レスリー・チャン ライブ・イン・コンサート ーーー両性具有の美

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「跨越97演唱會」がこれ。場所はもちろん、ホンハム。私はアーロン・クォックのコンサートで行きました。

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レスリー・チャン
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すごい。レスリー、すごい。
やっぱりこの人、シンガーとしては難があります。美男ですが、決してフォトジェニックではなかった。「側面」の最後でモデルウォークのようなものを披露しているんですが、背は低いわ、足は短めでスタイルの良いダンサーたちの中では劣ります。

でも、動き始めると半端でなく美しい。凛としていて気品があります。「これが気質なんだ」と香港女子は言います。ロックレコードが公式にYouTubeにいくつか挙げていますが、これはDVDを買ってテレビで見るべき。

跨越97演唱會、つまり96年から97年への年末の年越しコンサートなのですが、フィルモグラフィーを見るとこの頃レスリーは俳優としては全盛期。ここからまだ何作も何作も傑作を作っていきそうな雰囲気です。実際には残念ながらこのコンサートのために撮影終了を待たずにレスリーが離れた「ブエノスアイレス」の後には良い作品がほとんどないのですが。1956年生まれなのでお歳は40歳。四十路男ですが肌はぷりぷり。

前半はこれまでのヒット曲メインですが、後半からは映画の主題歌が増えてきます。前半は「アイドル歌手・レスリー」であり、後半は「映画スター・レスリー」といった様子。その映画がテーマになっていくような感じです。

ただ、「道ならぬ恋」(偷情)あたりから方向性がおかしくなり始めますのでご注意を。おそらくこの曲と「紅」のテーマはこのコンサート当時未公開だった「ブエノスアイレス」。受け入れられない人は多分徹底的に受け入れられないと思うのですが、「ブエノスアイレス」だといえば、どういうものかはわかるでしょう。
閲覧注意!!


どういうことかと言いますと。
「偷情」では、黒くて薄いコートのようなバスローブのようなものを羽織ったレスリー。たまーに胸をはだけて胸の上にバラの絵が書いてあるのをちらっとみせつけまして。下から吹き上げる風にバスローブが舞って足がチラリズム。こんな中途半端なところで終わらないのがレスリー。終盤ではぜーんぶはだけちゃうんだもん。きっちり作り上げた体を見せびらかします。この舞台の上以外でやったらあなた、逮捕されます。舞台の上でもマレーシアなんかでやったら逮捕されるかも。保守的な香港では大騒ぎになっただろうな。このときのレスリーが「見てェ」とか恍惚とした表情ではなくて、観客が大騒ぎするのを満足そうに見てます・・・「ブエノスアイレス」でウィンに対して怒っているのにウィンの世話をかいがいしく焼いているファイをウィンが面白そうに見ているシーンがありますが、あんな感じ。ぞくぞく来ちゃったね。

でも、椅子に横たわるところは恍惚とした表情ですが、目を開けていたら据わってただろうな。天性の小悪魔(男)が計算しつくした両性具有的なセクシーさなので、受け入れられない人は徹底的に受け入れられません。

「偷情」が脱いで(両性具有的ですが)男性的であったのに対して、曲として「偷情」と対になる「紅」は徹底的に女性的。
やっぱり閲覧注意!

YouTubeでは見にくいのですが、DVDにするとはっきりと赤い(時代だねえ。赤黒い感じの色)口紅をひき、パンツルックではあるけれどスパンコールきらきらスーツの足下には真っ赤なハイヒール・・・。そんなハイヒールを履いて男性ダンサーと踊るタンゴは、妖艶そのもの。例えば「覇王別姫」が清楚で可憐な女形だったのに対して、こちらは男を翻弄して楽しむ妖艶な女形です。終盤、男性ダンサーを突き放し、うっとりとした表情で舞台に横たわり、足を突き上げて靴を履き替えさせます。ハイヒールから黒い男物に。放心した表情で助け起こしてもらうのですが、目を開けたら絶対据わってただろうな。そしてかんざしのような何かを男性ダンサーに投げてよこした顔は「ブエノスアイレス」のウィン。あー、小悪魔!
「ねえ。僕はセクシーでしょ?」
ええ。あなたはセクシー。

ところがその直後に年越しをするんです。「あと少しで1997年を迎えるね!」と紹介を始めていきます。北京の京劇学校の子供達(私よりほんの少し年下だろうな)、ダンサーたち。DVDには出てこなかったけれど、ゲストのスー・チー、カレン・モク、ウィニー・シンの紹介とみんなで「蛍の光」を歌いながら大騒ぎ。カレン・モクとウィニー・シンのコーナーはCDに収録されていますが、DVDではカット。そこは完全に男性に戻っています。真っ赤な口紅を落とすこともなく、ですよ。口紅つけてるけど、男なんです。

さっきまでのだだ漏れしていた色気はどこ?実際の大晦日は大騒ぎをした後に「神仙神仙・・・」と舞台でお祈りを始めます。息が上がっています。呼ばれて出てきたのはアニタ・ムイだったのですがDVDにはありません。CDにもDVDにもありません。YouTubeにあるだけです。
おそらくこのコンサートで有名なのは「紅」ともう一つ「月亮代表我的心」でしょう。

DVDでは日付が97年の1月4日と出ています。千秋楽だったのでしょうか。ここでレスリーは「好朋友」を紹介して感謝の気持ちを表明します。事実上の恋人宣言です。これが凄絶に美しいのです。
2001年にレスリー本人が

僕が一番苦しかったのは、97年コンサートで「月亮代表我的心」を歌った時だった。メディアは僕の言ったことを載せた。そのとてもゆがめられた報道の為に、幾つかの僕の作品を売る場所がつぶされてしまった。

と言っていたそうです。
東方新地英訳 by Susanna and 和訳 ケーマ」より
もちろん、「好朋友」を紹介したこと。特異な人物(=セクシュアルマイノリティ)として面白おかしく書きたてられたのでしょう。絶好の材料だもの。97年公開の「ブエノスアイレス」以降のレスリーに後世まで残る作品がないのはそのためだったのでしょう。俳優としてノリに乗っていた頃なのに。さらに自分が書かれることよりも、恋人を悪くいわれる方が辛そうです。
その後の「追」も見事。ハスキーボイスがうまく効いています。
歌い終える前にレスリーは言います。「僕は今夜を忘れない。どうか僕を忘れないで下さいね」

YouTubeでも見られますが。
でもね、やっぱり、少しいい環境で見たほうがレスリーの良さが出ます。

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CDもありますが、レスリーは聴くもんじゃねえ。見るもんだ。(どっちも買ったから言える)

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