パンのココロ

2.5
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愛的麵包魂 2012年

台湾南部のパン屋の娘と、パン職人、そしてフランスと台湾のハーフで、料理番組「ブレッドのブレッド」の司会者。

ブレッドは台湾人の母が死に、「疲れたよ。ママを捜しにいく」とビデオを残し、失踪した。

現れた先が、台湾南部のパン屋で、パン屋の娘は愛を知り、ブレッドはママのパンを見つけるというわけ。

感想

監督は高炳權 林君陽。

福岡映画祭にて。

台湾ドラマ全盛期でも、日本に商業的に持ってこれなかったんだよなあ。

という、全体的な弱さ。台湾の人情ものは本当に相性が悪いんだが、本作はそこまでではないかもしれない。

英語字幕と日本語字幕が併用された。英語部分はとても多い(しかも非常に綺麗な英語)のでむしろ中国語字幕の方が良かった。

ラブコメでテンポよし、ストーリーもブレッドの母のところ以外は破綻もなく良好。演出も良い。演技もわるくはない。商業映画として日本で上映できるかというと、いまいちパンチが足りないのだが、DVDスルーにはしても良いのではないかと思う。

美味しさの表現がうまかった。「幸せになる」味らしく、特にガオビンの様子は笑える笑える。

物語の破綻

ブレッドの母のところが大きく破綻していると思う。
初め、私はブレッドの母は旅行中にシャオピンの両親の店に行き、パンを食べて感動してパン修行にパリに行ったと思った。その設定なら破綻はない。しかし、ブレッドの母は製粉所の娘だった。

まず、どうして、シャオピンの父はブレッドの母を知らなかったのか。シャオピンの母とブレッドの母は知り合いで、単にシャオピンの両親の店をブレッドの母が訪れただけではないようだ。製粉所の娘なら、パン職人は知っているだろう。シャオピンの父が知らんぷりしたのだろうか。

次はどうしてシャオピンは地元から出た有名人のブレッドの母とシャオピンの母のことを知らなかったのだろうか。シャオピンの母は夢を諦めた。それは家族を選んだ自分には取れなかった選択肢を選んだブレッドの母に嫉妬していたのならわかる。けれど、シャオピンは最後に母は「家族を選んだ」こと、そして幸せだったことに気づいている。だったら、ブレッドの母に嫉妬はない。自分の選ばなかった道をとって、成功した友人は自慢のタネではないのだろうか。

知り合いの台湾女子はアメリカに留学し、アメリカ人と結婚した。名字も夫の名字に変え、国籍も取得するつもりかもしれない。けれど、しょっちゅうというわけには行かないが、二、三年に一度は帰省しているし、中華式の結婚式もしていた。ブレッドの母は旅行好きで、行くべきところがたくさんあっただろう。けれど、子供を連れて寄ったことがないわけがない。

それと、ブレッドはフランス料理屋が「古い友人」と言っていたが、どうやって知り合ったのだろう。フランスでだろうか。フランスで知り合った人がわざわざ高雄のそれも田舎にフランス料理屋を開くだろうか。おそらく、高雄で出会ったか、もしくはフランスで出会い、ブレッドの母が開店の世話をしたかなにかだろう。もちろん、人のサークルは限定されるので、シャオピン一家とは違う階級なのだろうけれど。でも、人の噂が広まるのは早い。しかも、ブレッドの母は有名人設定だもの。どうも、「ブレッドの母」のところがひっかかってどうしようもない。

男の映画

よくも悪くも男の映画だなあ、と思った。
歯磨き中の女にプロポーズするなよ、と思う。
そういうデリカシーのなさがシャオピンがガオビンと結婚することを躊躇する原因だ。どうしてパンの国際大会に出場しないのだろう。怖いからだ。台湾だったらチャンピオン。だけど、外に出たら?
どうしてフランスに行くことを躊躇するのだろう。どうして、シャオピンに行かせてやらないのだろう。行くだけなのに。怖いのだ。自信がないのだろう。
また、シャオピンを深く愛するが故に、怒らせ、一番傷ついているのがガオビン、という表現もうまい。
本作はこういう「男の」表現がうまいのだ。現実の話、おそらく、ガオビンは手が出るタイプだろう。シャオピン、そのうちこいつに殴られるよ。けれど、シャオピンが惹かれるのはそういうところなのだろうなあ。

キャスト

陳漢典は典型的三枚目なのだが出てくるたびに笑いを誘った。映画祭だからか、観客のノリも非常に良く、どっかんどっかん笑いが起きていた。

ミシェル・チェンは男の理想の「ちょいぽちゃ」とか「ぷに子」だろう。色白でふっくらとしてつややかな頬、きれいな肌。二の腕なんかむっちりもっちりしていて、ドレスを着たときに良くわかるのだが胸も相当大きく、EかFはいくと思う。強調しないのが清潔感があって好感度が高い。笑うと目は垂れて、ほほの下の方にできるえくぼがかわいらしい。本人は確かアメリカに留学経験があるはずだ。たどたどしい英語、というはずなのだが、一つ一つの発音がたまに非常にきれいだし、リズムが英語のリズムで喋っているので聞き取りやすい。中国人の英語は聞き取りにくいことが多く、その最大の理由はあくまでも中国語のリズムで喋ってしまうからだ(台湾人の英語は比較的きれいだった)。逆にいうと、素性を隠せていない。演技下手なのには定評がある人だから仕方ない。ブレッドと喋っているうちに綺麗な発音になっていく(実際にはそうなるよ)という設定でもないから非常に残念だ。演技も下手と言えば下手なのだが、「素朴な女の子」が二人の男の間で「どうすればいいのかわからない」という演技だけはよかった。等身大の役でないとこの人にはできないのだろう。

ブレッドを演じたアンソニー・ニーリーはアメリカとのハーフのようだ。中華系アメリカ人が活躍する場を選ぶのがもはや香港ではなく、台湾なのか、と思った。ダニエル・ウーの時代までならまず香港がファーストチョイス。少し下ってヴァネス・ウーの頃から台湾を選び始めるのだろうか。もう5年もしないうちに、20代前半の男の子は中国本土を選ぶのだろう。こういう人が映画で英語を喋る場合、ダニエル・ウーの「レディ・ウェポン」がその典型なのだが、自分の訛りを隠すことがないことが多い。キャラクター背景にあわせた発音矯正をするような予算もないのだろう。そのせいでいろんなところの発音が一つの映画にまざって気持ち悪いことがある。けれど、今回この人の英語は「外国人が喋るべき英語」というか、アメリカ系ではあるけれど、決して特定のどこかの訛りではないように聞こえた。フランス人という設定だからか、微かにフランス人っぽいもじょもじょっとしたところがあったけれど。アメリカの二流のインテリはそうしなければ知性を疑われるという強迫観念があるのかすっさまじいスピードで抑揚なく喋る傾向が強いが、一流のインテリは大抵外国人の喋る英語と外国人と英語で喋るのに慣れているせいか、ゆっくりとはっきりと発音してくれたのを思い出した。ただのハーフ顔で少し歌がうまい程度かと思ったが、頭の出来は悪くなさそうだ。演技も二番手君に求められる「王子様」で「一番手君ほどの強烈な個性はない」というのを表現できている。顔がというか、なんというか、少しパンチが効いていないので、ポジションを争うであろうリディアン・ヴォーンほど人を惹き付けないのでどこまで残れるかわからないのだが、演技力で残っていただきたい。ジェリー・イェンのように幅広の肩で後ろ姿が綺麗。

ブレッドがラヴィエンローズを歌うとき、おばあちゃんも歌うのだが、日本語だった。
三太子が奪う原チャはクロネコで、そういえば、桃園空港にクロネコのカウンターがあってまるで日本だったなあ、と思った。

コメント

  1. […] MCはF4ではなく、フィービーとアヤ。フィービーは見たことがあると思ったら「ろまんす五段活用」の麦子の育ての母だし、アヤは「山田太郎」の隆子。でもまあ、この二人がぎゃんぎゃんうるさいうるさい。撮影時期はおそらく「流星雨」後「流星花園2」前だろう。「流星花園2」放映直前だったのだろうか。 […]

  2. […] 流星雨 […]

  3. […] 流星雨 […]

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