「英雄 ~HERO~」「HERO 外伝 『チャン・イーモウと技術者編」 』『役者編』」

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英雄 〜HERO〜

紀元前200年、戦乱の中国。のちの始皇帝となる秦王のもとに、王を狙った刺客を3人殺したという無名という男が現れた。その功績を讃え特別に謁見を許された彼は、刺客を殺した経緯を王に語りはじめる。しかし、それは多くの謎を含み、話は二転三転していく…。

原題:英雄 2002年 

感想

こんなにメッセージ性の強い作品とは記憶していなかった。

初めて見た当時、無名は王に王道を説きにきただけなのかと思った。そうではなかった。

無名は途中までは本当に殺すつもりだったのだろう。
趙の人間だったのに両親を殺され秦の人に育てられた無名は剣に励み、両親の仇を討つために生きてきた。
長空と示し合わせ、飛雪か残剣の強力があれば王を狙える。嘘の物語をもっともらしく語ってやれば王は信じるだろう。

しかし、無名の気は変わる。

その変調は王が無名の嘘を見破ったときだろう。

恨み(小さな大義)よりも、大きな大義。
それは戦国時代を終わらせること。天下統一できるのは秦王のみ。
国同士の恨みなど小さなもの。

それを飛雪は理解しない。王に会うまでは無名自身も理解していなかった。実際に剣を交えて初めて残剣は理解した。

残剣の言葉を伝えに来た無名を殺させねばならない大王。法治国家を作るためには自らの法を曲げるわけにはいかなかった。儒家であれば、伝えにきた無名は殺されないだろう。人治主義だから。しかし、法家にはそういうわけにはいかない。

ヒーローとは誰だったのか。命をかけて皇帝に伝えた無名なのか。無名に教えた残剣なのか。
始皇帝となる秦王こそ、英雄だった。焚書坑儒のせいもあり、後世に残忍さを伝えられる始皇帝。しかし、分裂した国をまとめあげたその手腕と能力。ヒーローとはこの人、始皇帝だった。

ときに政治の世界では大きな目的のためには涙を飲まねばならないことは多々ある。まさに、本作は政治の世界を寓話にしたような作品だ。どうして本作の後にチャン・イーモウはろくな作品を作らないのだ・・・

さて、むさ苦しいトニー・レオンの凄まじい色気。瘴てられるわ・・・

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HERO外伝 

チャン・イーモウと技術者編

監督と映画界の技術者たちを中心に収録。初のエンターテイメント作品に挑む監督の素顔に迫る。また、撮影監督のクリストファー・ドイルや衣装デザインのワダエミ、アクション監督のチン・シウトンや『マトリックス』のCGスタッフなど、それぞれの技術者の映画に対する思いを余すことなく記録。

感想

2001年9月11日。「英雄」撮影中の中国にもニュースが流れた。
ただ、美しいだけの武侠物語ではなく、現代に通じる作品を。「世界は常に争いに満ちている」「互いを消滅させようとする敵意に満ちている」「一体いつになったら人間の争いはやむのか」

あんなメッセージ性の強い作品の背後にどんなドラマがあったのだろう。興味がわいた。

「敵討ちではなく、人としてあるべき信念のために戦う」監督はジェット・リーを説得する。「今までにない新しい武侠映画を」作りたい。確かに、新しい作品だった。彼らは「義」のために戦う。「義」とは何か。「天下」。

北京の事務所の背後に「初恋のきた道」の日本版のポスター。で笑ってしまった。

撮影はクリストファー・ドイル。3つの物語。3つの色彩、3つのカメラワーク。クリストファー・ドイルに「ウォン・カーワイ」のような、と注文していたのか。確かに、ウォン・カーワイ的なのだ。北野武がどこかで「俺の頭の中にある映像をそのまま表現できれば傑作ができると思うんだがなあ」と言っていたのを思い出す。いかに脳内の映像をスタッフと共有するかが勝負なのだ。ウォン・カーワイはそれが上手いのだろうなあ。

作曲はタン・ドゥン。言葉にならなかったセリフを音楽で表現する。音楽が完全に邪魔をしていた作品(「ルパン三世」)を見た後だと、記憶に残らなくてもどれだけ音楽が重要かがわかる。

衣装はワダエミ。アクションに影響のない衣装を作る。アクションがありきの衣装って難しいだろうなと思った。

程小東がアクション監督。あーら。チャン・イーモウ、俳優として程小東監督作で主演してたの・・・。役者の安全を考えるアクション監督だが、制作側とは対立してしまう。香港と中国では確かにそういうところはかなり対立しそうだ。しかも、問題のシーンは九寨溝でのジェット・リーとトニー・レオンだもの。2001年、トニーはすでに香港映画を代表する俳優の一人だ。香港映画人としては半端じゃなく安全に気を使わねばならない相手だもの。あれ?トニーはこの前後に「インファナル・アフェア」だったの?本当に充実した時期だったのだね。

水面を蹴るシーンの音声技師たちの苦労。水面が静まり返るのは一日でほんの二時間。

グリーン・デスティニー」に対する対抗心。

チャン・ツィイーの媚びるような様子。
監督が話をしているとき、トニー・レオンが食事をしながら聞いているのだけど、ほとんど興味を示していない。我関せず、という様子が良い。

行ってみたいなあ。ジェット・リーとトニー・レオンの湖での戦いのシーンは九寨溝。浙江省の川だの宮殿だののロケ地は見てみたいなあ。これは「横店」のセット。行けるかな。

役者編

ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェンらアジアを代表する豪華キャスト陣に焦点をあてる。インタビューや撮影風景など、トップスターたちが普段見せない素顔に迫る。

感想

チャン・イーモウにどんな作品にしたいのかとジェット・リーは言った。
「まず、面白いこと、そしてエンターテイメントだね」

日本人以上に中国人は本音と建前を使い分ける。
メッセージを込めたくせに、まずはエンターテイメントでなければ、という。どうしようもない。見られなければ、メッセージは伝えられれない。

これでジェット・リーも理解したのだろう。メッセージを伝えるために、娯楽作品を作らねばならない。メッセージだけで、誰も見ない作品など作ってはならないのだ。

トニー・レオンとマギー・チャン。
歩き方、話し方全て異なる三つの物語を演じ分ける。マギーのざっくばらんなかんじの素顔が香港人らしい。

チャン・ツィイーのぶりっこぶり。この人、口が歪んでたんだ。

刀がささったままのトニーとその横ではしゃぐトニーと監督・・・。

そして、ほとんど無視状態のドニーとチェン・ダオミン・・・

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