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「インファナル・アフェア 無間道」「インファナル・アフェア II 無間序曲」「インファナル・アフェア III 終極無間」 

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時系列に並べると、「インファナル・アフェア II 無間序曲」「インファナル・アフェア 無間道 」「インファナル・アフェア III 終極無間」

インファナル・アフェア 無間道 

警察と犯罪組織それぞれに潜入を命じられた2人の男が、身の危険と心のゆらぎに苦悶しながら10年の時を経て対決の時を迎える姿を緊迫感溢れるタッチでスリリングに描く。

原題: 無間道 2002年

感想

監督はアンドリュー・ラウ(劉偉強)とアラン・マック(麥兆輝)のコンビ。脚本は、アラン・マック(麥兆輝)とフェリックス・チョン(莊文強)。三人が「鉄三角」と呼ばれた、トリオ。

何度見ても面白い。ゼロ年代では一番の出来ではないだろうか。

クロニクルではこれよりも先にくる「インファナル・アフェア2」では善人だったサムは悪人で、悪人だったウォン警視は善人だ。2では善人であるために潜入捜査官となったヤンは、サムの元で自分が善人か悪人かがわからなくなっている。「警官である」それだけがアイデンティティなのに、言うことができないし、仕舞にはラウによって警官の身分すら奪われかける。愛によって悪の道に引きずり込まれたラウは、サムとラムを殺さざるをえず、ヤンも死なせてしまい、善人になろうとしても善人にはなれない。この、善と悪が相対的なのは、非常にアジア的だ。これは多神教世界だから描けるのだろうか。オープニングは仏像だし、お経の一節が引用される。

ヤンの若い頃を演じたショーン・ユーは健康優良児だった。トニー・レオンはショーンとは違って病的ですらある。善人か悪人かがわからなくなってしまったヤンには似合っている。2、3年おきに見ているのだが、こちらが年を取るごとに味わい深く、かわいらしくすら見えてくる。ラウ、という自分の影絵のような敵を得て、自分の立ち位置を「善人」に再度定めていく様子がうまいのなんの。

それに対してラウは調子がよく、「仕事ができる」男なのだが、アンディ・ラウは途中までほぼ一本調子で演じる。ラストのヤンの死まで何も演じていないと言っていいくらいだ。だからこそ、その白々しさが生きている。

さて、キョン。ヤンに対しては日本語字幕が「兄貴」となっていてヤンよりも下の扱いだ。けれど、2で見ると、ヤンはキョンに連れられてサムの元へ行くのだ。少なくとも「兄貴」ではないのではないかと思うのだが。私は広東語がわからないので実際にはなんと言っているのだろう。1を制作する際にもう2も3もプロットはできていたようなのだが、キョンはもともとは2では出る予定ではなかったのだろうか。

けたたましい色調の香港なのに、この映画のせいで私の中の香港はブルーベースになってしまった。青空も少ない香港なのに。どうしても香港が見たくなって、ビデオで本作を見た年に私は香港に飛んだ。

インファナル・アフェア 無間道(字幕版)

インファナル・アフェア 無間道(字幕版)

アンディ・ラウ, トニー・レオン, アンソニー・ウォン, エリック・ツァン
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インファナル・アフェア II 無間序曲

中国への返還前、香港が好景気に沸いていた1991年から97年までの7年間を背景に、黒社会と警察、そして彼らを取り巻く人々の交錯する運命を描く。

原題:無間道Ⅱ 2003年

感想

「インファナル・アフェア 無間道」の前日譚。ヤンがどうして潜入捜査官になったのか、の話。

前作に引き続き、監督はアンドリュー・ラウ(劉偉強)とアラン・マック(麥兆輝)のコンビ。脚本は、アラン・マック(麥兆輝)とフェリックス・チョン(莊文強)、という、黄金のトリオ。

エディソン・チャンもショーン・ユーも(チャップマンすら)若く、肌がはっていてぴっちぴちで美しい。大好きなのだが、突っ込みどころ満載である。

まず、私生児のヤンがクワンとの関係を隠して警察学校に入学できたとしても、今度は潜入の側だ。ハウはヤンに父親が死んだことを伝えることができたのだ。警察学校にいたこともわかっていただろう。ハウはそんなヤンを信用できたのだろうか。

また、ハウは私立探偵にクワン殺害について調査させたのだが、そこで実行犯のラウは見逃されたのだろうか。小者すぎてわからなかったのだろうか。もちろん、ハウが知りたかったのは「誰が殺したか」よりも「誰が殺させたか」だから良いのだが。

ルク警視が爆殺されるところで、爆発した車はルク警視が寄りかかっていたので、ウォン警部のマンションの駐車場までルク警視が運転してきたのだと思うのだが。待っている隙に仕掛けたのだろうか。

撃たれたハウは弟、ヤンの腕の中で死ぬのだが、無線機を発見して潜入であることを知りがなら死ぬ。このフランシス・ンの演技、そしてここからしばらくのショーン・ユーの演技は素晴らしい出来なのだが、ハウは額をぶち抜かれているのだ。即死ではないかと思うのだが。

そんな細かいところはどうでも良いのだろう。善人だったサムがマリーの死を通じて悪人になり、殺しをそそのかしたウォン警部はルク警視の死を通じて善人になろうとする。ヤンは当初から善人でありたかったこと。悪人のラウはマリーへの愛に引きずられて悪の道に入ったこと。それを描くのが本作だから。

感傷的な作り(緩いメロディをバックにスローモーションで人が死ぬ、など)が多用されてもたつき、食傷気味な演出であるが、良いのだ。そんなことは。

ショーン・ユーは黒い皮のジャケットを着続けているが、これは、トニーがやっていた格好だ。ただ、この当時のショーンは健康的で、いつも少し病んだようなトニー・レオンになる、というのはちょっと似合わない。2012年現在のショーンはマッチョだ。

エディソン・チャンは全編通じてぼうっとしたような目をしているのだが、空港でマリーを見殺しにするときにはそのぼうっとした目が余計に恐ろしかった。

それにしても、カリーナ・ラウ。エディソンの端正な顔の恐ろしさとショーンの熱演とカリーナの凄みだけでも見る価値がある。

インファナルアフェア Ⅱ 無間序曲 (字幕版)

インファナルアフェア Ⅱ 無間序曲 (字幕版)

エディソン・チャン, ショーン・ユー, アンソニー・ウォン
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インファナル・アフェア III 終極無間

香港を舞台に警察とマフィアが10年以上に渡って互いにスパイを送り込み、壮絶な闘いを繰り広げたサスペンス・ドラマ三部作の最終章。ヤン殉職前後の2つの時期に焦点を当てつつ、警察内部に潜伏し続けるラウの、自らの運命を懸けた最後の戦いを追っていく。

原題:無間道III:終極無間 2003年

感想

ヤンの殉職から10ヶ月後の話。

三作とも、監督はアンドリュー・ラウ(劉偉強)とアラン・マック(麥兆輝)のコンビ。脚本は、アラン・マック(麥兆輝)とフェリックス・チョン(莊文強)。

1と比べると落ちるが、2と比べれば外連味が薄くて、もってまわったような演出がないのがいい。

3を見ると、1で良かったのは、謎がたくさん残っていたことだったと思った。例えば、ヤンはなぜ腕を石膏で固めていたのか。どうして精神科医のところに行くようになったのか。それの説明なしにぽんと進むので、まるで数日を切り取ったかのようにリアルだった。その謎を解いてしまったから、面白くなくなってしまう。

1が善人であるか悪人であるかわからなくなったヤンの物語だとすると、3は善人になろうとするラウの物語だった。そして、この三部作は善人になりたいがなることができない、死にたくても死ぬことすらできないラウの無限地獄の物語だった。それにふさわしく、アンディ・ラウは熱演するのだが、ちょっとやり過ぎだ。

それに対してトニー・レオンは肩の力がほどよく抜けていて良い。ラウの妄想の中のヤンは1のアイデンティティを失いかけているヤンではなく、むしろ2の絶対的な善人のヤンだ。それをうまく演じ分けていた。

レオン・ライが恐ろしいのなんの。「目的のためには手段を選ばない」ヨンはむしろ悪の側にいる。それが端正なたたずまいだから怖い怖い。めがねの奥の目は決して笑わないし。鋭い目つきのアンディ・ラウですら目も笑っていたぞ。ただ、「警察学校では書き方でAだった」というヨンは運動神経も射撃の腕もあまり良くなかったらしく、あっさりと射殺されてしまうのだが。(別に殺されなくても良かったと思うのだが。それにしても、1のヤン、2のハウ、3のヨン、とヤンの側の人々は必ず額に一発ぶち込まれて死ぬなあ。)

ケリー・チャンは綺麗なのだが「花瓶」だった。なくて良いのだが、仕方がない、ラウを狂わせる装置として必要だった。

さて、つっこみ。
2ではため口、1では「兄貴」と言っていたキョンだが、3では「俺の唯一の相棒」になっていた。どういうこっちゃ。日本語字幕の問題なのだろうか。それとも、2でキョンの立ち位置が変わったために、3では2に合わせた、ということなのだろうか。

ラウはなぜ自分がサムのイヌだと知ったマリー(妻)を消さなかったのだろうか。2ではあっさりと自分のものにならなかったマリーを売って殺させたくせに。善人でありたかったからなのだろうか。マリーもマリーだ。ラウを売らないのだろうか。ラウへの恐怖ではないだろう。離婚するし。むしろ、子供の父親を逮捕させたくない、というのがあるのかもしれないが。(リーは医者なので守秘義務があるから喋らなかった、でいいだろう)。

インファナル・アフェア3 終極無間(字幕版)

インファナル・アフェア3 終極無間(字幕版)

アンディ・ラウ, トニー・レオン, レオン・ライ, ケリー・チャン
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