キラー・ウルフ 白髪魔女伝
中国・明の時代の末期、中原八大門にて武道を学ぶ一航(レスリー・チャン)は、ある日山中で謎めいた美女・狼女(ブリジット・リン)と出会い、彼女に惹かれるようになる。しかし彼女は、邪教〔魔教団〕最強の戦士として八大門から恐れられる殺し屋であった…。
白髮魔女傳 1993年
感想
監督は、ロニー・ユー(于仁泰)。
ロニー・ユーはこういう作品の方が得意だよね。
ブリジット・リン、「女神伝説」の東方不敗よりもきれいだと思う。でもマリオネットラインはばっちり、でも、なんでまたこの人に「水」を浴びさせるのだろう。しかも汚い水で。
「スウォーズマン 女神伝説」もだし「楽園の瑕(オリジナルの方)」は浴びないが湖の上で剣をふるってたし。なんかそういうイメージなんでしょうか。
で、声は吹き替えじゃない?もう少し低音だったと思うのだが、と思ったらインタビューではうんと低音だった。
レスリーの髪型がもじゃもじゃで目が隠れすぎ。水浴びをする女を覗き見て口ポカーンとか、不自然でなくできるのが素晴らしい。その後からの「君が僕とくっつきたいんだろ?」なんて、嫌味にならずに言える俳優は少ない。一番きれいだったのはブリジットが「敵だ」と幻想を見させられるときのレスリーかな。
で、アクションはどこまでレスリー本人だろう。
女のことを信じたいけれど信じられない、というのとかはさすがはレスリーなのだが、こういう重苦しいレスリーは正直見飽きている。
あんた、「今の香港で原作通りのものは少ないんです」ってそうね。一番ひどいのは「楽園の瑕」&「大英雄」ね。「正と邪のどちらもある人間らしい男を演じたいんです」ってそうでもないじゃん。「楽園の瑕」の欧陽鋒はそうだと思ったけど。
フランシス・ンがキモかった。双子が背中でくっついてるというのだけど、女の方もやると良かったのに。
メイキングが入っていたけれど、レイモンド・ウォンが出てきた瞬間に笑ってしまう。ごめん。あんたのコメディ大量に見すぎた。あんたが真面目な顔をしてコメディしてるの好き。
白髮魔女傳(2015年香港国際映画祭)にて
2015年のコミュニティ上映は白髪魔女伝。作品としては傑作ではないが、全盛期の作品を見られたのは良かった。
会場は香港香港科学館だった。時間は14:30開演。
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案内には30分前からチケット配布とのことだったが、様子がわからないので13:00に到着した。聞いてみたが、13:30に、という話。何もないと思ったのだが冷房がきつくて13:30少し前に外に出るとなんか並んでる。さっきは誰も並んでいなかったのだが。
よく見ればおー、レスリー。
というわけでそこから30分くらい並びっぱなしで、14:00に座席番号の入ったチケットをもらった。並んでいた人たちは、お揃いのレスリーTシャツを着てたり、レスリーグッズ(自作?)を交換したり楽しそうだった。おばさんたちが。
記念撮影してたり。ああ、これはお祭りらしい。楽しく追悼してもらえてレスリーとしては本望ではないだろうか。
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「1:99 電影行動」には2003年の香港映画祭の様子がビハインドショットの中で見られる。オープニングでエリック・ツァンが「SARSに見舞われ、我々はレスリー・チャンを失った。今こそ我々を救おうではないか。香港映画祭開幕!」と泣き出しそうな表情で叫ぶ。どうも、2003年4月8日から開催だったようだ。
映画祭直前に死ななければならなかったのはまさに劇的であり、日程を少しずらして少し早く開催してしまえば命日にレスリー・チャン記念上映までできるという、この絶妙なタイミング。精神的に追い詰められた彼にそこまでの計算はなかっただろうが、今後忘れられそうにない俳優だ。香港人を見ながらそんなことをぼうっと考えていた。
上映開始
映画が始まると、拍手。林青霞 張國榮 という名前が出て拍手。主題歌白髪紅顔の文字で拍手。オープニングすぐのレスリーの横顔で拍手。レスリーが口開いて拍手。卓一航の子供時代もがはがは大笑いして、再度レスリーが現れて拍手。しかも、「きゃあ❤︎」だもん。
ブリジットの入浴を覗いちゃうレスリーに爆笑とかノリが良すぎであった。もちろん、劇が終了して割れんばかりの拍手喝采である。
全盛期のレスリーの作品をノリの良い観客の中で見られて良かった。DVDではなんだか荒さを感じたのだが、スクリーンではクリアな印象を受けた。デジタル・リマスターしたわけでもないだろうが。
本来は映画の後にディスカッションがあったが広東語のみ。わからないので私は退出した。
レスリー・チャン 白髪魔女伝2
裏切られたと思い込み復讐の鬼神“白髪魔女”と化した女と、それを助けようとする男の姿を描いた、レスリー・チャン主演で贈るゴーストストーリー。
原題:白髮魔女2 1993年
感想
監督は、デヴィッド・ウー(胡大為)に変わった。
練虹裳は去ってしまう。それ以来、卓一航は花を守っているところから、始まる。とはいえ、レスリーの卓一航ははじめと最後だけだからねえ。ということ。
白い服を着た男(ロハン)がエディ・ポン似と思ったがさすがにこんな時代の作品に出ているわけはない。
結局93年当時のアイドル映画だったのだろうか。見覚えがあるのがクリスティン・チョン一人なのが残念だ。この後に訪れた香港の映画不況を耐えきれなかったのか。香港映画の一つのピークにデビューしてしまうと後が続かない。
オープニングタイトルでスタートがブリジット・リンでラストがレスリーなのはいいが、レスリーは字が大きすぎる・・・。
まあ、いいのか。アイドル達から全てをかっさらっていくレスリー・チャン、御年37歳とブリジット・リン御年39歳。
あれ、一航がヤハンではなく、イーハンになっている。字幕が。広東語の音なんだけど。北京語になってるじゃん、いきなり。
そうめんみたいなものを食べていた男が白髪に襲われるとか笑える。
白髪魔女は男嫌いである。ミサンドリーに辟易してしまった「キッズ・オールライト」と異なり、前作「白髪魔女伝」でその原因はきちんと語られているので、本作そのものがミサンドリー作品とは言えない。女戦士ものがミソジニーに陥りがちなのだが、本作においては女が男を襲う理由もきちんと描かれていて、ミソジニーに陥るわけでもない。家畜並みの扱いを受けた上に娼婦に売られた、など。
問題は、ブリジットが男装しない東方不敗になっていることだろうか。
エンディングソングはレスリー作曲で歌っているのはフェイ・ウォンらしい。
どちらもなかなか配信されないので、DVDのレンタルがオススメ。