巨大麻薬組織に挑む中国公安警察の極秘潜入捜査を、初めて香港映画界が赤裸々に描いた緊張感120%のサスペンス・クライム・アクション!
爆発事故があったコカイン製造工場から車で逃亡した後、衝突事故を起こし、病院に担ぎ込まれた香港出身の男・テンミン。中国公安警察の麻薬捜査官・ジャン警部は、彼が麻薬取引に大きく関わっていると察し、死刑と引き換えに捜査協力を要請する。かくして、テンミンはジャン率いる捜査チームとともに、黒社会の大物相手に架空取引を仕掛けることになる。だが、その極秘潜入捜査によって、中国全土だけでなく、香港・韓国・日本をも巻き込んだアジア麻薬シンジケートの存在が明らかになる…。組織壊滅のため、危険を顧みることなく、不眠不休で任務に挑む、ジャン率いる潜入捜査官たち。そして、その言動が謎で、敵か味方か分からない男・テンミン。両者の息詰まる心理戦が繰り広げられるなかで現れる、クセ者揃いの取引相手。そして、彼らにとって最大の敵となる、“香港の七人衆”とは何者なのか?
原題:毒戰 2012年
感想
ジョニー・トー(杜琪峰)作品の中で、中国が舞台になるものは初めてだろうか。
香港メインでその中に中国が入って、という作品では、良い人は香港人、悪い人は北京語を喋る、というのが定石である。
例えば、ルイス・クーの「コネクテッド」がそうだ。他には「インビジブル・ターゲット」もそうだ。
しかし、本作では逆。悪い奴らは皆香港人。それがどこを市場とするのかの違いなのだろう。少なくとも北京語の作品(「僕は君のために蝶になる」「単身男女」)であっても、香港を描き、舞台が日本であっても(「ダイエットラブ」)香港人を描いてきたジョニー・トーですら、大陸人を描き、大陸を市場にした作品を撮らねばならない。そういう時代になってしまった。
そういえば、ジョニー・トー監督作品でコメディには出すが、「男の物語」にはプロデュース作品にしか出さなかったルイス・クー、ようやく「男の物語」にも出演させてもらえたんだなあ。
ジョニー・トーのミューズ、ラム・シューは「頭脳」だって!わらちゃった。
スン・ホンレイが習近平にしか見えなかった、と。