中国の歴史の一大転換期と言われる春秋戦国時代にその名を轟かせた武将・項羽、劉邦、韓信らが、激闘を経てやがて覇王となっていく半生と生き様を描く。
原題: 王的盛宴 2012年
感想
監督は陸川。
うむ、あらすじがちょっと違うかなあ。
皇帝になった劉邦がまだ劉邦よりも若い韓信を処刑する話と、鴻門の会(劉邦が項羽に殺されかけた)の悪夢の話。
この二つが(鴻門の会は回想として)進む。
時代劇だがむしろ心理劇というやつである。ところが、悪い意味で黒澤明風の、「間延び」だからどうしようもない。
ぎりぎりとした緊張感があれば、長めの間もスローモーションを多用しても良いと理解しているのはわかった。それは劉邦の恐怖、張良や蕭何の恐怖だろう。そして呂雉の、自分たちがしたことを韓信もまたすると信じたことによる恐怖。
配役は完璧。
若く美しい将軍、項羽はダニエル・ウー。声は吹き替えかな。もう少し高い地声だと思うのだが。腹に一物ある劉邦にリウ・イェ。老齢になって妄想に苦しむところなど上手いね。リウ・イェと同じ妄想に取り付かれた韓信にチャン・チェン。
劉邦の、卑しい生まれで妻子を見捨てるところはなんとなく劉備的であるし、群雄たちの中に一人世代が違う韓信は諸葛亮的であった。しかし、諸葛亮とは違い、韓信は軍人であった。そして、劉邦よりも先に項羽という将軍に仕えたことが諸葛亮と韓信の運命を違えた要因だったのかもしれない。もう一人呂雉の存在も大きい。
戸籍を収めた寺のCGはもう数年すれば陳腐!になるだろう。
字幕でしょっちゅう人の名前が出てくるのは良かったと思う。特に、ダニエル・ウーとチャン・チェンは良く似ているから。