シリーズといえばシリーズなんでしょう。監督は夏永康、陳國輝。豪華なキャストでお送りするハッピーなオムニバス。とうこと。
ホット・サマー・デイズ
記録的猛暑が続く夏―、暑さは人々の心をも熱く刺激していた。タクシー運転手は間違いメールがきっかけでマッサージ師と恋に落ち、鮨職人は大富豪のお嬢様のハートを射止める最高の料理を振舞う。アイスキャンディー売りの青年は服飾工場の女子工員に想いを寄せ、突然盲目となった人気写真家は想い出のモデルを探し求める。さらに、クーラー修理工は謎めいた美女に心を奪われ勝負に挑む。いくつもの恋が生まれた夜、オーバーヒートした街は、突然大停電になり昼間の喧騒が嘘のような静寂に包まれる……。
全城熱恋 Hot Summer Days 2010年
感想
父と子、バイクねーちゃんとクーラーの修理屋、ドライバーとマッサージ師、すし職人とお嬢さま、カメラマンと弟子とモデル、アイスキャンディー売りとお針子らの物語のオムニバス。
オムニバスものは嫌いではない。どいうのも短いのでテンポが良くなり、同じ世界の物語で登場人物がすれ違う、といった演出も好きだ。ドラマで別のドラマの登場人物がすれ違う、というような内輪受けのものは不親切だと思うけれど、オムニバス映画の中では楽しい演出だ。ニコラス・ツェーの店でジャッキー・チュンとダニエル・ウーと三人そろったのは良かった。
ただ、中身はそれほどは面白くなかったかな。一つずつがちょっと小さくまとまりすぎた感じだ。ラブストーリーとしてはすし職人(醤油大将)のダニエル・ウーとお嬢さまのビビアン・スー(ワサビ)がかわいかった。役としてはバイクねーちゃんのバービィ・スーが良かった。けれど、大Sは髪を短くするとあごがしゃくれてみえる。だから、よけいに角度によって平たい顔に見えてしまう。実際には鼻なんてすごく綺麗な形なのだけど。小Sのような短髪にはしない方が良い。
アイスキャンディー売りの男の子は井柏然ではないかと思うが、ちょっとかわいい男の子だった。ただ、この方の画像を検索してもそこまでかわいくない。ちぇ。
カメオ出演はお気に入りのシャーリーン・チョイがどこにいたかわからないが、どうも、水着の女の子だったんじゃないかと。わっかんなかったー。ショーン・ユーは刺青師だった。マギー・チャンはダニエル・ウーの店に長くいたのであれはわかる。モデルがファン・ビンビン?と思ったけれど、別の人だったみたいだ。ビビアンが拾ったタクシー運転手がコンロイ・チェン。
舞台は北京、深圳、そして香港。この中ではなじみのある香港の風景が見られて良かった。
ハッピー・イヤーズ・イブ
宇宙ステーションへ元カレと二人きりで派遣された宇宙飛行士の長女。オーストラリアで画家を目指す潔癖症の次女。そして、北京で活躍する人気女優の三女。それぞれ活躍しているのだが、恋愛事情はイマイチ。そんな三人に運命の瞬間が同時に訪れる。長女は元カレの寝言から別れの真相を知り、次女は潔癖症にも関わらずごみ収集員と恋に落ちる。そして三女は、一般人男性を好きになり理想と現実に悩むのだった……。、この運命の瞬間は、恋に臆病で素直になれない三姉妹を幸せな日々へ導いてくれるのだろうか!?
全球熱戀 Love in Space 2011年
感想
ある一家は父が亡くなり、女四人。長女は宇宙飛行士として宇宙にいるが、パートナーは元カレ。アーティスト志望の次女はシドニー留学中だが、極度の潔癖症に悩まされているのに、良いなと思った相手はゴミの収集人。三女はアイドル女優だが、演技が壊滅的にできないので、演技を磨くために始めたカフェのバイトで小説家志望の男の子に出会ってしまう。
働け、宇宙飛行士。二人しかいないってないだろう?あれだけ事故が多発しているのに、地上との連絡は?ぜんぶ地上にモニターされているんじゃないの?などなど、宇宙飛行士のパートは突っ込みどころ満載。「ホット・サマー・デイズ」ではレネ・リウは若々しかったのに、これでは妙に老けてしまっていた。アーロン・クオックはいつもの熱演はやめて、さらりと演じていたのが良かった。
見応えがあるのはシドニーの次女のパート。グイ・ルンメイは「言えない秘密」の不思議系美少女というよりも、「藍色夏恋」の悩めるクーロンのようだった。そういえば、今回は自転車に乗っていない。相手役のイーソン・チャンはそういえば、この人の普段の声は結構太い。歌うと癖のない声になるのだけど。コミカルだった。
金のほうき賞をもらってしまう三女役のAngelababyのかわいいこと、かわいいこと。相手役の井柏然とのコンビは「ホット・サマー・デイズ」と同じ。素朴だった二人は今度はちょっとひねくれるが、この二人のパートのストーリーの運びは全く同じだ。
「ホット・サマー・デイズ」よりも笑った分だけ評価をあげるが、強いて言うならば、タイトルが問題だと思う。「ハッピー・イヤーズ・イブ」では、まるで年越しの物語のようではないか。確かに、長女は「12月に男と別れた」という設定なので、年末なのは確かなのだが、「新年おめでとう」は一切なかった。旧暦新暦ともに大晦日ではなかったのでは?そのまま「ラブ・イン・スペース」で良かったと思うのだが。もしくは、「全球熱恋」。