アーロン・クオック主演、監督はオキサイド・パンの、タイの中華街の探偵の話。
いわば、「唐人街探案」なのだが、あんなコメディではない。パン兄弟、ホラーだからさ。
影なきリベンジャー
タイの中華街でしがない探偵をしているチャン・タム(アーロン・クォック)の元に、写真に写った一人の女を探す依頼が入る。
だが、その女の情報を得るために動くと、チャンの行く先々で次々と彼女と関係のある人物の遺体に遭遇する。
これは女の仕業なのか?チャンが真実を突き止めた時、事件の結末に驚くべき秘密が隠されていることを知ってしまう。
すべての点が線になりつながった時、チャンの身にも死の影が迫り寄る…。
C+偵探 The Detective 2007年
感想
監督はオキサイド・パン(彭順)。プロデュースがダニー・パン。
タイトルでネタバレしてるじゃん!結局それかよ。
面白いのはカーチェイスで象にぶつかって象も運転手も死ぬシーン。あの発想はタイならでは。
爆発シーンはCGでチープだったのが残念だが仕方がない。
目がとっても悪いアーロン・クォックが持っているのがノキアの携帯というのも時代だ。ノキアのカメラはそう悪くなかったのだが、心霊写真までとれるかは不明。
タムの暴走を見守る(というか巻き込まれる)チャック警部というキャラクターもよかった。この人、リウ・カイチーはダンテ・ラムのミューズというかダンテ・ラム作品でひどい目に遭わされる人。他の作品でもひどい目にあったり、よく亡くなるので、今回生き残っているのが不思議なくらいだ。
たまーに動画配信されていることもある。
冷血のレクイエム
数々の事件を解決し、名声を上げた私立探偵チェン・タムと、その友人チャック刑事。チャックは昇進のため特捜部署に配属されるが、自分より年下の上司と反発してばかりいた。そんなある日、娼婦が何者かに惨殺される事件が発生。さらに殺人事件は立て続けに4件も発生し、その殺害方法は全て異なっていた…。
B+偵探 The Detective 2 2011年
感想
監督はオキサイド·パン(彭順)。
あら。チャック刑事、死んじゃった。リウ・カイチーさんの痛めつけられ技はやはりこのシリーズでも発揮されたか・・・。
みんなこの人をよく殺すよねえ。
前回の方が物語としては上。何だかあまりできそうにない感じのタムが触れるもの全てが死んでいく、というストーリーが恐怖を誘ってよかった。しかし、幽霊落ちで何でだと思ったのであった。しかし、本作の方がキャラクター造作など、ミステリーとしては上。今回のネタは手垢の付きまくった「多重人格者」。犯人はどえらいエリートさんと踏んだし。こういうミスリードさせるキャラクターなどよろしかった。
たまに動画配信されている。
コンスピレーター 謀略
タイに事務所を置き、これまでに数々の難事件を解決してきた私立探偵チャン・タム。そんな彼にも一つだけ解けない事件があった。他ならぬ、彼自身の両親の死にまつわる謎である。彼が子供の頃に失踪したと思われていたが、30年経った今、白骨死体として見つかり…。
同謀 Conspirators 2013年
感想
日本語タイトルの中には「コンスピレーター 謀略 極限探偵A+」になってるものもある。ところが原題にはないのだね。
しかしながら、本当にタムの話の正当な続編です。シリーズの中では、最も出来がいいかも。
タムは両親を亡くし、今度は親友の刑事を亡くした。過去にケリをつけるために、両親の事件を調べることにした。という話で、舞台はタイ・マレーシア・広州と移動します。
あれ?パン兄弟といえば、まずは心霊もの。Eyeシリーズがそうだし、「チャイルド・アイ」もそうだった。このタム探偵シリーズでも一作目の「影なきリベンジャー」がそうだった。次が精神障害もの。「妄想 diary」がそうだし、このシリーズでは「冷血のレクイエム」がそうだった。
パン兄弟にリアリズムなんて求めてはならない。しかし、本作では比較的リアリティがあった。そしてアクションもCGは多いがそこそこに。心霊モノにも心理ものにも逃げない態度は良い。新たな境地なのだろうか。
それでもつっこみどころは幾つかある。まず、30年前の薬物犯罪は時効だろうし、30年前の情報を元に踏み込んでも、そこで工場をそのままにしているとは思えない。そこに終始する。
ニック・チョンの髪が変だと思ったら、双子役でしたか。もう一人は髪が短い。
アーロン・クォックのキャラクターが今回はかなり陰鬱なものになっている。一作目のおちゃらけさん、二作目の少し真面目さん、そして本作では天涯孤独な男。これを、人は変わる、とみるか、ぶれと見るか。まあ、人は変わる、でいいだろう。
最後にいいところを一人で持って行ったのが阿牛。タイの監督からマレーシアのスター(なの?)に仁義を切った、というのだろうか。これがねえ、「その歳でファイチャイかよ?」と言われるが、童顔だから「チャイ」つきでも違和感なしなのだった。