ニック・テイト
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