10%しか機能していないと言われる人間の脳。しかしルーシーの脳のリミッターは外されてしまった――。
LUCY 2014年
感想
監督はリュック・ベッソン。
アメリカ人のルーシーは台北で遊び暮らしていた。CPH4という薬を縫い込まれ、覚醒してしまう。
スカーレット・ヨハンソンは美女のはずだ。いや、美女なんだよ。リュック・ベッソンは女優を主演に持ってくると、その女優の女優人生で最も美しく見せてくれる。「レオン」のナタリー・ポートマンしかり、「フィフス・エレメント」のミラ・ジョボビッチしかり。ところがスカーレット・ヨハンソンはちっとも魅力的ではない。顔にはニキビやシミがあり、モデルかタレント志望のルームメイト同様、芸能人気取りのパーティーガールだっただろうに美しさに欠ける。醜悪と言っていい。極め付けは「ニキータ」以来の前髪パッツンワンレンシーンだが、これが似合わないことこのうえない。
なにはともあれ、LUCYだ。
結局は「フィフス・エレメント」である。超能力を身につけた女が人類を救う。ただ、今回は「知識」という形でルーシーは人類に貢献する。「フィフス・エレメント」ではミラ・ジョボビッチは人類の犯した数々の罪を見せられ、それでも人類を救う。この二作にあるのは人類に対する信頼だ。
パリのカーアクションは最高だ。やっぱり「Taxi」だ。このシーンだけは映画館で見たい。本当にパリのタクシーはすっごく飛ばすのだ。
気になったのは日本と香港のプレゼンスの低さだ。スカーレット・ヨハンソンの名前を知らしめたのは「ロスト・イン・トランスレーション」。もちろん舞台は東京だ。フランスでもハリウッドでもアジア系のマフィアといえば香港を始め中華系とほぼ決まっている。金を引っ張ってこれる東京、もしくはあのケオティックさがエキゾチック極まりない香港を舞台にしたいではないか。香港に住める自信はないが、台北なら住めなくはないと思う。ケオティックさに欠ける街なのだ。そして晶華酒店(ザ・リージェント台北)に巣食うマフィアなら、「男たちの挽歌」よろしく凶暴な台湾マフィアだろうし、香港マフィアが台北で、というのもわからなくない。
なぜに韓国マフィア?と思ったらパリの教授のところでわかった。ルーシーの様子を撮影するシーンでカメラがサムソン。ああ、そういうことだったのか。もう日本からはお金を引っ張ってこれないのだね。香港ではないのは、もはや香港が手垢がついてしまっているからだろう。
ただ、「あ、そう」で片付けてよろしい。