流星

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株の投資に失敗し、恋人にも捨てられたエリート証券マンのウェイ(レスリー・チャン)は、捨て子の赤ん坊を見つけ、ミン(エリクソン・イップ)と名付けて自分の子として育てることにした。そして4年後、貧しくも仲良く暮らすふたりの前に、ミンの実の母親(キーキー)が現れて……。

流星語 THE KID 1999

感想

監督はジェイコブ・チャン(張之亮)。製作はレスリー・チャン本人。

アジア金融危機後を舞台に、チャップリンの「キッド」をリメイク。

元ネタ「キッド」は子供は男と一緒に女優の元に行く。
しかし、本作では金持ちの女のところに行ったのは子供だけだ。本来であれば一人で生きていけるし、養われるのを良しとしないウェイはミンとは暮らせない。親切なのだが、最終的には血を優先させる中華系らしい作品である。

特典映像のインタビューでレスリーは「この男は前向きな男ではないと思うかもしれない。しかし、生き方は前向きなんだよ。どん底でも捨て子を拾って育てたんだから」と言っていた。べき論、上昇志向のきわめて強い香港では、ウェイのように、能力があるのに自分から落ちぶれていく、それも実子でもない子供のために、という奇怪な男なのかもしれない。

少し座りが悪く感じたのはミンとウェイはその後も会えたのだろうか、ウェイはどうなったのだろうか、という点だ。ミンはそもそも母親になついたのだろうか。通常の香港映画はそこまで描くのに、本作では無視だ。まるでフランス映画のように。
ヴィック・チョウが父親を演じた「新天生一対」では描いたのにな。

台湾映画であれば、「ミンを心配せずにすむようになったウェイは金融業界に復帰(お金持ちが好きだからね)。でもすむ場所はあそこ(そういうのが好きだからね)。死んだランさんの代わりに老人ホームと託児所の面倒を見る人がいる。ウェイもそこに顔を出すし、ミンも遊びにくる」だろうか。

一夏の夢物語であった「新天生一対」とは違い、本作はリアリズムにあふれていた。だから描けなかったのだろう。ウェイはあのまま朽ち果てたかもしれない。金融業界に戻ったかもしれない。それとも、ランさんの代わりに老人ホームと託児所の面倒を見たのはウェイだったかもしれない。最後が一番しっくりくる。

本作で受賞したのはルンさんとランさんだったようだ。いい味ではあったが、それはそれ。
あのエピソードは良いエピソードだったけれど、映画では必要だっただろうか。何かと面倒を見るルンさんはあのままで良かったと思うし、ランさんはランさんであのままで良かったと思うけれど。そのせいで、生さぬ仲の父と子の物語が希薄になってしまった。

90年代ですら、上海は空気が汚かったと。

オープニング、イケイケだったウェイがアジア通貨危機による株価暴落で「香港の背後には中国が控えている」「中国が手を打つ」とコメントしていた。おそらく、当時もそういうアナリストはいたはずだ。

香港人と話していると、あんた香港を過大評価してるでしょ、と思うことがある。それも、しばしば。
「中央政府が香港を兵糧攻めにすることはないと思うのね。一国二制度は成功してるって外国に証明しないといけないんだから。」
と香港女子は言っていた。例えば、上海がある今、香港から上海に金融機関を移動させることと「一国二制度」は矛盾しない。

レスリー・チャンが汚い。でも妙に愛くるしい。短パンから伸びた足は細いけれど無駄のない感じ。
子供といっしょにはしゃぐところとか。きっとこの人、良い父親になっただろうなあと思う。養子を迎えようとか思わなかったのだろうか。赤ん坊を抱く手つきなんて、私よりもずっとしっかりしている。姪をだっこしたりしていたのだろうか。

「子供は一緒にいりゃいいというもんでもない」「俺は本当の親じゃない」というのは本心だったのかもしれない。豊かな家、多くの兄弟がいた人だけれど両親との縁が薄かったレスリーは、100%の愛情と時間を注げないならば育てる気にはなれなかったのかもしれない。そして自分もしくは彼氏の実子でなければ。お金を稼げても、メイドに面倒を見させるつもりはないという、ウェイというキャラクターが「レスリー・チャン」という人にかぶる。

ウェイが金融業界に復帰したときの暗い目が怖かった。

男たちの挽歌」でやくざのティ・ロンと警官のレスリーだったが、今回は警官ルンさんのティ・ロンとぶらぶらしているレスリー。前髪に少し茶色が入っているのがなんだか90年代後半だなあと思う。

字幕では子供は「ウェイ」とすべて言っていたけれど、他の人には「バーバー」。ウェイには「アーウェイ」と言っていた。「父さん」「ウェイちゃん」だな。ウェイは「ミン」ではなく「みんちゃい」「ちゃい」は仔だな。

83年に海につかって青春していた人は、99年に子供と一緒に遊んでいる。99年のプロムナードも低くて、今とはまた様子が違いそうだ。ああ、早めに香港に行かないと、レスリーの見た香港は本当になくなってしまう。香港女子は「早く来な」と言う。

2000年にレスリーは「僕は香港映画の黄金時代も今の没落も知っている」と言っていたが、その後何度も見るに値するのは「インファナル・アフェア」と「コールド・ウォー」だけですよ・・・。

本作はレンタルできず、新品のDVDもない。お早めに。

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