これ、一作目(英雄本色)がヒットしたせいで、いろんなことになってんですよ。物語として、続いているのは「男たちの挽歌」と「男たちの挽歌2」だけです。
男たちの挽歌
香港マフィアの権力抗争を背景に、組織に身を置く兄と、彼の兄弟分である組の幹部、兄の逮捕に執念を燃やす刑事の弟の友情と確執を描く。
原題:英雄本色 1986年
感想
監督はジョン・ウー(呉宇森)。プロデューサーがツイ・ハーク。もちろん、黄百鳴の新藝城が作った。
レスリー の歌う、主題歌の「當年情」は未だに「あれやな」ってなる曲の一つだと思う。
オープニングのHSBC本店周辺にビルが少ない。レスリーの時代から随分と変わった。
チョウ・ユンファが「台湾だぞ、俺だって怖いんだ」というのが笑ってしまう。香港でも台湾でも私の目には裏社会は見えないから。
台北の西門町の歩道橋に建つチョウ・ユンファ。工事をしていて、ここから随分と変わっただろうなと思う。西門町の近辺が「萬華(モンガ)」でそういう場所なのである。
それにしても、主役はティ・ロン。それでも目立つのはかわいらしい顔をした次の瞬間の怖ーい表情のチョウ・ユンファ。やっぱりチョウ・ユンファは本作が一番だとおもう。でも、銃撃戦のところのマークとホーでかつて香港女子たちは腐らなかったのだろうかと思ってしまう。
そして子犬っぽいレスリー・チャン。言ってみれば、二頭の子犬を操るティ・ロンさん、という感じ?
いくつもレスリーの作品を見てから本作を見直すと、本作の前と後では随分と違う。映画スターのレスリー・チャンの誕生は明らかにここだ。本作の前までは助走にすぎない。
ほとんど無駄なレスリーのシャワーシーン・・・。
80年代でも刑事の家があんなにでかいわけがないと思うんだが。
レスリーの歌い方というか、曲って、ジェイ・チョウを知った後だと古く感じる。まあ、私の好みの声から随分低音だから仕方ないし、高音は随分とふにふに歌うので仕方があるまい。
キットにお説教をするマークが撃たれて、どばっと血がキットの顔に飛びちるシーンのレスリーの顔。良いよ、良いよ。
本当の英雄
思うのだが、本当の英雄って、ホーでもマークでもキットでもなく、タクシー会社で前科者ばかりやとって更生させようとするキンさんだろう。
ところで、ホーが出所するシーンでにゅっと人相の悪い「台湾の刑事」が出てくる。この人相の悪い男がジョン・ウー本人。その後も所々にゅっと出てくるのだが、この刑事の出てくるシーンだけ違和感が強い。このジョン・ウーのシーンの監督をしているのはレスリー・チャンだったらしい。アイドルが「僕も監督してみたぁ〜い」とか言ったのだろうか。後にレスリーはずっと監督したいと言い続け、プロジェクトも進んでいた。いろいろ教えてくれた人の一人がジョン・ウーだったのだろうか。
オーディションのシーンでレスリーの隣に座ってて、外に出てレスリーに車の窓を割られるのはツイ・ハークだった。本作ではプロデューサーを務めている。この時代から中に入ってくるんだよね、この人。
男たちの挽歌2
これが正統な続編です。
服役中のホーはある日、香港警察のウーに東南アジアの紙幣偽造シンジケートを支配するルンの下へ潜り込むよう命じられる。
原題:英雄本色II 1987年
感想
監督はジョン・ウー(呉宇森)。プロデューサーはツイ・ハーク。
確か、本作は前作「男たちの挽歌」よりも評判が良かったと思うのだが。レスリーに落ちてる状態でも前作の方が良い。
前作では感じなかったが本作ではあまりにスローモーションを多用しすぎだ。それが古さを感じる。「インファナル・アフェア」を見てしまうと、それぞれのキャラクター、特にキットのキャラクターの描き方の底が浅い。仕方がない。キャラクターが多いからかな?
ふふと笑うレスリーの口元が可愛い。それにしても浅黒いなあ、この人。
遺影ならぬ遺イラストのレスリーがすごく綺麗だ。ここで使った「男たちの挽歌」の漫画風イラストはまだ残っているのだろうか。残しておいて欲しいなあ。あのバージョンの三人のイラストのポスターを貼りたい。
でも、レスリーは本作以降何度か死ぬシーンを演じている。本作では葬式のシーンが少し長くあったのが、その後の本人を知っているだけにきつい。
ニューヨークでアジア系がてきぱきと働いていたのを思い出す。
80年代のアメリカの精神病院ってあんなだろうか。香港ならわかるけれど。
ティ・ロンって髪の毛がないせいかすごく小顔。でも、やっぱり気の毒で、この人が主役なのに、前作がチョウ・ユンファなら、本作はレスリー・チャンだもの。日本刀を振り回していたけれど、きちんと「切って」いた。お見事。
そういえば、ロンをやった人って「Mr.BOO!」の強盗の親分だったし、その前では「燃えろドラゴン」の悪役じゃん。ディーン・セキ。気づかなかったのだが、そう思ってから見るとすごい演技の幅だね・・・。
チョウ・ユンファ、双子役なのに今回もマーク同様の2丁拳銃・・・。
爆破シーンの直後、音が小さくなって途中で戻るのだが爆破シーンで耳が一時的に聞こえにくくなって、という表現が上手かった。
そうだ。音だ。
アクションシーンの音楽というものはこういう風にするんですよ。映画版の「ルパン三世」のスタッフの皆さん!