「楽園の瑕」「楽園の瑕 終極版」

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楽園の瑕

伝説として語り継がれる剣士たちの壮絶な戦いと青春群像を鮮烈な映像で描く。

原題;東邪西毒 Ashes of Time
1994年

感想

監督は王家衛。撮影はクリストファー・ドイル。武術指導は、サモハンキンポー。

小説であれば「連作短編集」といった体の映画だ。タランティーノであれば切り替わるときにはタイトルを入れるだろうが、ウォン・カーワイは入れない。受け入れられにくいのは、そういうとっつきにくさが要因かもしれない。「大英雄」も見る人を選ぶが、本作も選ぶ。
雰囲気映画と誤解されるのだと思う。いやいや、武侠モノの知識と、香港映画の知識が増えると、そんな作品ではない。

「何かを忘れようとしてもかえって心に残る」
誰かを愛し、愛されたいのに、拒絶さえるのが怖くて自分から拒絶してしまう。

そのひりつき。

汚いレスリー・チャンと「もう一人のトニー・レオン」ことレオン・カーフェイが主役だ。暗く、陰気。トニー・レオンも陰気。ジャッキー・チュンもガキが成長する過程で陰気になってくる。

ブリジット・リンはあごが割れていて男装すると本当に男らしい。ただ、「妹」として嘆くシーンは美しかった。確かに中華一の美女だ。

 ブリジットとレスリーのシーンは他の人とのシーンとは違い、レスリーに(というよりも欧陽鋒に)余裕がない。他の人とのシーンでは相手を手のひらで踊らせて楽しんでいる。悪人・欧陽鋒らしい。
 ブリジット(とマギー)に胸を弄られるシーンはやっぱりレスリーでなければ。レオン・カーフェイとブリジットのシーンではレオン・カーフェは受け入れている。それはブリジットの妄想だからいいのだ。ただ、レスリーは一度苦しんで、マギーと思うことでようやく受け入れられる。(私のレスリーの体をまさぐりたいぜ。このシーン、きっちり股間まで触ってるよね・・・)眉根を寄せることもせずに、目を開けるだけで苦しみの表情を表現できる俳優はいないよ。

「大英雄」

ただ、「大英雄」を見てからだと笑える。
キャストの違いはまず女優だ。妹弟子役のジョイ・ウォンと女王役のヴェロニカ・イップがおらず、本作には少女役のチャーリー・ヤンがいる。

俳優側は、キャストは同じだが、役が違う。本作では途中で死んでしまう盲目になりかけた剣士がいるので、東西南北はそろわない。いないのは南帝(仙人のタン)。
そして、田舎者役のジャッキー・チュン以外はみな役が大英雄とは違っている。フォンはトニー・レオンではなくてレスリー・チャン。ヤオシはレスリー・チャンからレオン・カーフェイ。本作のみにいる剣士がトニー・レオン。田舎者はやっぱり田舎者で、ヤオシはやっぱり女好きだが、フォンは悪人とまではいかない。それでも、出てくるだけで笑える。

下らない映画が好きな私は、「大英雄」が好きだ。ウォン・カーワイには感謝しなければならない。本作が遅れたために「大英雄」ができたのだから。

ロケ地はどこなのだろう。ゴビ砂漠とかその辺りだろうか。ブリジット・リンが湖面に映った自分の姿で修行を積むのだが、あの湖は見てみたい。

ところで、オリジナルのポスターは着物から「黄薬師」なのはわかる。ただし、どちらだったのだろう。レオン・カーフェイなのか。レスリー・チャンなのか。

楽園の瑕 [DVD]

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楽園の瑕 終極版

砂漠に住む男“西毒”はかつては凄腕の剣士だったが今は殺し屋の元締めをしている。そんな彼の下に集う剣士たち。それぞれの心に傷を持つ彼らは、愛を捨て剣をとり、超人的な技を駆使して戦いを挑む。あるものは生き、あるものは死んでいく。夢の果てに彼らが見たものとは・・・。

原題;東邪西毒 終極版 Ashes of Time Redux
2008年

感想

ひたすら、美しい。

終極版と見比べると、オリジナルの「楽園の瑕」のオープニングのレスリーのアクションはまちがっている。指を弾いてるじゃない。あれは黄薬師の技だ。レスリーを黄薬師にして撮影したアクションをそのまま使ってたんだな、ということがわかってくる。

・ナレーションで「この時期になると訪れる友がいる」がほぼ同じ内容で二度あるので重なっている。
・終極版では季節の文字が出る。
・記憶を失ったレオン・カーフェイがトニーと別れてブリジットに出会うシーンだが、ブリジットに会う直前にトニーの独白(「見えない」)が加えられている。そこからのカリーナと馬がエロティック。
・ブリジット・リンのセリフはオリジナルを観ていたときには気づかなかったが、終極版では北京語。相手のレスリー、カーフェイともに広東語。音もクリアになっていて、聴きやすい。そういえば、ウォン・カーワイは俳優に第一言語を使わせる。これがオリジナルの音声で、私の見たオリジナルではアフレコで広東語が入れてあったのだろうか。オリジナルでは感じなかったが、クリアな画像ではさすがにブリジットは歳だ。それでも湖面のシーンは美しい。水面の揺らめきが短かったと思うが。

なんとなく、シーンも別のフィルムで置き換えた?というところも少なくないのだが、比較していないので正確にはわからない。例えば、トニー・レオンとレオン・カーフェイが飲んでいて、トニー・レオンが立ち去り、その次のシーンが男装の麗人ブリジット・リンと出会うシーンだが、「楽園の瑕」ではこうだったかなあ、と思う。

トニーのシーンを削り、レスリーのシーンが増えた、ということだが、むしろ、トニーの出演時間は増えてるような気がする。レスリーの不在。レスリーのシーンが削られている終極版。どれだけ、王家衛にとって、レスリー・チャンの不在が損失なのか。
・ラストのその後のそれぞれのアクションがなくなり、レスリーのアクションだけになる。

ストーリーとしては、群像劇というよりもレオン・カーフェイとレスリーの物語だった。「東邪西毒」なのでそのはずなのだが、以前は群像劇だと思ったのだった。

しかし、荒削りなオリジナルの方がヒリヒリするような痛みを感じる。オリジナルをデジタルリマスターしてほしい。

一回見ただけではよくわからない作品だし、原作の本を読んで、他の作品を見て、ようやくいくつかわかったような気がする。合わせてどうぞ。 武侠映画としての「楽園の瑕」「大英雄」

動画配信されるようになったので、終極版だけなら、それなりにお気軽に。

楽園の瑕 終極版 (字幕版)

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レスリー・チャン, レオン・カーフェイ, ブリジット・リン, チャーリー・ヤン, トニー・レオン, カリーナ・ラウ, ジャッキー・チュン, マギー・チャン
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