天界は神界、仙界、妖界の3つから成り、この三界を4人の真神が治めている。4人のうち最も若く、唯一の女神で、未来の混沌主神でもある上古(じょうこ)は生まれながらに霊力が弱いうえ、主神たる覚悟も身につけていなかったが、同じ真神の天啓(てんけい)と炙陽(せきよう)、そして親友の女神・月弥(げつび)に囲まれ幸せに暮らしていた。だが、やがて上古に課せられる試練が迫ってきて…。
千古玦尘 2021年
感想
見たことのある顔がチラホラするのは、制作会社ですかね…。「少年歌行」の第二皇子が魔族してたし。ストーリー的にも「沈香の夢」にかぶるんだよなあ。ただ、「沈香」ほど見事に伏線を全て回収していくわけでもないし。
ちょうど見るものないんで…。学義さん(なんかしらんけど、さん付けしたくなる)の出演作の一つです。白鹿が敖瑞鵬と撮影してた作品が、本作の後日譚だという話なので見てみた。白鹿だし面白いんじゃなかろうか、みたいな。
…そもそも超絶苦手なのよ、「壮大なスケールの」とつくのが。毎回毎回コップの中の嵐じゃん。本作もその通りだと思うんだが。しかも仙侠なので命を犠牲にして…と言っても復活するのが前提なのでね…。それを言っちゃおしまいなんだけど、なんというか。予想通りというか予定調和というか。
本作があんまり好みじゃないのは確かだなあ…。12集に至るまでが退屈で退屈で。天啓が「気づいて」しまってからエンジンがかかるけれど、全49集で12集までが「設定」というのはちょっと長いよねえ。
要するに12集までは、炙陽の胃が痛くなる日々、みたいな感じ。上古はポンコツ、天啓はおちゃらけすぎでよりによってそんなところで…頼りに思った白玦は実はすさまじい恋愛脳だわ…と。
その後は天啓と白玦のそれぞれ胃が痛くなる六万年間の物語へ。
ただ、後池と清穆編が始まると結構面白い。(ちらりほらりと、許凱についてきたらしい、于正のところの人たちが出て来たり雰囲気がぐっと変わります。彼ら、コミカルな役は得意だもんね)
そして、後池と白玦、千古と白玦になると、毎度お馴染みの「語らぬ男」「察しない女」のすれ違い。今回は白玦が話してしまうとオシャカだから話せないんだけど。
ただそれを全部引き受けさせられるのが、よりによって天啓ってwww。数十年間かけて後池のためにお菓子作り名人になってた妖神さま、百年間も元啓の育児までさせられる。そりゃ育児は千古のときから二回目だけど、向いてないのは白玦は知ってるじゃん。ただし、育児向きの古君は不在、鳳染は若すぎ、後池は消えて千古は昏睡してるので仕方がない。
コップの中の嵐だけど、面白いパートはないわけじゃなくて。
ベストは蕪浣の黒化(闇堕ちのこと)。上昇欲がある人に、ほんのささいな誤解で生まれた疑心。雪神に煽られ、功をあげようとして起きた神殺しの罪。それを天啓になすりつけ…と、ここはすごくリアルで。しかも、張嘉倪がノリノリで演じるからすごく面白かった。
ネタバレなので反転させ…たいんだけど、どうやるんだっけ。ということで、一番下に移す。
転生したり神識によって蘇るのも、しょっちゅうある仙侠だけど、そういえば、後池のようにアイデンティティクライシスを起こす神さまは初めてかしらね…。沈香でも顔淡は記憶をなくしても、私は誰だっけ?ま、いっかー、くらいだし。記憶を取り戻して目の前の唐周を受け入れないけど、アイデンティティクライシスには陥ることはない。その唐周だって、「私は(あなたを傷つけた)その人ではありません…」って泣いてるだけでアイデンティティは唐周にあるし…「三生三世」でも白浅が息子の団子を実子とは思えないのは千古と同じだけど、アイデンティティクライシスには陥らない。夜華と墨淵はキャストが同じだけど、夜華はアイデンティティクライシスにも陥らないし。
周冬雨の持ち味ってきらきら+ふわふわ+吐血な仙侠ではあまり生きないし(だからこそチャレンジしたんだろうけど)。楊紫が少女を演じることはできてもバカっぽいキャラが似合わないのと同様に、周冬雨もまた当初のバカっぽい千古はなんか似合わない。
育てたのが古君という真っ当な神なので、後池はかなりまともで。(やっぱり、真っ当ではない天啓が育てたから千古はめちゃくちゃ)
まともな後池になると、周冬雨に役が似合ってくるというか。まともな人として、民を救おうとする行動の方が、師匠の教えの通りに行った千古よりもリアルだった。
でもやっぱり仙侠には派手顔の美人が似合うのよ。地味系ファニーフェイス美人の周冬雨ではない……しかし「主神上古」として現れるときにはなかなかの迫力ではあるんだけど。やっぱりこういう役には白鹿や楊紫のような派手顔の女優の方が迫力がある。
今回の悪女・蕪浣を演じるのは張嘉倪。この人の顔が派手なのよ。仙侠にはこういう派手めの顔が似合う。つよつよ悪女でとってもよろしい。派手顔だけど主演がうまく取れない人は、悪役を積極的にやるべきなのよ。
キーといえばキーになる月弥を演じる羅秋韵も派手顔よね。すごく見覚えがあるけどどこで?と思ったら、あれか、今夕何夕。あれは作品がひどかったというか、演出が酷かったんだな…と思えた。汚名挽回というか。
鳳染を演じる張雅欽もヴィッキー・チャオ(中国では封殺済みですが)系の美人さん。
大根とは言わないけど、そこまで演技ができない許凱に白玦を持ってきたのはどうなんだろう。これはキャラ設定の問題だろうけど、白玦ってさ、応淵と比べても恋愛脳すぎない?泣き顔がパグ?と思ったら、美男子のはずなのに、パグにしか見えなくなってしまうし。
ただ、白玦と清穆はそこそこ演じ分けておられたようで。白玦がパグ、清穆は純朴なパグ。
劉学義は、今回は一見おちゃらけた天啓。なぜこんな酔っ払いを…と思うけど、12集まで耐えよう。ここから学義さんが天啓を演じる意義というものが出てくるわけで。しかし、紫月妖君・浄淵として出てくると、メイクが派手目に変わるのもあって、いやー、一人だけ浮く。顔が勝ちすぎてる。確かに「仙侠顔」だわ…この顔で見てみたいぞ、白子画が。花千骨を映画化するなら、白子画を学義さんにお願いした方が良かったって。…姐姐も見てみたいな…。
許凱も比較的派手顔のパグなんだけど、メイクが白玦でも清穆でもナチュラルよりなので。学義さんは少年歌行でも一人すごい迫力だったけど、今回もなかなかの迫力。ただ、脱いでません。温泉シーンは着衣のままでしたwwwそんなに脱がなくて良いから。その代わり脱いでた許凱(ただし露出は少ない)。
なんかね、天啓も紫月妖君・浄淵も紫色を着るじゃないですか。中国で「焦茄子」って書いてる人がいたんだけど、焼き茄子?学義さんが言いそうな……
ここからネタバレ含む。
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また、本編では復活していないように見える月弥はちゃんと白烁として復活してるようで。なんだ、天啓とも会ってるじゃん。あれ?白鹿が敖瑞鵬と撮影した「白月梵星」は…敖瑞鵬が天啓!?(頭の中で、「少年歌行」で「拳法を教えてあげよう」のシーンのカット後に二人でインド舞踊やってたのを思い出して笑った)
玄一も復活して良いと思うんだけど、かわいそすぎない?と思ってた。続きの「神隠」(元啓の話)には玄一いるっぽい。
景潤も復活、紅日も復活。古君も復活しそう。なら紫涵は?紫涵にとって天啓は守らねばならない人(神)なので帰ってくるよね?あ…雪神も復活しそうじゃない?
しかし、天后・蕪浣、思い出そう。あのとき妖神にして水神の天啓がお亡くなりになってたら、大雨が降ったりするでしょうに、それはなかったじゃない。だから白玦が天啓を殺さなかったことに早く気づこう。紫月妖君は天啓本人だよ…多分、炙陽は天啓がまだ生きてることを知ってて、アレには何か理由があり、コレか…と気づいてたんじゃなかろうかねえ。しかし、蕪浣の神殺しまでは気づかなかったようで。