グレイスはロボット設計士でシングルマザー。突然見知らぬ男たちに誘拐、監禁される。何故誘拐されたのか?娘と自分の命を脅かされる恐怖の中、粉々に壊された電話回線を懸命に修復し助けを求める。奇跡的に電話が繋がり、出たのは息子を見送りに空港に向かう最中のアボン。「もしもし、助けてください!電話を切らないで!」
たった1台の携帯電話だけでつながった、グレイスとアボン。グレイスが頼れるのは、この通話だけ。ただし、アボンはヒーローでも警察でも何でもない、普通のサラリーマン。やむなく、助けると約束するが、その懸命さが新たな危機を呼び起こす。誘拐犯人の狙いは?警察を巻き込んでの捜索は思いも寄らない“ある秘密”を呼び起こす。果たしてアボンはグレイズ親子を助けられるのか?自分の息子に逢えるのか。絶体絶命の危機連発!予測不可能な最悪の展開が2人を待ち受ける!!
この電話だけが最後の頼み。絶対に切れない―。
保持通話 Connected 2008
感想
監督はベニー・チャン(陳木勝)
オリジナルは「セルラー」。見ているのだが、記憶にほとんどない。なのに、上手く料理したなあと思う。そうだ、テンポの良さちあり得ないようなアクションが香港映画のキモだもの。
香港映画だからといって、カンフーものではない。銃撃もあるが、ジョニー・トーのような銃撃ではない。主なアクションはカーアクションと、「滑り降りる」だ。以前映画館で見たものをDVDで見直したのだが、アクションものはやはり映画館で見たい。
もちろん、カーアクションは、しょっぱなの車、中国車が一番見応えがある。というのもおそらく日本車の軽かそれよりも薄そうな車なのだが、これがほとんど凹まない。あり得ねー。でもこれが、香港クオリティ。
本作は「ダメ男」の再生と捉えることができる。アボンは「信用」を全て失ってしまった。妻と離婚しているようだが、おそらく愛想をつかして出て行ったのだろう。姉も、そして幼い息子も。
警官はどんなヘマをしたのかわからないが、昔は切れ者だっただけに、部下を怒鳴りつけることもあったらしい。今は温厚になってしまっている。「信用」は失っていなくても、プライドはズタズタだ。
その二人が「グレイス」という女のために再生していく物語。
アボン役のルイス・クーはダメぽいのがいい。警官役のニック・チョンはこれで初見だ。ベテランらしいが、日本で見ることができるいうな映画にはあまり出ていないようだ。
バービィ・スー。なぜ、バービーではないのかはよくわからないが、「バービィー」だったり「バービィ」と表記されるこの人。汗と涙でぐちゃぐちゃ、なのに肌が綺麗綺麗。台湾のアイドル女優出身で目鼻立ちがくっきりした人なのに、角度によってはひどく平べったい顔に見えてしまうのは丸顔の宿命だ。本作で初めて見たのだが、忘れられない女優になった。私は一目でこの人に夢中。だめ男二人が再生するきっかけになる「声」の主だ。半泣きの声だけでアボンと警官を動かすという凄いカリスマを好演していた。
(後に、私はこの人の「流星花園」「流星花園2」と「流星」シリーズ、さらに、ヴィック・チョウと組んだ「戦神」にはまることになります。バービィ個人で言えば、一人ででっかい男四人を引っ張った「流星花園」が上。けれど、個人的には「流星花園2」の物語の方が好きだし、とくに後半のヴィック・チョウの出来が秀逸。「戦神」はそれはそれは見るものを引き込む出来。)
悪役はリウ・イェ。大陸の俳優さんだが、見る映画見る映画、全部変態だったりエロいのなんの。役のせいというよりも、セクシーな目のせいだ。今回はサングラスをかけてその目を封印しているが、気持ちが悪い悪い(褒めている)。
舞台
舞台は香港。もちろん「メトロポリタン香港」も出てくるが、空港のある島の岩山が印象的に使われていていた。

ゴンピン360から撮影したものです。
記事はこちら「ゴンピン360に乗って、天壇大仏の下まで」