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SPECシリーズ

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ケイゾク」シリーズから続く世界。戸田恵梨香と加瀬亮のコンビでは、これだけ。

  • SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿
  • SPEC〜翔〜/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿
  • 劇場版 SPEC〜天〜
  • SPEC〜零〜/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿
  • 劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇
  • 劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇

時系列に並べるなら、

「零」「ドラマ本編」「翔」「天」「結(前・後)」。

映画版の結の後編がすごかったのである。

SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿

世の中には、通常の人間の能力や常識では計り知れない特殊能力(スペック)を持った人間が潜んでいる。
例えば、異常に感覚が進化した人間、異常な運動能力を隠し持っている人間、異常に優れた頭脳を持っている人間。
もし、そのうちの何パーセントかの特殊能力者が、その能力を悪用しているとしたら…。
特殊な能力で、他人の命や財産、果ては社会的地位、もしくは、政権を狙いだしたとしたら…。
そして、そのことに、すでに各国の政府は気づいていて、水面下ではすでに、暗闘が繰り広げられているとしたら…。
このドラマは、凡人にはない特殊能力、「SPEC」を持っている犯罪者に立ち向かう、若き刑事たちの物語である。

2010年

感想

当初、「ケイゾク2」として政策が発表された作品だった。「ケイゾク」リブートではなく、あの世界をそのまま引き継いだ作品といったほうがいい。野々村係長も相変わらず嘱託としているし。かすかに上部に柴田がいることが示唆されている。(じゃあ、真山は何してるんだ?退職して専業主夫でもしているのか?)

「ケイゾク」とのずらし

リブート作品ではないのだが、少し「ケイゾク」と人間関係にずらしがあって、「ケイゾク」ではないのだけど「ケイゾク」で、ここまで「ケイゾク」度が高くなってしまうと、おそらく「ケイゾク」本体の続編はないのだろうなあ、と思わされた。

例えば、
ケイゾク:真山が二課にいて、柴田が赴任してくる
SPEC:当麻が未詳にいて、瀬文が赴任してくる

ケイゾク:柴田は父が死んでいて、東大法学部卒
SPEC:当麻は孤児で、京大理学部卒

ケイゾク・SPEC:女性は年下キャリアで女性優位 男性は比較的肉体派

ケイゾク:真山は過去の妹の事件を引きずっている
SPEC:当麻は弟と対決せざるを得ない(瀬文も事件があるけれど)

ケイゾク:柴田は臭いらしい
SPEC:当麻もだらしがない

というところだろうか。
この世界は「ケイゾク」ではなく、SPECとして、もしくは新たな「ケイゾク3」で閉じるのだろう。

朝倉

「ケイゾク」の朝倉は「ケイゾク」だけを見ると奇妙奇天烈なのだが、SPECを見てからだとSPECホルダーであることがわかる。結局、朝倉はなんだったのだろうか。柴田にSPECホルダーによる犯罪について気づかせ、ミショーを作るきっかけ、ということなのだろうか。

津田

津田助広は結局何なんだ?パブリックドメインだったはずなのだが、天では宗家が出てきた。総元、ということなのだが、天で瀬文曰く「今までの津田は偽者で、とうとう本物が出てきた」らしい。あれ?パブリックドメインじゃないじゃないか。

戸田恵梨香

戸田恵梨香の低音とナチュラルな演技を見た後では、中谷美紀の高音はぶりっ子に見えてしまう。正直なところ、柴田はさほどひどい格好とも思わなかったのだが、当麻のリクルートスーツの一張羅にぼっさぼさのロングヘアーに白い靴下はとてもひどい。(褒めている)良くやったと思う。
テレビドラマの終盤の、「牛丼食いなっせ。たーんと食いなっせ」という台詞に瀬文への深い信頼と愛情を感じた。上手いなあ、この人は。

加瀬亮

「ケイゾク」で私の母性本能くすぐりまくった渡部篤郎に対するは、加瀬亮。
加瀬亮といえば、うすっぺらい体と貧相な顔、そしてカメレオンのようにその場に溶け込む演技力に微妙に棒読みな台詞回しなのだが、今回は違う。へなへなしたキャラを期待してたのに、マッチョにしかも坊主頭で無表情。脱ぐシーンはなかったと思うのだが、脱ぐとすごいのだろうか。それとも、逆の意味ですごいのだろうか。ぴしーーーーっとした背筋なんか、体育系、いや、警察官をよく観察して演じていたと思う。あの背筋を作るだけでもかなり体を鍛えたのではないかと思うのだが。もうまるで別人。オーラのなさが持ち味だったのに、びんびん出しまくってるよ。

滑舌のあまりよくない人だが、今回は怒鳴る怒鳴る。ぜったい唾飛ばしてるよ、きたねー。なんて怒鳴るんだよ?あたし何したよ?という感じ。だが、やっぱり滑舌わるい。そこは変わらなかった。

神木隆之介

謎の少年一十一(にのまえ じゅういち)として登場するが、その正体は当麻の弟だった。
天才子役→美少年だったはずなのだが、なんだかちょっと残念な感じになりつつある。中学高校の同級生にそっくりになってきたのだがどうしよう。ただ、演技力はいいね。
あやしくにやにやしているのが不気味でよかった。

SPE/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿

SPE/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿

戸田恵梨香, 加瀬亮, 福田沙紀, 載寧龍二(現・さいねい龍二), 岡田浩暉, 松澤一之, 田中哲司, 徳井優, 城田優, 多田木亮佑, 有村架純, 伊藤毅, 安田顕, 神木隆之介, 椎名桔平, 竜雷太, 上川隆也, 佐野史郎, 岡田義徳, 斎藤工, 大森南朋, 真野恵里菜, 佐野元春, 戸田恵梨香, 加瀬亮, 福田沙紀, 載寧龍二, 岡田浩暉, 松澤一之, 田中哲司, 徳井優, 城田優, 多田木亮佑, 有村架純, 伊藤毅, 安田顕, 神木隆之介, 椎名桔平, 竜雷太, 上川隆也, 佐野史郎, 岡田義徳, 斎藤工, 大森南朋, 真野恵里菜, 佐野元春
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SPEC〜翔〜/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿

捜査一課が手に負えない特殊な事件を捜査するため、公安部が設立した未詳事件特別対策係、通称“ミショウ”。ミショウには、IQ201の天才であり変人の当麻紗綾(戸田恵梨香)と、警視庁特殊部隊(SIT)出身で叩き上げの瀬文焚流(加瀬亮)がいる。当麻と瀬文は、時間を止める、人の心を読む、未来を予言するなど、凡人にはない特殊能力(SPEC)を持つ犯罪者に対しても、SPECを逆手に取ったトラップを仕掛け、息詰まる攻防を繰り広げる。そして、死闘を重ねるうち2人の間には信頼関係が生まれ、最大の敵を倒すことに成功したのだが…。1年後、休職中だった瀬文がミショウに戻ると、そこには係長待遇に降格した野々村(竜雷太)に代わり、係長に任命された市柳(でんでん)と組織犯罪対策部から来た吉川(北村一輝)の姿があった。数日後、白昼の街中でマシンガンによる殺人事件が起き、女子高生が一人、生存しているという。しかもその女子高生は、「犯人は全身黒づくめで、瞬間移動して逃げた」と証言。撃ち合っていたらしき当事者の写真の中には、サトリ(真野恵里菜)の姿があった。当麻は、スペックホルダーの奪い合いの抗争が白昼堂々と行われた、と分析。早速その生存者・久遠望(谷村美月)が入院する警察病院へ向かう。心の奥底に本音を隠し続けている当麻。その心の迷宮を知り、本来の当麻に戻そうとする瀬文。ふたりに新たな絆が結ばれようとしていた…。

2012年

連ドラ本編が「起」。このスペシャル版が「承」。

劇場版 SPEC〜天〜

最強の敵。仲間の死。そして全ての謎に終止符が打たれる。

世の中には通常の人間の能力や常識では計り知れない特殊能力(=SPEC)を持った人間が潜んでいる。
もし、そのうち何パーセントかの特殊能力者が、その能力を悪用しているとしたら…。

通常の捜査では解決できない特殊な事件を専門に扱う部署[警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係」通称”未詳(ミショウ)”。
特別捜査官の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)の元に「ミイラ死体殺人事件」のニュースがもたらされる。
これはスペックホルダーによる犯行なのか?事件はやがて国家をも揺るがす大事件となっていく。シンプルプランとは?ファティマ第3の予言とは?
その時、当麻の左手に激痛が走る!

2012年

感想

映画館まで見に行ったのに、そういうクオリティではなかったんだよなあ、残念ながら。

天で栗山千明の連れている娘について、瀬文が「俺の娘!?」「そうよ」「・・・」「んなわけないじゃん!」「!!!!!」のせりふと、表情が笑えた。栗山千明を抱きしめようとするのだが、殴られて外につまみ出されるシーン、それに続いてシャボン玉で遊んでいる(ブブゼラ隊を思い出した)子供たちの前で「俺に…子供が!?」と叫んで子供たちが散るシーンになるのだが、この一連のシーンが一番笑った。

あれ?ボケの当麻、ツッコミの瀬文だったのに、天ではあまりぼけない当麻、ボケの瀬文だったなあ。翔で信頼関係を築きなおすのは良かったが、天では二人の緊張感があまりなくて、まるで馴れ合ったカップルになってしまっていた。ぴしっと緊張感があったのは、屋上で銃を向け合う「インファナル・アフェア」ですか?シーンくらいのものか。「なんで俺がお前に出会ったかがわかった」「先に逝け。俺もすぐに追いかける」の台詞と、ニノマエと対決したシーンで「瀬文さん、巻き込みます」の台詞くらいしかなかったのが残念だ。萌えたいのに!

栗山千明

帰国子女で日本語が変、というのはいいのだが、演技べたな女優になんでこういう役を振るかな。脚本段階でも帰国子女で本当に日本語が変な人を見たことがないのだろうか。(台本段階で加瀬亮に聞けよ?と思うのだが)「笑ってくれ」というのだろうが、わざとらしくて失笑。相変わらずの演技べたなのだが、銃を向けるシーンはきりっとしていて美しい。さすが「キル・ビル」。やはりこの人は台詞をしゃべらないほうが良い。モデルをするには身長が低いのが惜しまれる。

で、この青池里子という役だが、死んだのだろうか。

伊藤淳史

なぜに本人役?と思うのだが、翔もゲッツ!とダンディ坂野がいたからまあいいか。「いい人」キャラなのだろうが…下手だ。ただ、別荘でニノマエ相手にトークを繰り広げているのが一気に空気がバラエティのりに変わっておかしかった。サクラの笑いが入らないのが変なくらい。

浅野ゆう子

マダム陽・陰は正直どうでもいいのだが、マッサージを受けているシーンが妙にセクシーだった。
「私の人生はもう終盤」という台詞をよく言ったなあと思う。

向井理

どうも野心的で(それは良いのだが)、目の奥が冷たくて目が笑ってない感じが好きになれない向井理。ニノマエのクローンをパチンと消してしまった「世界」さんはこの人だろう。次回は当麻VS向井理なのだろうか。じゃあ、ニノマエはもうでないのだろうか。

天の「罠」

ニノマエに対する当麻の最後の罠はどういうことだったのだろうか。
SPECホルダーのDNAからSPECをコレクションしてもオリジナルを超えられない、というのが「翔」だった。天の相手はニノマエのクローンだった。時を止める、時のスピードを遅くすることができるのがニノマエのSPECだったが、どうやって倒したんだ?当麻が投げたスーツケースから帯電した釘が、というのはわかったのだが、なぜ動き始めたのだろう?ニノマエのクローンが逆に向けようと釘を触って感電して体の自由がきかなくなって、というのだろうか。そうなのだろうな。

SPEC〜零〜/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿

両親と弟を飛行機事故でなくした女子高生・当麻紗綾(戸田恵梨香)のもとに、警視庁弐係の・近藤(徳井優)という刑事がやってきた。
「あなたの家族はスペックを持つ者たちに殺された可能性が高い」。
スペック――当麻が初めてその言葉を聞いた瞬間だった。
5年後、その話を片時も忘れたことのない当麻は、迷わず刑事の道を選ぶ。
FBI研修を終え帰国した当麻は、公安部公安第五課未詳事件特別対策係への配属が決まり、係長の野々村(竜雷太)に出迎えられる。

一方、ニノマエ(神木隆之介)は地居(城田優)の策略により、
当麻を親の敵と憎み、あらゆる手で当麻を追い詰めようとする。
地居によって歪められた当麻とニノマエは仲の良い姉弟だった記憶をいっさい消され、命を賭けた戦いへと向かうことに。
そして、その渦の中に巻き込まれた一人の少女・真帆(川島海荷)。
カノジョを守るため、当麻はSPECを使うことになるのだが……。

2013年

感想

ドラマ本編の前日譚。

戸田恵梨香の女子高生姿は「野ブタをプロデュース」以来だが、やはり10年近くたつとさすがにきついね。スッチー姿の方が似合っていた。赤いスーツは良かった。でも、どうして、あのださいスーツが戦闘服件日常の服になってしまったのだろう。(一との対決に向けて選んだスーツなのはわかったけどさ。なんで、スーツなの?というところ)

加瀬亮は相変わらずの「脳が筋肉」。こうもまあよく演じられるよねえ、と思う。

二人ともGJである。

神木隆之介はなんとなく演技の質が落ちたように思うのだが。どんどんなんだか「残念な」方向に行っている。セリフ回しだろうか。なんなのだろうか。非常にテレビ的な演技、と言えば良いのだが。小ネタの出し方を恥ずかしがっているようにも見えた。小ネタのシーンは余興を見させられているようでつらい。

城田優は素晴らしい。当麻を愛し、愛するが故に憎む、という地居の変態ぶり。いいねえ、いいねえ。もっともっと変態役をして欲しい。徹底的な変態役のできるイケメン俳優って需要があると思う。

小ネタ

翔も天もさほど小ネタが満載ではなかったと思うのだが、今回「零」はいろいろと小ネタ満載で、オリジナルシリーズに戻った感じがした。チープな絵の作りなどもやっぱりこのシリーズのホームはテレビであって映画ではないのだよねえ、と思わされる。スペシャルドラマと映画などにせず、アメリカドラマのようにシーズン2、シーズン3とすれば良かったと思うのだが、どうだろう。おそらく、零・起・翔・天と結前後作をあわせた予算と時間でテレビシリーズシーズン2は余裕だと思うのだが。映像の時間も、2時間に5作をかけて10時間。10話分ではないか。このシリーズの命は小ネタ。そして、どこまでもテレビ的なチープさ。映画に似合うタイプの作品ではない。

「ケイゾク」

開始5分で未詳創設が描かれるのだが、そこで「柴田君もよく考え抜いての人選でしょうね」「真山君は殉職だったそうですね」。「また、床に寝ておられる」ああ、柴田だ。「ケイゾク」の柴田だ。
真山が死んだ〜。「ケイゾク」としてはもう真山と柴田の物語はなくなってしまった。むしろ、真山殉職の物語をしてほしい。おそらく、言葉を尽くして罵倒するだろう。でも、私はあなたに会いたい。柴田から見た、SPECが見たい。

残された謎

どうして手を失う前から当麻はスーツケースを持っていたのだろう。

日本の映像の海外戦略のまずさ

テレビドラマとしてシーズン2を作った方が海外に売り込むのも売り込みやすいと思うのだ。「踊る大捜査線」の映画版以降、なぜかテレビドラマの映画移植が多い。「ケイゾク」も映画化したし。広告収入が視聴率に必ずしも連動しないだろうから、動員数が収益につながる映画の方が収益が多そうだ、というのはわかるのだけど。しかし、海外戦略、後からおいかける客のことをまるで考えていないと思う。日本のドラマには一定程度の客がいる。映画にしてしまうことで、海外でも映画配給までしなければならなくなってしまう。テレビと映画と言う、映像とはいえ、視聴者に届ける方法が異なるメディアを利用することは、海外集客の導線を細らせることになると思うのだがどうなのだろう。「クールジャパン」というならば、こういう、国内しかそして短期の客しか見ていない製作側の視野の狭さ、視座の低さをどうにかした方が良いと思うのだが。どのみち大きな市場のアジアではほとんどがYouTubeで見る客が多いのだ。売りにくそうなシリーズ物の途中の映画とスペシャルドラマを単発で売るよりも、テレビに売った方が利益が上がると思うのだが、どうだろう。

劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇

ズボラながら頭脳明晰、左腕を三角巾でつるした当麻紗綾(戸田恵梨香)と肉体派で単純男の瀬文焚流(加瀬亮)。この2人は公安部公安第五課未詳事件特別対策係、通称”ミショウ”に属し、「未来予知」「念動力」などのスペックを駆使する犯罪者に立ち向かっていた。地居(城田優)、冷泉(田中哲司)、サトリ(真野恵里菜)などの数々のスペックホルダー、そして「時をとめる」最強の能力者、宿敵ニノマエ(神木隆之介)との死闘に勝利をおさめた当麻ら。しかし、スペックホルダーたちは国家を揺るがすほどの存在となっていく。人類の中枢を担う権力者たちは、スペックホルダーを殲滅するため、”シンプルプラン”を実行に移そうとしていた。それに対し、死んだはずのニノマエによって組織化されたスペックホルダーたちは、人類との覇権争いに乗り出す。

2013年

感想

天に引き続き、劇場にて。一気に前後見てきた。

正直言おう。私は動揺している。終わってしまった。スペックが。いや、「ケイゾク」が。動揺してしまったのは後編のせいだから、前編はさっくりさっくり行こう。

書くべきなのは三人。
まずは青池里子を演じた栗山千明。「SPEC 天」で、

で、この青池里子という役だが、死んだのだろうか。

と書いたのだが、生きていた。相変わらずきれいだねえ。

次は水芸女を演じた香椎由宇。産後は初めてかもしれない。きれいだねえ。つけまでばっちりなのだが厚化粧でも美しいとは。ただ、同じタイプの女優を二人被せるとは思わなかった。

最後は「野々村係長」。竜雷太という俳優ではなく、「野々村係長」。
この「ケイゾク」から始まる世界はこの「野々村係長」がキーだった。「デカ魂」そして「心臓が鼓動を止めるまで」。そうだ。この人あっての女子刑事二人だった。この人の元で柴田純も当麻紗綾も育ったのだった。

小ネタ

今回も小ネタ満載だが、やはりぐっとくる。頭に出てくる「食いなっせ。たーんと食いなっせ」である。オリジナルシリーズではあれで当麻は瀬文に告白したようなものだった。いいね。やはり、良いよ。

映画「劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇」

映画「劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇」

戸田恵梨香, 加瀬亮, 北村一輝, 栗山千明, 香椎由宇, 有村架純, KENCHI, 遠藤憲一, 浅野ゆう子, 神木隆之介, 福田沙紀, 城田優, 田中哲司, 安田顕, 真野恵里菜, 三浦貴大, イ・ナヨン, 向井理, 大島優子, 竜雷太
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劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇

野々村(竜雷太)を失い、復讐に燃える当麻(戸田恵梨香)。しかしシンプルプランに侵されてしまった当麻は、熱と咳に悩まされていた。心配する瀬文(加瀬亮)と吉川(北村一輝)のもとにシンプルプランの解析が終わったと馬場(岡田浩暉)たちがやってきた。それは一同驚愕の内容だった。シンプルプランの正体を聞き推理を始めた当麻は、湯田(遠藤憲一)がトウダではなく、裏切り者ユダ(JUDAH)、すなわちプロフェッサーJであることを突き止める。一方、警察病院に入院していたユダは、大人のスペックホルダーを虐殺し、子供のスペックホルダーをシンプルプランに感染させ、姿を消していた。当麻は後のことをすべて瀬文に託し、スペックを使うことを決意する。そしてセカイ(向井理)、潤(大島優子)、ユダとの最終決戦に臨むのであった。

2013年

感想

終わってしまった。

さて、書くべきことはたくさんある。

朝倉

予習はしない派だが、よほどの馬鹿でもない限り気づく。どこに朝倉がいるんだ?

私の説を披露するしかあるまい。ところで、最後に突然出て来た「朝倉」という名前で何だ?と思われた方もおられるだろう。
朝倉とは「ケイゾク」に出てきた快楽殺人者にして、他人を操る男。他人に憑依してみたり、他人を殺してその姿を乗っ取ることもある、という謎すぎる男だ。

以前私はこう書いた。

「ケイゾク」の朝倉は「ケイゾク」だけを見ると奇妙奇天烈なのだが、SPECを見てからだとSPECホルダーであることがわかる。結局、朝倉はなんだったのだろうか。柴田にSPECホルダーによる犯罪について気づかせ、ミショーを作るきっかけ、ということなのだろうか。


ちがうちがう。
「ケイゾク」最大の敵、朝倉は柴田に憑依して真山を襲ったではないか。ただのSPECホルダーではない。憑依してみたり、どの顔にも変異できる。
ユダだ。今回のユダと「ケイゾク」の朝倉は同じ、というか、同種だ。「津田助広」同様にパブリックドメインかもしれないけれど。

朝倉は「ケイゾク」では快楽殺人者にして何かわからない変なもの。
ユダは「SPEC」では「セカイ」に仕える男だ。そのために大量虐殺を行う。

この違いは視点が違うからだ。「ケイゾク」ではスペックを持たない柴田と真山の視点だ。地に足をつけて歩く人間の視点。

しかし、「Spec」は違う。主人公の当麻がスペックホルダー。そして、立つ視点は神の視点だ。

制作側の「朝倉」の理解が足らなかったともとることができるのも事実なので反論は認める。「ケイゾク」においても朝倉は新しい世界を作ろうとしていたのかもしれない。「ケイゾク」と「Spec」はパラレルワールドで一つの世界からもう一つの世界に移った、ともいえるのだ。(便利だね、このパラレルワールド。続編をいくつ作ろうが、野々村が生き返ろうが、殉職したという真山が生き返ろうが、パラレルワールド設定でいける)。

本作ラストの「朝倉」という呼びかけは、「ユダ=朝倉」を示すのであろう。

戸田恵梨香

終盤に戸田恵梨香は「トリック」の仲間由紀恵そっくりの口調になる。この人、声を高くしたりして小ネタをするときが楽しそうだ。クソ真面目な女優というイメージがあるけれど、結構コミカルな人かもしれない。そう言えば、「うふ♡」とかわざとらしくするところも笑えたのだったなあ。この人のこういうコメディエンヌっぽいところをもっと見たい。

中谷美紀では表現できなかった世界を戸田恵梨香は表現したのだのだろう。戸田恵梨香という女優を得て、この「ケイゾク」から続く世界は完成したのだろう。戸田恵梨香の一種中性的な低音の声が非常に心地よかった。中谷美紀の声では媚びるように聞こえたかもしれない。「柴田」も色気がない設定だったが、「当麻」のオス度の高さは最高であった。

そうなのだ。「当麻」はオス。瀬文は(普段は乳酸菌が非常に良く似合うふにゃっとした加瀬亮が演じるが)オス度の高い肉体派。しかし当初反発していた当麻に押さえ込まれて服従する鉄砲玉、というところだろうか。男同士のバディものとしても構築できた物語だが、美味しく召し上がられてしまうので当麻を女にしてオス度を下げた、というところだろうか。当麻と瀬文にあるのは、柴田と真山の間にあった不器用な愛情ではない。当麻と瀬文には深い友情があり、強い信頼関係があり、そしてシャイな愛情はあったのだろうか。あの二人は非常に固く、固く結ばれた関係だった。男女のBL。

女が髪の毛を切ることにさほど意味はない。しかし、戸田恵梨香は本作の後に長かった髪を一気に切った。「当麻」を超えなければ、という決意なのかもしれない。ただ単に撮影で毛先が痛んだのかもしれないけれど。あなたの次の代表作を待っている。先の楽しみな女優だ。

加瀬亮

加瀬亮も乳酸菌のCMの通り、好青年(にしてはもうおっさんか)のくせに、たまに本作の瀬文のようにオス度を高めてくるからぞくぞくする。ラストの小汚いところはムショだろうか。ぐっと当麻の左手をつかむシーンはぼっこぼこの顔のくせに凄く良かった。セクシーと言っても良いほど。あれは瀬文の愛の印だったのかもしれない。当麻も瀬文に見つけてもらえて良かった。当麻が忌み嫌った左手をつかんでもらって、良かった。

城田優&神木隆之介

ようやく変態的な雰囲気のある二人が出て来た。
神木隆之介は「ねーちゃん」というところくらいしかない。シーンが少ないせいか「零」で感じた小ネタのあざとさのようなものは感じない。

城田優は二言だけ。それだけで十分変態ぶりを発揮してくれるのだから最高だ。前編の予告編で「黒執事」をやっていて城田優が出演しているようだった。まるで興味のない映画だが、城田優がやっぱり何か変態そうでそこだけ見たくなる。

栗山千明

瀬文と青池がにらみ合うシーンで知ってしまった。この人、背が低くてなんとなくちんちくりんなだけではなくて、足も短い。顔だけ見れば絶世の美女なのだが、妙に親近感がわいてしまった。

向井理

嫌いなのだ。この俳優が。イケメンと言われるがそうでもない。演技も微妙。優しそう?あの目、笑わないよ?冷たいよ?恐ろしい。サディスティックな感じのする俳優だと感じていた。私はマゾヒスティックな感じのする人が好きなので、反発する。

どうもキャスティングした人は私と同じだったらしい。そしてそれがはまった。もう、かっちりとはまっている。セカイが余裕ぶっこいているときの口元だけで笑う笑い方。嫌な感じの笑顔。余裕がなくなったときの怒り。やれやれ、もっとやれ(でも私の側に来ないでね)。良い俳優になりそうだ。

死への憧憬

堤作品でカルト的人気を誇る作品は、TBSでの「ケイゾク」そして「SPEC」。日テレでの堂本剛版の「金田一少年の事件簿」。テレ朝での「トリック」。共通点が一つある。どれも小ネタや笑いでまぶしてあるが、死の気配が濃厚なことだ。中でも最も死の気配と悔恨が濃厚なのが「トリック」だ。

トリック

「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」のラストシーンでシリーズ1の初回ではなかったか、母の泉教団の話に戻る。あの悔恨。これまでしてきたことは良かったのか、という、悔恨。常に「実は?」という気配を残す物語だが、ぎょっとしてしまうほどだった。

実は後編の前の予告編は「トリック」だった。主題歌はもちろん鬼束ちひろの「月光」。ゼロ年代のいわゆるセカイ系を最も具体化した作品の一つが「トリック」シリーズだったと思う。他の作品と一線を画すのは、山田も上田もどことなく死にたがっているように見えたところだった。そして月光の歌詞。「この腐敗した世界」「こんなもののために産まれたんじゃない」。本作の間中、頭の中で「月光」がかかっていた。これも計算だろうか。

月光/鬼束ちひろ 歌詞
鬼束ちひろの「月光」歌詞ページ。「月光」は、作詞:鬼束ちひろ、作曲:鬼束ちひろです。
厭世

まさに、本作「劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇」ではないか。ユダもセカイもは「この腐敗した人間世界」、というではないか。崩壊させてしまえば良いのだ。それとも、救って欲しいのか。別の世界にして欲しいのか。「ここではない、良くにた別の世界にして欲しい」。私はそう思った。まさにそれは向井理と戸田恵梨香ががっちり四つに組んだ結果なのだが、「ここではない、別の世界」、それがキーになると思った。愛だのなんだの、当麻はこね回す。だからなんだ、と厭世的な気分にさせられてしまうのだった。

信頼する人に殺される幸せ

当麻は瀬文に「撃て」という。いや、前編に戻ろう。野々村(の死体)は、「愛する我が子」と呼びかける同僚たちに「撃て」と命じた。
当麻も野々村も瀬文を信頼するから「殺せ」と言える。愛するから「撃て」と言える。瀬文も愛するために、信頼するために相手を撃てるのだ。信頼関係が昇華すると死に至ってしまった。そして当麻は無限地獄に落ちる。

瀬文はその当麻の腕をつかんだ。おそらく、瀬文は現実社会にはもう二度と適応できないだろう。でも、二人は幸せなのだ。

信頼しているから。あの二人の間には、愛情よりも信頼がある。

震災映画としての側面

当時私は揺れもしない西日本にいた。東日本にいた人とは、おそらく受け止め方が違ったのだろう。自分のことではない、どこか別の世界の出来事のようにも見えたのだ。東北の被災者だけではない。実際に強い揺れを感じたり、帰宅困難者になった人とも、私たちはおそらく感じ方が違うのではないかと思う。強い心理的な衝撃はあった。しかし、次は私は「今あの人たちに何ができるか」だけであって、直接の恐怖を覚えたわけではないのだ。おそらく、根本が違うのだと思う。

表現者はより如実だろう。「風立ちぬ」の地震のシーン、そして本作でセカイが地を割っていくシーン。あれに震災の影響がまるでなかったとは言わせない。そういえば、「風立ちぬ」も次に続く言葉は「いざ生きめやも」であっても、死への憧憬の強い作品だった。

後味の悪さ、そして「死」の気配を消すため?

当麻のこねくりまわした愛だの人の感情だの、そしてラストの宙に浮かぶ当麻だの、ラストの「SPEC Close」の文字が「Someone who loves you is close to you」の文字に変わるところ。あれは全て後味の悪さ、そして「死」への憧憬を中和するためにすぎなかったのではないかと思わないでもない。あの浮かぶ当麻のシーンにふさわしい曲は荒井由実「ひこうき雲」だろう。

ひこうき雲

ひこうき雲

250円(09/06 03:05時点)
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アジア映画としての側面

輪廻とかユダは言っていた。「来世で」と瀬文は言って引き金を引く。あの感覚がなんとなく中華圏の武侠もの(というか天上界が出てくる話、というか、ツイ・ハークもの)の映画を思い出させたのだ。
そういえば、霊魂がどうの、とか、腹を借りて産まれる、とか。セカイ系の物語は結構(微妙な理解の)キリスト教的世界に落ち着かせようとすることがある。本作も「ファティマ第三の預言」とかキリスト教的な話が出てくる。しかし、中を見ればアジア映画だった。いわゆる、ドラゴンボール系の「気」的なものではなくて、ビームを出したりする正当な中華系の作品の雰囲気である。これが非常に面白かった。(つまらない映画だが)具体的に思い出せる映画の中でポイントポイントで近いな、と思ったのは、ツイ・ハークの「天上の剣」。なのだが、本当にところどころでしかないので見る必要はない。もう一つ、「気」ではないが「マイ・キングダム」でバービィ・スーが手玉に取った男に「約束が多すぎて来世でも借りは返せない(一緒になれない、だったかな)」という、あの感じ。本作は正当な東アジア中華文化圏の映画なのだ。

映画にしたのははおそらくCG処理した破壊のシーンを見て欲しい、ということではないだろうか。しかし、チープなんだな。プアなんだな。今時、中国映画のCGだってもう少し迫力があると思うのだが。やはり、「SPEC 零」で書いたのだが、テレビでシーズン2にすべきだったと思う。

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