イジメっ子から逃れた少年が学校の天井裏で「ネバーエンディング・ストーリー」という不思議な本を通して、幻想的な世界“ファンタージェン”を見いだす物語。本は若き戦士アトレーユが“ファルコン”という名の幸運を呼ぶ竜の助けで、ファンタージェンを“無”による崩壊から救う物語だった。
The Neverending Story 1984年
感想
監督はヴォルフガング・ペーターゼン。
ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」の前半部分を忠実に映像化したものだ。原作では前半はアトレーユの物語で、後半はスター・ウォーズ式にいえば、バスチアンが暗黒面に落ちて帰ってくる物語になるが、本作ではバスチアンは調子に乗るだけだ。
クリーチャーたちは、CGではなく着ぐるみや人形のようだ。時代が84年だからそうなる。飛ぶシーンなどははめ込みっぽい。それが90年代や00年代初頭のチープなCG映画と比べれば遥かに味があるし、見た目が古っぽくない。アナログも捨てたものではないと思った。
英語で見ると非常にわかりやすい。(仕方がない、子供向けの話だから)もちろん、吹き替えで何度も見ているのだが、大人になってからは初めてだ。初めて読んだのが非常に幼い頃だった、というのもあってイメージ的にはバスチアンは「私よりも年上」だったのだが、いくつだよ?というくらい幼かった。幼い頃はアトレーユ役が不満で、どうして緑色(「オリーブ色」という形容だったと思う)の肌ではないの?と思っていたのだが、なんじゃこりゃ。なんという美少年だったのだろう!
ただ、この年になってみると受け取り方は異なる。アトレーユの物語は「困難に立ち向かう努力」「諦めない胆力」「勇気」という教えになっているのだが、あのエンディングでは、アトレーユは何を得たというのだ。「お前の努力も胆力も勇気も書かれてあったんだよ、決められていたんだよ、そしてお前はバスチアンをおびき寄せるための餌だったんだよ」だ。もちろん、王国は救われるのだが、勇者アトレーユ個人は報われない。「一緒に旅をしてきた」バスチアンが全てをかっさらってしまう。
それを受け入れるからこそアトレーユは勇者なのだが、見るのは苦しい。
原作後半ではアトレーユは暗黒面に落ちたバスチアンを救おうとするのだが、バスチアンが全てかっさらってしまって調子に乗っているシーンで終わる本作では、少し後味が悪かった。