パリ、ジュテーム
Paris, je t’aime 2006年
感想
監督はジョエル&イーサン・コーエン、グリンダ・チャーダ、クリストファー・ドイルその他。
オムニバスもの。
パリの各地区を舞台にしたオムニバス。いわゆる「パリっ子」のみならず、イスラム系住民、華僑といったマイノリティ、留学生、アメリカ人観光客なども含めた「パリの人々」の日常を切り取った作品。
オムニバスものは結構好きな分類だ。パリ(結構汚いんだけどねえ)も好きだ。パリのオムニバスなら嫌いなわけはないのだ。コーエン兄弟やガス・ヴァン・サントみたいな好みの監督も入っているし。大した事件がおこるでなく、さらっと流れていく日常を描くにはオムニバスの手法は観客を飽きさせず、有効。
印象的だったのは、コーエン兄弟の撮影したスティーブ・ブシェミのもの。出て来るだけで笑える。地下鉄でおもいだしたけれど、あそこの地下鉄はタイヤ。
そして、イスラム系の女の子の話も。大学生くらいの子が使っている携帯がNEC製品というのも時代を感じてしまう。
クリストファー・ドイルはカメラマンとしてではなく、監督として参加している。
パリに行きたくなる、ただそれだけ。
ニューヨーク、アイラブユー
New York, I Love You 2009年
感想
監督はチアン・ウェン ミーラー・ナーイル 岩井俊二 イヴァン・アタル ブレット・ラトナー アレン・ヒューズ シェカール・カプール ナタリー・ポートマン ファティ・アキン ジョシュア・マーストン ランディ・バルスマイヤー
ニューヨークに生きる人々の生活。スリと大学教授。高校生と女優の卵。インド人の宝石商とユダヤ人の宝石商。ミュージシャンと映画監督のアシスタント。娼婦と作家。タクシー運転手とビデオ作家。元女優とホテル従業員。娼婦と薬剤師。画家と中国人など。人々の生活が入り組み、混じりあうようで混じりあわないニューヨークの人々。
前作、「パリ、ジュテーム」の出来が良かったせいで、期待しすぎたのだろうか。まるで面白みがない。
前作がパリに生きる人々、パリにいる人々をモチーフに「パリ」という都市の様々な部分をモチーフにしたのに対して、本作は「ニューヨークの人々」にしてしまったからだろうか。パリ以上にニューヨークは、というよりも本作の主な舞台のマンハッタンは各地域の特色がまるで違うので期待してしまった。スー・チーのパートのチャイナタウンの土臭さぐらいのものか。
人に焦点を当てたせいで「ニューヨーク」に目がいかなくなってしまったのが第一の問題ならば、第二の問題点はまさに、編集の甘さ。同じ登場人物が様々なパートに出てくる(結局ビデオ作家の作品落ちのようだが)のは良い試みだ。つなぎは良いとしても、それぞれの作品の編集も甘いのだ。笑ったのはプロムの高校生と女優の卵のところ。そして、ぴりっとしていたのはオーランド・ブルームとクリスティーナ・リッチの「チャイコフスキー、ドストエフスキー」で実際にドストエフスキーを読むはめになるミュージシャンのところだろうか。
「ここはよそ者ばかり。だからいいの」本来ならば元女優のこの台詞が響くのだろうが、本作では空虚に聞こえてしまった。