台湾中西部の町・彰化(しょうか)に住むコートンは、同級生の仲間たちとつるんでは馬鹿なことばかりして、お気楽な高校生活を過ごしていた。ある日、コートンたちの度が過ぎた悪ふざけがもとで授業が中断。激怒した担任は、クラス一の優等生・チアイーをコートンのお目付け役に任命する。チアイーを疎ましく思う反面、胸がざわつき始めるコートン―彼と4人の仲間たちにとって、彼女は中学時代からの憧れの女の子だったのだ。やがて、教科書を忘れたチアイーのピンチをコートンが救ったことで、2人の距離は一気に縮まって…。
原題:那些年,我們一起追的女孩 2011年
感想
「愛する人よ、幸せになれ」という本当に台湾らしい物語だ。現実、台湾人がそういう行動をとるかは知らないが。
ジェイ・チョウ
高校のシーンでジェイの「三年二班」(三年二組)の冒頭、「三年二班、周杰倫」と呼び出しがかかって、しかも卓球をしながら男の子が走っていく〜。それはこの冒頭が卓球だから。
入っているのは「葉恵美」。正直、あまり好きなアルバムではない。「梯田」は好きだな。
そういえば、もろにジェイの年の話だ。ジェイよりも少しだけ若い私のときには、大学生はみな携帯を持っていた。台湾でもそうだったのではないだろうか。ほんの二年の違いでこういうところが大きい。
「九把刀(ギデンス・コー)」がカフェで小説を書いているシーンだが、じゃじゃん、じゃーんじゃじゃじゃじゃ、という音楽!あれはジェイの「ヌンチャク」。「グリーン・ホーネット」のエンディングソングだった、あれ。あの頃に台湾に行っていれば、街中でヌンチャクがかかっていたんだろう。ジェイの時代。いや、ジェイと同じ頃に青春時代を過ごした人たちの時代。
それにしてもジェイの「ファンタジー」は最高傑作だと思う。
学校
気になったのは、90年代なのに非常に画一的な感じの教育を行っている点だ。もちろん台湾の学校は知らない。けれど、これまで見てきた学園ものの中で学校がかなりリアルなのではないだろうか。そういえば、同じく90年代を描いた「花連の夏」では「髪の毛が長い」とか言われるシーンがあった。90年代の女子高生だった私は、そういう体験はない。せいぜい、髪の毛の色なのだが、成績さえ良ければ目をつぶる学校(進学校ってそうじゃない?)なので、あんな感じではなかった。今もなのだろうか。なんとなく、日本の80年代あたりの学校の雰囲気だと思う。教室には蒋介石の肖像が掲げられて、標語まで張ってある。そうだ、確かに小学校ではクラスごとの標語があったかな。「あいさつをしましょう」みたいな感じだけれど。軍服の教官がいるのは軍事演習の授業があるからなのだろうか。もしも、あの蒋介石を天皇に変えたら、もろに日本の戦前の学校じゃないかと思った。
「花連の夏」
同じく90年代の高校生の物語の「九月に降る風」の気配はほとんどなく、「花連の夏」の気配が濃厚だった。高校、大学受験に失敗、地震、その後、という物語の進め方なのか。あちらは後半暗転していく物語だが、本作はからりと下品なコメディである。でも、首都を襲った地震は本当に大きな影響があっただろうと思う。そう思うと、10年もすれば、東日本大震災がキーワードになる作品が増えてくるのだろうか。(阪神大震災後、いくつかそういうドラマがあったね)
すれ違い
コートンとチアイーは二人とも互いが好きなのに、うまくいかない。片思いは相手がいないから本当に楽だ。それをぶつけあうようになると、ずれが生じた、というところだろうか。互いに互いを美化しすぎたのか。パラレルワールドでは一緒だろう、という感傷だが、女から見ると正直きもい。男はずっと未練たっぷりだけど、女ははっきりいってどうでも良い。残っているのは友情だけ、ということではないのだろうか。才能のある男が未練たっぷりに、「幸せになってくれ」と想いを押し付けられて、女はどうなんだろう。「俺を選べば良かったのに」といわれても、私なら「どっかいけや??あん??」という気分になりそうだ。
キャスト
ミシェル・チェンのふっくらお餅みたいな頬が「女子高生」に似合っていた。顔はふっくらしているけれど、体は細いのよねえ。「ちょっと可愛いだけ」という役に本当にぴったり。
コー・チェンドンは本作の直後のCDデビューのイベント(セカンド版かな?)に通りがかった。高雄のジェイのコンサートの直前にKアリーナの前の広場でやっていたのだ。ようやく本作を見ることができて良かった。
きざな馬鹿男の曹に見覚えがあると思ったが、ロリポップの敖犬だったのね。あそこの芸名、ひどすぎると思うんだけど。人気がいまいち(じゃない?)なのは、芸名のせいだと思う。モンガ?と思ったのだが、モンガ組はマタカキの方だった。
実際にいなかった「胡家瑋」を演じたのは胡家瑋。本当にブログの女王の「弯弯」本人。台北っ子らしく、このキャラクターは虚構らしい。サブカル女子なのだろうけれど、ちょっと子供っぽかったかな。本職が女優のミシェル・チェンとほとんど年が変わらないのに、年相応に老けていたけれど、ああいう感じの女子高生っていないわけではなかったな。