花様年華

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1962年、香港。新聞社の編集者であるチャウと商社で秘書として働くチャン夫人。二人は同じアパートに同じ日に引っ越して来る。やがて、二人は互いの伴侶が不倫関係にあることに気付き、秘密の時間を共有していく…。

2000年 In the Mood for Love

感想

監督は王家衛。

日本で香港映画が比較的ポッシュなオシャレなものとして扱われた、最後の作品ではないだろうか。「欲望の翼」の続編と言われるが、欲望の翼と地続きではない。さらに続編にあたる「2046」とは主人公が共通するので、地続きであるとは言える。

タイトルをそのまま日本語にすると「花の様な青春」が近いだろうか。すでに、30を過ぎたような、既婚者二人のプラトニックな愛というのに不自然だが、これは「花様的年華」という曲がかかり、タイトルを回収する。

見るのは三度目くらい。つまらない映画だと思っていた。それでも、王家衛作品を見ているとどこか本作と共通点があって、気になってまた見た。妙に引き込まれる。

歳をとるとわからないわけではない。あの二人にとって、かけがえなのない青春というものは、実際の年齢が若かった瞬間ではなく、チャウがシンガポールに渡るあの直前。1962年だったのだろう。

そして1966年のチャウは知る。「過去は見るだけで、触れることはできない」

ああ。スローで階段を上っていくマギー・チャンのセクシーなこと。レストランでマギーがトニーの腕の中で泣くときのカーテンの揺らめきの美しいこと。

唐突に出てくる会話。ピンとチャウの会話。なんの脈絡もない会話。そうだよね。現実は。マギー・チャンとトニー・レオンの食事のシーンの、トニーの小さなこと。

秘密。そして木のかわりに壁の穴にささやく秘密。アンコールワットでチャウは何を語ったのだろうか。穴は土と草で塞がれ、永遠に守られる。

リー・ピンビンとクリストファー・ドイルによる映像の美しさ。

チェロの音楽。梅林茂によるものだが、「グランド・マスター」もそうだったな、と思う。ポン、ポン、と刻んでゆく時間。過ぎ去る時間。

何度も映る時計は、「恋する惑星」「欲望の翼」と一緒。やはり、この人は「時間」がキーになるのだろうか。

ところどころ、文章が出てくるのは、「グランド・マスター」と同じ。「楽園の瑕」の終極版もそうだった。

キーになるスリッパは「欲望の翼」でマギー・チャンが投げた。

香港人が日本の炊飯器が好きなのは昔も、ゼロ年代前半も。今もだろうか。「ラブ・アンダーカバー」に日本の古いデザインの炊飯器が出てきたと思う。

欲望の翼

欲望の翼」はチャウの書いた物語なのだろうか。それとも、パラレルワールドなのだろうか。
大家の「クゥさんの息子が出て行った」ことから、大家に息子がいて、死んだことを妄想するのだ。貞淑で上品なチャン夫人はかつて売り子のスーだったとしよう。この二人は惹かれあう。そして終わりを迎える。スリッパ。自分がシンガポールまで持っていったスリッパを、物語ではスーは投げ捨てる。

物語でチャン夫人のスーを慰めた男は、カンボジアに行く代わりに、フィリピンに行く。船乗りは商社マンになるのかもしれない。

チャウを捨てた妻は後ろ姿と声だけだ。あれは、「欲望の翼」にいたカリーナ・ラウで、声しかないチャン夫人の夫はアンディ・ラウをあてていたのだろうか。

花様年華 (字幕版)

花様年華 (字幕版)

トニー・レオン, マギー・チャン
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