大手企業KNCの社長であるクォンは、ささいな口論が原因で、婚約者のパリスが行方をくらまし、途方に暮れていた。そんな時、パリスと顔がそっくりの花屋で働く娘サムを、街で偶然見つけたクォンは、彼女にある突飛な依頼を持ちかける。それは、KNCの社長令嬢にして共同経営者でもあるパリスになりすまし、会社の命運を握る舞踏会までの1週間、彼女の代役を務める、ということ。社交ダンスはおろか、ハイヒールすら上手く履きこなせない素朴な花屋の娘を、どう変身させるのか?そして、勝気なパリスとは正反対の、無垢で天真爛漫なサムに次第に惹かれていくクォン。偽りから始まる恋の結末は―!?
影子愛人 2012年
感想
監督は潘源良。
性格のきついお嬢さまが行方不明になり、そっくりなちゃきっちゃき娘をお嬢さまに仕立て上げ、って面白くないわけがない。しかも二役を演じるのがセシリアとくれば期待してしまう。ハードルが上がってしまったのは仕方がない。しかし、どうしてこうも面白くないのだ。
編集は甘く、のんべんだらりとしていて非常に長く感じられてしまう。こういう作品はちゃっちゃと締めに締めてテンポよくしなければ。
舞台も奇妙だ。セシリアは地声(あのガラガラ声を久々に聞いた)で、広東語を喋っている。けれど、舞台は香港ではない。広州なのだろうか。もう、どうでもいいや。
キャスト
まず、セシリアのパリスとしての登場のところのメイクが下品に濃く、笑ってしまった。サムとしてもセシリアの持ち味の陽気さとかくるくる変わる表情の可愛らしさなどが生かされていない。パリス、パリス、パリス、と「完璧なパリス」らしいのだが、ぎゃんぎゃん叫ぶだけで人間味がまるでなく、まるでターミネーター。さらに、どこに韓国人は惚れ込んでいるのかもわからない。打算か?サムのよさが際立つだけではないか。
次に韓国人だ。クォン・サンウは本作で初見。
ただでさえ不細工な顔立ちの上、表情がまるでなくて能面のようだ。これは韓国の俳優には多い。欧米の俳優や、アジアでも中華系の俳優の豊かな表情に見慣れると、日本も韓国も表情の作り方が下手だと思う。まあ、それはおいておこう。顔立ちが悪くて能面のようでも、品があればいいのだが、品のようなものもない。叩き上げで若くしてCEOに上り詰めて、しかも創業者令嬢の共同経営者の恋人になるような、押しの強さのようなものもない。パリスのどこに惚れているのかもわからず、打算だろうな、と思わされる。打算だから自己保身のためにサムが必要なのね、と思ってしまう。パリスのためにドンを押さえておくためにサムが必要だ、ということらしいのに、この大根俳優は設定をめちゃくちゃにしてしまった。また、こんなでくの坊のどこが良いのだろう?パリスもサムもこの男のどこに惚れているのかもわからない。私はおそらくこの人の作品はもう見ない。
パリスのいとこ役の女優もきつくて品のないメイクだった。その上にやはり表情がない。
ダンスを教えるジョニーの丁春誠は「桃花タイフーン!!」のお兄ちゃんの一人だ。やはり、大根。
なぜか出てくるおばあちゃんの話だが、祖母の若い頃を演じたのはアンジェラ・チャン。日本人役だからぽつぽつと日本語を喋る。いっそ、日本の若くて売れない女優に頼んだら?と思うのだが。第二の田中千絵は無理だろうが、少しは自然だっただろう。ただ、演技は上手かった。「ろまんす五段活用」では上手い女優とは思わなかったのだが、こう周りがひどい(「五段活用」も周りはひどかったけど)と、上手く見える。
おじいちゃんを演じたのは井柏然。ホット・サマー・デイズ、ハッピーイヤーズ・イブでAngelababyの相手役をしていた人か。相変わらず朴訥としていた。