いますぐ抱きしめたい

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香港の暗黒街に生きる青年の姿を独自の映像感覚で切り取った痛切なラブストーリー。

原題: 旺角卡門 1988年

感想

監督は王家衛。監督としてのデビュー作。

ストーリーが、といわれるウォン・カーワイだが、本作にはきっちりと練られたストーリーがある。しかも、面白い。ラブストーリーものにされているが、ノワールだろう。ジョニー・トーならば、ちょっとお耽美なスローモーションにしそうなところを、ウォン・カーワイはコマ送りで見せる。このコマ送りが少し時代がかっているなと思う所以でもあるのだが。撮影はアンドリュー・ラウ。そのせいか、微かに後のいろんな映画の要素が詰まっているようにも思えた。

まずアンディ・ラウの演じた「アンディ」とジャッキー・チュンの演じた「ジャッキー」という弟分は「欲望の翼」のレスリー・チャンとジャッキー・チュンを思い出させた。

待つ女のマギーは「花様年華」で浮気されている妻。これはマギー・チャンだからそう思ったのだろう。「欲望の翼」のマギーと本作のマギーはキャラクターがまるで違うが、レストランやホテル、球場の売り子、というのは近い設定だ。

アンディが彼女に「子供を堕ろした」と別れ、再会して「結婚下の」大きなお腹を見られて「彼の子よ」と言うのは、アンドリュー・ラウが監督した「インファナル・アフェア」のトニー・レオンと昔の彼女が再会したシーンを思い出させる。

「インファナル・アフェア」では明らかにヤン(トニー・レオン)の子、という設定だったが、本作はぼかされている。おそらくアンディの子。でも、案外、「イザベラ」のように、別の男の子だが、堕ろしたはずの最愛の男の子供と思って出産することにしたのかもしれない。

アンディ・ラウのつやつやした頬、マギー・チャンの横顔の美しさ。二人とも若い。アンディの変わらなさは驚愕すべきレベルなのだが、やはり、内側からしみ出すような若さはさすがにない。

本作を見て、この監督良いかも、と思ってみた次が「楽園の瑕」だったらちょっと辛そうだ。だが、「グランド・マスター」ならおすすめできるのかなあ。

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