「寄りそって笑い合える人がいれば、それだけで、人生はバラ色。」
桃姐 A Simple Life 2011年
感想
監督はアン・ホイ(許鞍華)。
ロジャーは香港の映画プロデューサーだ。今は「三国志」ものの映画のプロデュースをしている香港と北京、さらに海外を往復している。結婚はまだ。ロジャー以外の家族はアメリカに移民した。ロジャーは一家にずっと仕えている桃さんと暮らしている。ある日ロジャーが帰ってみると、桃さんが倒れていた。ロジャーは桃さんを老人施設に入れることにした。桃さんは固辞するがロジャーは桃さんを老人施設に入れる準備をした。実はそこのオーナーは元俳優でロジャーの知り合いだった。老人施設はお世辞にも良い場所ではない。けれど、桃さんは友人ができ、親切にしてくれる若い入居者に会い、ロジャーは頻繁に桃さんに会いに行った。
そして、桃さんは最期を迎えた。
というお話。
アンディ・ラウは本当は良い俳優なのだ。大きな映画の大きな役ではなくてこういう静かな役をした方が合っているだろうに。「僕は役を選ばないから」と言うけれど、選ぶべきだ。
ディニー・イップのだんだんと老け込んで行く様子が素晴らしかった。
背中を曲げ、骨と皮だけなのに体が曲がっているから大きめの服しか着られなくて、ぶかぶかとさせているところとか。まるでうちの祖母そっくりだった。ただ、うちの祖母はまだ存命で、さらにシミがほとんどないのだけど。私の方がシミが多いのではないかと思うほどシミがない。
アン・ホイの「天水圍」はあまり好きではなかった。ドキュドラマで市井の人々を描くならば静かな語り口、起伏のない物語が最適だ。しかし起伏のない物語は編集が甘すぎて英語&中国語字幕では見られない。今回は天水圍よりも起伏のある物語なので見られた。
残念なのは「たお」さんにされていることだ。「桃」はマンダリンでは確かに「たお」。しかし、広東語では「とう」。ずっと「とう」と呼ばれているのに、どういう神経で「たお」とふりがなをふるのだろう。