戦神~MARS~

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天才的バイクレーサーで、大学の人気者の樫野零(ヴィック・チョウ)。
内向的で周囲から孤立してきた麻生キラ(バービィー・スー)は同じ大学に通う学生。
ある日、零は美術部員であるキラが描いた母子のデッサンを偶然目にし感動する。
完成した絵をもらう代わりに、零はキラの絵のモデルを務めることに。
ある日、キラのデッサンが盗作されたことを知った零は、校内で暴れ、停学処分を受けてしまう。
徐々に、お互いの存在を強く意識し始めた零とキラ。
そんなときキラは、零の双子の弟・聖が、零の目の前で飛び降り自殺をしたことや、母親が幼少のころ他界したことを知ってしまう…。

出演:
樫野零・聖……ヴィック・チョウ(周渝民)
麻生キラ……バービィー・スー(徐煕媛)
杉原晴美……メーガン・ライ(頼雅妍)
木田達也……シュウ・ジエカイ(修杰楷)
2004年 原題「戦神」

感想

かなり古い作品ですが、本作前後が台湾ドラマの一つの黄金時代ではないかな。これまで見た台湾ドラマの傑作は、「ブラック&ホワイト」だと思っていて、本作は二番目とは言わないけれど、上位に食い込みます。

実は「流星花園」「戦神」「ブラック&ホワイト」は同じ監督、キャストも一部同じです。(「戦神」と「ブラホワ」の間に「白色巨塔」が入るのかな。)アラがかなりあるのですが、撮影技術がどんどん上昇していくのがよくわかります。ここの段階ではまだ俳優の声よりも背後の音の方が聞こえるのもいかがなものかと。

ストーリーそのものはかなり暗いです。レイプシーンその他がないわけではないので、そういうものが苦手な方にはおすすめしません。主役のキラも零も一種精神を病んでいるし、この二人はいわゆる共依存だろう。そして桐島はサイコパスですし。

笑ってしまったのはバイクのレースシーンです。「流星花園」が日本で放送されたころだったのか、レースのシーンはどうも日本ロケで、観客は多分エキストラさんなんですね。。皆さん、良い意味でも悪い意味でもオートレースを観戦しに行くタイプではなさそうな方々で、流星かヴィックのファンミでもあったのかしら、と思うのでした。

それは置いても、見所はヴィック・チョウの聖と零の演じ分けです。凄まじいものがあります。正確に言うと、零(現在と過去)、聖(過去&亡霊)なので、3つの演じ分けです。しかも双子はどちらも二面性があるので合計6つの演じ分け。

DVD二巻目で晴美に「殺すよ?」と脅すのも、キラの絵を盗んだ倉沢を襲うところも綺麗だねえ。端から見てる分には。ただ、相手役やカメラさんは本当に怖いだろうなあ。孤独を抱えててそれを隠すためのチャラ男、というキャラクターは「ブラック&ホワイト」の在天と同じ。零と在天は別のキャラクターで、零と在天はきちんと演じ分けられていますよ。在天には凶暴さがないけれど、零は在天の原型といっても良いかもしれない。

美術室で変態教師を脅すところはゾクゾクするほど綺麗だ。まだ、この時期では右の目と左の目の大きさを同じ大きさに保ててる。「笑うと左の眉が」とキラが言っているけれど、ヴィックはたまに片目だけ細める癖があるから。

賭けビリヤードのシーンの「狙った」目も良かった。「流星」シリーズにはビリヤードホールのシーンはいくつかあったが、類がビリヤードをしているシーンはなかったと思う。楊三郎のポスターの精悍な目はここにあったか。陳在天はそんなに「狙った」目はないものね。

DVD6巻目で桐島の首を絞めるシーンは、怖いねえ。その直後の我に返る瞬間の見事さ。我に返ったときの相手役のショーン・アンも不気味で良かった。VS浜ちゃんの時の暴力性の覚醒と冬眠もそうだったのだが、ぐわあああああっと目に力が入るときと、力が抜けるときが気持ちが悪いくらいに差がある。二面性のある男だから仕方がないか。

DVD7巻目でバービィさんの告白を聞いて泣いている姿は本当に泣いていたのではないかと思う。扉が開いていて、ただ一人だけ。孤独感とか、キラを救ってやれないこと。無理強いしかけて、パニックに陥らせたことを後悔する様子が上手く出ている。仲直りして海岸でポニーテールをしたヴィックはキュート。

DVD8巻目で継父の家にいる、と言われたときの効果音、なんだい。「どーん」って。雷音でわらっちゃった。この後、何度かこの効果音が出るのだが、シリアスなシーンなのに笑ってしまう。ところで、このとき。ヴィックの顔の右半分に感情が見えない。つぎに、「お前とはやっていけない」と言うときは長い前髪の間から右目だけが見えるのだけど、今度は、軽蔑の色でいっちゃってる・・・怖い。あんな目で好きな男に睨まれたら、それだけで私は再起不能になりそうだ。そしてその次が学校で別れるシーンなのだけど、すごく可愛い。撮影は連続していないのだろうけれど、連続して見るこっちは怖さと可愛さで揺すぶられてばかりいる。今度はホテルで女の子がシャワーを浴びてるのを待っているときの目の空虚なこと。そして、達也と喋っているところは左の目しか見えない(それにしても音が悪い。なんで喋ってる背後に写りもしないバイクの音がすごいわけ?このシーンは歩道橋で撮影しているのではないかと思うのだが、「台北の朝」でも出ていた歩道橋?)。

さて、今回ヴィックは零と聖の二役だった。けれど、正確には六役と言って良いだろう。それは双子がそれぞれに二面性があるからだ。

まずは現在の零(1)。次が零の回想の中の零(2)」と「聖(3)。さらにキラが聖側から見たときの零(4)と聖(5)。そして、ラストにキラと零が会う聖(6)。しかもそれが複雑。

「現在の零(1)」には「攻撃モード(1)’」と「チャラ男モード(1)”」がある。「零の回想の中の零(2)」は「チャラ男モード(1)”」に近い。「零の回想の中の聖(3)」はおとなしいだけ。「キラが聖側から見たときの零(4)」は「零の回想の中の零(2)」と近いが、もう少し純朴。ここは同じシーンを別の角度から撮影しているように思った(少なくとも私は別だと受け取った。聖の自殺シーンだけまた借りて見直すかなあ。)。「キラが聖側から見たときの聖(5)」は暗い目をしていて、「攻撃モード(1)’」に近い。キラが見た「ラストの聖(6)’」は、「キラが聖側から見たときの聖(5)」と同じ。しかし、零が見た「ラストの聖(6)”」は、「零の回想の中の聖(3)」の延長で、(3)以上に純真そうな目をしている。

基本は、「攻撃モード(1)’」と「チャラ男モード(1)”」、そして「零の回想の中の聖(3)」「キラが聖側から見たときの聖(5)」の四つだ。

こうして見ると、「零の回想の零(2)」と「零の回想の聖(3)」の演じ分けがあまりできていないのは意図的のように思える。それは、現在の零が精神を病み、帰国後の記憶が曖昧になっていたり抜けていたりするからだ。

「攻撃モード(1)’」で睨まれると恐ろしい。恐ろしい理由はもろに「動」である「攻撃モード(1)’」で目が「静」で座っているからだろうか。これに近い「キラが聖側から見たときの聖(5)」やキラの見た「ラストの聖(6)’」のヴィックの目は「静」。

そして、「チャラ男モード(1)’」の目はくりくりとしていて可愛い。けれど、同じくりくりとした目なのに、足をつかんで見上げる「ラストの聖(6)”」の目の恐ろしいこと。「攻撃モード(1)’」で睨まれるよりも恐ろしいと思う。鳥肌が立ってしまった。下手なホラーよりも怖い。瞬きをせず、空虚な目なのだ。それでいて「純真」。それも、作り上げた純真さなのだ。もう少し具体的に言えば、下からまるで助けを求めるような、そしておずおずとした目で、しかも空虚な目だ。それは自分が助けを求めれば零は必ずやってくるのを聖は知っているからだ。そして、聖の本当の意図はキラが見抜いたように、零を自分のいるあの世に引きずり込むという邪悪な意図だからなのだ。空虚なのは死んでいるから。

そして、二人の本来の姿は、零が「キラが聖側から見た零(4)」であり、聖が「キラが聖側から見た聖(5)」だったのだろう。

演じ分けたヴィック・チョウという人の才能に、引き出した監督の才能にほれぼれしてしまう。
そういえば、「僕は君のために蝶になる」も幽霊のアトン、生前のバスケットの花形選手としてみんなが知るアトン、そして愛されたことのない、自信のない本来のアトン、の三面を演じていた。ジョニー・トーは本作を見ていたのだろうか。

愛妻弁当で嬉しそうで壊れかけている零君であったが、こっちはキティちゃんバッグでガーリーな弁当箱で一口一口泣きそうな顔をして味わっているので、萌え死ぬ。ま、量は足りないだろう。で、普通ここで嬉しそうな笑顔に演技をするだろうし、そう演出するだろう。でも、あの泣きそうな顔は良かった。感情がこみ上げすぎてどうしようもない。いや、単純にまずい弁当だった、ということかもしれない。それなら、「まずいよ」と泣きながら食べるシーンが欲しい。

シャワーシーンがあった!!!さすが、台湾ドラマ。三度目のラブシーンで私は萌え死にかけた。はじめの二回バービィさんにがっついてる君はいたずらっ子の大型犬がご主人様にじゃれついてるようで、うん。認めよう。可愛かった。特に一度目は男としてはあれだけ反応が良いのに途中で突き放されるのではたまったものじゃないだろう。キラのトラウマの深さを伺わせると同時に、三度もチャレンジする零の愛情も表現する良いシーンだった。

DVDは中国語字幕がありますよー

コミックリズが配信する場合、日本版にも大抵DVDでは中国語字幕が選択できます。楽天ブックスの販売ページをみると、廉価版でも中国語字幕があるようです。

ただし。どうも後半どんどん編集が粗い、というかぶつぶつ切れているように思ったんですよ。前半はそれほど感じない違和感を後半にかけて、特にDVD8巻目あたりから感じました。台湾は78分くらいなんですよ、一話の尺が。テレビ放送では枠が90分くらいあるの。それで、中国ドラマや日本、アメリカのドラマの尺は45分なので、台湾で放送する時は、2話一気に放送することがあるみたいなのね。で、逆に台湾ドラマを日本に持ってくるときに、再編集することがあって。これもそういうことになったのかなー。

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コメント

  1. […] 少々難点がないわけではない「戦神」ではヴィックとバービィの歯車が上手く噛み合っていて最高。 […]

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