ヒロインのサムスンは、30歳のクリスマスに恋人に振られ、仕事もなくした太めのパティシエ。
そんな彼女が、傲慢だけどカッコいい年下の御曹司ジノンと出会い、身分も年齢も性格の違いも超越した不思議な恋の歯車が回り出す…。
ドジで愛らしいヒロイン像、結婚や恋愛にまつわる赤裸々なセリフが、女性たちに圧倒的な支持を受け、“サムスン・シンドローム”と呼ばれる社会現象を巻き起こした。
サムスンと一緒に笑って泣けば、心からハッピーになれる!
原題:내 이름은 김삼순 2005年
感想
前半三分の一くらいは本当におもしろい。ぽんぽん飛び出るサムスンの言葉だが、字幕でも非常に語彙が豊富だった。「シークレット・ガーデン」はこの「サムスン」をもっと洗練させたようにも思うのだが、ライムにはこの豊かな語彙も感性もなかったなあ、と思う。
けれど、ヒジンとジノンがよりを戻してしまう頃からつまらなくなってしまう。ジノンがヒジンとサムスンのどちらを選ぶのかやきもきさせて視聴率を上げようというのだろうか。すれ違いも「仕方がない」ものとしてせつなくなるものではない。ヒジンはジノンの母がなんといおうが、アメリカに行けば行ったで電話の一本もすればよかった。ジノンもヒジンとよりを戻すことをサムスンに電話すれば良いし、ジノンは、(ヒジンと別れた後)倒れたヒジンのために病院に行くことをサムスンに電話一本入れればよかった。ヒジンをアメリカに送った後でも、ジノンは電話が駄目ならメール一本入れればよかった。
そういえば、「シークレット・ガーデン」が三十代の「花より男子」だと思ったのだが、今回は違う種類のラブコメに分類しなければならない。
「というのも、「シークレット・ガーデン」だったらオスカ、「花より男子」だったら花沢類をはじめとしたF3、つまり、主人公を陰日なたに支えてくれる二番手君、三番手君がいない。ヒョヌは金があるし、サムスンの受難を解決してやれないわけでもないキャラクターなのだが、ヒョヌはサムスンにとって疫病神だ。お見合い相手も素敵な人っぽいのに、二番手君としては使われなかった。
近いのは「ブリジット・ジョーンズの日記」だろう。ヒュー・グラントが元彼ヒョヌ。コリン・ファースがジノン。けれど、ブリジットが(自分で就職するけれど)自力で生きていけないのとも、ライムやつくしのように誰か男がすっと手を差し伸べてくれるわけでもなく、サムスンは誰にも頼らない。確かに、サムスンはライムやつくしのような受難がないのだが。
この自立心、そしてそのリアリティ。そこは良かった。
キム・ソナ
キム・ソナはありえないほど太っている。役作りのために何キロ太ったのだろう?5キロや6キロではきかないのではないか。10キロはいくんじゃないかと思う。「ブリジット・ジョーンズの日記」のルネ・ゼルヴィガーどころじゃない。お腹なんて本当に三段腹だもの。化粧の濃い韓国ドラマだが、家のシーンでは目からほほにかけてぽつぽつとしみが飛んでいる。肌そのものはきれいなのだが、色むらがある感じ。三段腹に色むら。このリアリティ。女優としてよくやったと思う。
キム・サムスンのキャラクターは真剣なのだが、猪突猛進タイプでちっとも優しくない。なかなか暴力的だし。けれど、嫌いになれない。
暴力的なキャラクターといえば、「猟奇的な彼女」からはじまる「彼女」シリーズ(?)もそうだが、「シークレット・ガーデン」のキル・ライムもそうだった。正直なところ、ライムは嫌いだったのだが、サムスンは好きだ。二人とも真剣で真面目で猪突猛進タイプで、男に積極的なのだが。それは、女優の違いなのだろう。ハ・ジウォンと比べるとキム・ソナははるかに演技がうまい。
ヒョンビン
「シークレット・ガーデン」と同じ、お坊ちゃまの社長だ。「シークレット・ガーデン」と比べるとちょっと庶民的なのだが。ママがどちらかというと質実剛健。ナ社長は経営者だからだろうか。
「シークレット・ガーデン」の社長の一途さと比べると、こっちのジノンは揺れる揺れる。一途な男の恋物語が見たい私としては、不満だった。しかも、ヒジンに手を上げることもあったし。いまいち後味がわるいのはジノンが好きになれなかったからだろう。
M男
「シークレット・ガーデン」ではライムが社長のママに「(社長は)蹴ると快感なのか、ますます私のことが好きになるんです」という台詞があった。今回もジノンはサムスンに叩かれ、蹴られてうれしそうだった。
サムスンの元彼ヒョヌなんて、サムスンに罵倒されて「(うほぉ)興奮する~」という始末だ。サムスンにつきまとうとさぞ快感だっただろう。サムスンに叩かれ蹴られた上に、ジノンにも殴ってもらえるし、婚約者のチェリにもいじめてもらえる。
…Mすぎる。S男は好きではないが、どMもいかがなものかと思うぞ。
ヒジン
「微笑みの女王」ヒジンなのだが、とてもあつかましいし、図図しい。しかも、なんとなくこの女優さんには清潔感がない。どことなくドブの臭いがするというか。
うーん。例えば、長いから表面積が大きくて洗わないときたないのに、髪の毛は「長いから髪の毛を乾かすのが大変でさ」と三日に一回しか洗わなくて臭そう。お手洗いの後は手を洗わないか、洗ってもその臭い髪の毛でふいてしまう感じ。
化粧品はおそらくクリーム類のジャーにはスパチュラを使わなくて平気で、他人のクリームにも迷わず指をじゅぼっと入れちゃうような感じ、といえばいいだろうか。
それにしてもおいしそうなお菓子の数々
サムスンの作るお菓子がどれもおいしそうなのだ!中盤以降ほとんどケーキを作らなくなったのがいけない。