テキサス州の田舎町カーセージ。葬儀屋で働くバーニーは、繊細な仕事ぶりと献身的な市民活動で町の誰からも愛されていた。彼はある日、町一番の大金持ちの葬儀を執り行い、その未亡人であるマージョリーに出会う。マージョリーは、頑固な性格で町中から嫌われ、息子家族とも裁判沙汰となっている孤独な老女だった。そんな彼女を気遣い、相談相手となって慰めるうち、バーニーはマージョリーに気に入られ、彼女の世話役となる。しかし、マージョリーの支配欲はしだいにエスカレートし、ついには彼が他の住民と交流することさえ許さなくなっていった。理不尽な要望の数々に振り回され続けたバーニーは、ある日、マージョリーのわがままについカッとなり、思わず銃を手にとってしまい…。
Bernie 2012年
感想
監督はリチャード・リンクレーター。
アメリカは一人の偉大な俳優を失った。名前は、フィリップ・シーモア・ホフマン。
本作のジャック・ブラックを見たとたん、あれ?これホフマンだったっけ?と思ったほど似ていた。
人当たりがとてもとてもとても良い男。そして、ついには女主人を射殺してしまう。そして女主人が生きているかのように振るまう、というのはホフマンの当たり役になりそうではないか。
たとえば、「マグノリア」の介護士の男が実は、という話なんかだったら本当に面白いと思う。
シャーリー・マクレーンが演じたばあさんは、「ミス・マージョリー」とずっと呼ばれ続けていたのに気づいただろうか。「風と共に去りぬ」でスカーレットが常に「ミス・スカーレット」と呼ばれていたのと同じだ。今でも南部はそういう土地なのかと思った。
テキサスはバイブルベルト。狂信的なクリスチャンの多い土地柄だ。それは東海岸や西海岸の人から見ると一種異様らしい。そういう土地で好かれるのは信仰の厚い人物。決して排他的な土地ではないらしい。バーニーのようによそからやってきても信仰が厚ければ良いらしい。いや、人が人を受け入れるのは、共通項があるところで、それがテキサス東部では宗教なのだろう。
ああ、シェルドン・クーパー。あなたがどれだけ辛い少年時代を送ったか想像できる。