時は16世紀イングランド。20年にわたる結婚で皇女メアリーしかもうけることが出来なかったヘンリー8世(エリック・バナ)は、男子の世継ぎを産むための愛人を探していた。
一族の富と権力を高めるため、新興貴族のブーリン卿は自慢の娘アン(ナタリー・ポートマン)を差
し出す。しかし、王が見初めたのは清純で心優しい妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった。王の寵愛を射止めるのは2人のどちらなのか…。
断頭台の露と消えた悲劇の王妃アンと、知られざる妹メアリー。ブーリン家の2人の姉妹の間で繰り広げられた熾烈で華麗なバトルに隠された愛の真実とは? いま明かされる、エリザベス1世誕生の秘密がここにある!
The Other Boleyn Girl 2008年
感想
監督はジャスティン・チャドウィック。
映画の「エリザベス」とは前後関係にはないが、同じ時代の、少し前を扱うので、人間関係は、あっちを見てもらうといい。
エリザベス一世の両親と叔母の物語だ。
確か、「エリザベス」のオープニングはケイト・ブランシェットが草原で男と追いかけっこをしているときに、姉のメアリー一世の死を伝えられるところで始まるのではなかったと記憶している。本作はそのイメージを使ったのか、ブーリン家の3人の子供たちが追いかけっこをしているところで始まり、後にエリザベス一世となる幼女とそのいとこにして異母兄、そしてその妹が追いかけっこをしているシーンで終わる。
むしろ、悪女というかビッチイメージのあるスカーレット・ヨハンソンがメアリーを、知的なイメージのあるナタリー・ポートマンがアン、というのが意外な組み合わせだ。だが、アンがガタガタに崩れていく様子を演じるにはナタリー・ポートマンの方が適任で、結果的にこの組み合わせは良かったようだ。近年、イギリスの俳優のアメリカ進出が目覚ましい、と言われているが、ほんの数年前まで逆だった。アメリカ人がイギリスのアイコニックな役、例えば「ブリジット・ジョーンズの日記」や本作のアン・ブーリンのような役を演じていたのだ。この懐の深さがイギリスだなあ、と思う。
「グリーンズリーブス」は作者がヘンリー八世ともいわれる。そのせいか、アンがフランスから帰国して宮廷で着ているドレスは緑だ。衣装はどれもきれい。だが、男性の衣装はドワーフ状態だった。
目的はベネディクト・カンバーバッチ。
メアリーのはじめの夫で、商人の息子のウィリアム・ケアリーを演じている。この人がいたからメアリーの産んだ子は王の子ではなく、この人の子ということになるのだ。
メアリーは最後に再婚するが、アンの即位の前後に二番目の夫にプロポーズされている。離婚するのが難しい時代、どこかでこのケアリーは死んでいるのではないかと思うのだが、そういうことは言及すらされなかった。まあ、チョイ役だな。