色情男女 Viva Erotica 1996年
感想
監督はイー・トンシン(爾冬陞)。
シンは映画監督だ。けれど、売れない。婦人警官の恋人に食わせてもらっている。仕方がなく、ヤクザの出資でポルノを撮影することになったが、ヤクザの愛人の主演のモニクはわがまま一杯な上に大根。恋人にも愛想を尽かされた。なんとか撮影を終えるが、今度はセットが燃えてフィルムも一部燃えた。
という、ちょっとリアルなお話。
自殺してしまう芸術肌の監督役はラウ・チンワン。監督の名前は「イー・トンシン」。わらったわらった。けれど、飛び降りて入水自殺するのだが、レスリー・チャンは飛び降り自殺したのだった。ちょっと後味が悪い。
売れっ子監督はアンソニー・ウォン。王晶がモデルかしら。
ただ、「ブギー・ナイツ」の方がテンポが良かったと記憶するのだが。
スー・チーはメタではわざとらしい「大根」なのだが、地の演技はなかなか。ちゃんと「引き出されて」演技ができるようになるし。広東語が私にもかなり訛って聞こえたが。ここが「女優」としてのスタートだったのだろう。
レスリー・チャンはコミカル。
スー・チーはそれほど今と変わらないと思ったが、カレン・モクは若いというよりも、可愛らしい。それはいつもチャウ・シンチー映画で変な役ばかりしているからだろう。気がついたのだが、映画の出資者のヤクザは「ブラック&ホワイト」の親分だった。この人(チン・プイ)はイー・トンシンのお兄さん。
完成したメタの「色情男女」は90年代だなあ、というカットだった。女の顔に、別取りした男の顔のフィルムがかぶさっていくところなどが。
どうして、香港の90年代の映画はこんなに古く見えるのだろう。96年なら、日本では「ケイゾク」前夜と言っていいし、アメリカの「エネミー・オブ・アメリカ」なんかもちっとも古く見えない。それが香港の、そして中国の成長なのだろうか。
古いので、レンタルが一番。