「射雕英雄伝」・「神鵰剣俠」と「楽園の瑕」

「射雕英雄伝」を読んだ。
通常私は原作のあるものは映像で見てしまうとそこから原作に戻ることはない。原作を読んだら、それを映像化したものも見ることはない。それは気に入った作品ならほぼ、ない。「ナルニア」くらいのものか。

原作と映画を切り分けたいのは、私の理解と監督の理解がまるで違うととても残念に思うからだ。

しかし、読まねば理解できない作品も存在する。
その一つが「楽園の瑕」であった。「レスリー・チャン 神鳥英雄伝」を見てそこに欧陽鋒に洪七公に黄薬師が出てきて、あー、これは読んでおかねばなるまいと思った。

日本の良いところは翻訳で各国の本を日本語で読むことができるところである。金庸の小説も日本語で読める。最高だ。
そういえば、まだアジア映画など見たことがなかった(おそらく地上波のジャッキーものくらいしか見たことがなかった)私に、中国人のお姉さんが「(現代中国文学なら)キン⚪︎⚪︎を読まなければ」とおっしゃったことがあった。手にとってようやくそれがこの「金庸」だったのだと気づいた。Nさん、お元気ですか?

「射雕英雄伝」の大雑把なあらすじ

さて、物語は金と南宋の時代。南宋の楊さんと郭さんは義兄弟でそれぞれの妻が妊娠していた。男同士なら兄弟に、女同士なら姉妹に。男と女なら夫婦にしようと言っていた。全真教の道士が生まれてくる子供達に名前をつけた。男でも女でも楊家の子は「康」郭家の子は「靖」と名乗れ。名前を彫って二振りの刀を渡した。

美貌の楊夫人を狙って金の王子が二組の夫婦を襲い、楊さんは失踪。楊夫人は金の王子の妃になり息子を生んだ。一方の郭さんは死亡。郭夫人はモンゴルへ渡り男の子を生んだ。一方道士は江南の七怪とどちらが強いかを試すために自分は楊家の息子を、お前たちは郭家の子を鍛えて18年後に戦わせようということになる。愚鈍だがタフな郭靖はチンギス・ハーンの娘を許嫁とし、勝負をするために中原へゆく。完顔康(楊康)は金の王子として何不自由ない暮らしをしていた。

この二人と黄薬師の一人娘の黄蓉、実は生きていた楊さんの養女、穆念慈の恋模様。それに絡む欧陽鋒の甥(実は不義の息子)の欧陽克。食意地のはった洪七公(北丐)、治療をしてくれた南帝・一灯大師が出家した理由。九陰真経を欲しがる欧陽鋒に、おちゃめさん周伯通。あーだこーだして機転を利かせた黄蓉が欧陽鋒にへんてこ九陰真経を教えたので欧陽鋒は発狂するという話。

「神鵰剣俠」の大雑把なあらすじ

時はさらに進んで郭靖・黄蓉夫妻は江湖に名を馳せる夫婦となり、黄薬師不在の桃花島に住んでいた。娘の郭芙はわがままいっぱい。ある日夫妻は少年を見かける。その少年は楊康と穆念慈の遺児・楊過だった。夫妻は楊過を引き取るが黄蓉は父親そっくりの楊過に警戒を続け、武術を教えることはない。郭芙たちにいじめられた楊過は夫妻に拾われる前に出会った欧陽鋒(発狂済み)に教えてもらっていた技を使ってしまい、全真教に預けられることになる。預けられる直前に郭靖が道士相手に立ち回ったせいで楊過は道士たちにいじめられ、古墓に逃げ込む。そこには小龍女が住んでいた。小龍女に弟子入りして楊過は成長する。

楊過と小龍女は愛し合うようになるが、全真教、郭靖・黄蓉夫妻、郭芙などの邪魔が入り二人は何度も別れてしまうし、楊過は右腕を郭芙に切り落とされる。二人はついに結婚するのだが、自分の寿命が短いと考えた小龍女は毒にあたった楊過に解毒剤を飲ませるために一計を案じ、「16年後にお会いしましょう」と書き残して絶情谷に身を投げる。解毒された楊過は16年間神鵰を連れに人助けをし、神鵰剣俠と呼ばれるようになる。

16年後楊過は小龍女が現れないので絶情谷に身を投げ、そこで小龍女に再会する。

脳内キャスト

「楽園の瑕」「大英雄」「レスリー・チャン 神鳥英雄伝」のおかげで脳内キャストがどうなったかというと、
楊康:若いレスリー(楊過は父にそっくりというし)
黄薬師:レスリー(大英雄)
欧陽鋒:レスリー(楽園の瑕)
洪七公:ジャッキー・チュン
一灯大師:レオン・カーフェイ
欧陽克:レスリー(息子ならいいじゃん?)

になってしまったのだ。レスリーだらけである。でも、女まで含めてレスリーなら一人何役もこなせただろうから、レスリー・一人芝居もありだったのではないかと思う。

そうすると、「大英雄」の九陰真経を巡る話もすとんとくるし、鳥の怪物が出てくるのも「神鵰剣俠」からなのがわかる。トニーの蝦蟇功も。(「神鳥英雄伝」でげこげこぴょんぴょんやるレスリーはかわいいよ)

ただ、欧陽鋒は蛇使いなのだが、レスリーもトニーも蛇は使わなかったな・・・
そんなことを思いながら、飲食を忘れて一気に読んだのだ。

読んでからの「楽園の瑕」との関係

クレジットされている原作は「射雕英雄伝」だが、むしろ「神鵰剣俠」の方にいろいろと近い。

「楽園の瑕」の素直ではない欧陽鋒は、少しひねくれたところのある楊過っぽい。欧陽鋒の兄嫁に恋する黄薬師だが、「桃花」や慕容燕/媛にちょっかいを出さずにはいられない。本命の小龍女一筋のくせに女の子には親切だしからかわずにはいられない楊過ではないか。

「射雕英雄伝」で欧陽鋒は兄嫁と関係して不義の子欧陽克がいる。その兄嫁を演じるのはマギー・チャンだ。素直になれなかった兄嫁は、本当は大好きなのに楊過をいじめてしまう郭芙のようだ。

手を取り合って江湖を渡っていく洪七夫妻は「神鵰剣俠」のラストの楊過・小龍女夫妻そっくりだ。

黄薬師への愛に敗れた慕容燕/媛の姿は、「神鵰剣俠」で楊過に失恋した女の子たちに重なる。

いないのは盲目の剣士と貧しい女だが、命をかけて女のために仇を討ってやろうとする盲目の剣士の姿は、片腕で世を渡る楊過のようだ、というのは障害者にこじつけすぎだろうか。

言いたいことはただ一つ

わけがわからない、とか言われる「楽園の瑕」なのだが、面白いんだってば。そういや、ブックオフで旧版の「楽園の瑕」があって迷ったことがあったんだよねー。買うべきだったかな。終極版はブルーレイの安価版も出たし、買ったのだけど、中古で旧版かうかなー。

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