テレビシリーズのサラリーマンNEOは面白かったのにねえ。
サラリーマンNEOというと、もはや伝説といっていい、シュールなコント集だった。
NHKだからこそできるコントでねえ。
NHK DVD サラリーマンNEO SEASON 6 DVD-Ⅰ
一番好きだったのは、堀内敬子だったと思うけれど、厚姫とか。中田有紀のアナウンサーシリーズも好きでしたよ。見てない人は、ぜひ。アマプラでも一部見られる模様です。
サラリーマンNEO 劇場版(笑)
新城(小池徹平)は、第一志望ではない業界5位のNEOビールに入社する。
かつて“冷麦”という大ヒット商品を飛ばしたが、今は阪神タイガースの応援だけに執心する課長・中西(生瀬勝久)を筆頭に、何かと不条理な目に遭う川上(沢村一樹)など、一筋縄にはいかないメンバーが揃う営業一課に配属された新城は、量販店まわりや接待など、絵に描いたようなサラリーマン生活を送り出す。
しかし1カ月経っても営業契約件数0で、社内のOLたちからは総スカン、合コンでも女の子の鈍い反応に、新庄は早くも転職を考え始める。そんな折、全国酒類協会ゴルフコンペで、業界1位の大黒ビールの布袋社長(大杉漣)とラウンドをして惨敗したNEOビールの根尾社長(伊東四朗)が、大黒ビールを抜いてシェア1位を目指すと宣言、
新商品のアイデアを出すよう全社員に厳命する。
さっそく営業一課でも企画会議が開かれ、無重力ビールや枝豆ビールなど斬新かつ珍妙なアイデアが次々飛び出すが、中西はピンとこない。ところが新城がその場しのぎで口にしたある企画にGOサインが出てしまい、事態は思わぬ方向に転がり出す。
2011年
感想
監督は吉田照幸。
テレビのレギュラーシーズンは2011年で終了。終了が見えてたんでしょうね。劇場版が作られました。
民放で、ドラマー映画というパターンは、踊る大捜査線からなんでしたっけ。結構あるんだけど、今回に関しては大失敗。
NEOのファミリーではない小池徹平をもってきて、周囲にOL夜叉、ハヤイ、川上君、NEOエクスプレス、大いなる新人、白石夫妻、セクスィー部長などおなじみのキャラクターたちは健在。だけど不発だった。
主なキャストが脇役がメインの人たちだったと言うのもあって、主役に誰かを持ってくるべきだろうと思ってたのだけどねえ。
それが、最の悪。
ニュース以外にNHKの価値は海外ドラマを放送することだと思っていた。もう一つ、「コント」の新しい道を切り開いたのが「サラリーマンNEO」シリーズだった。いわゆる「芸人」ではなくて役者、しかも演技のできる役者が本気でコントをしている、という点で斬新だった。変な笑いも入らないコントで好きな番組だった。それが劇場版を作るとどうなるのだろうと、「テレビ放送」を見た。最悪。これ、映画館で見た人たちは暴動を起こさなかったのが謎なくらい、というのは冗談だが。タイトルに(笑)と付いているだけで嫌な感じがして、見に行くのをやめて正解だった。
物語のプアさ
ショートコントの「変な人」たちを出すための一本の「横串」としての物語(あらすじ参照)が徹底的につまらない。「(仕方がない)俺たちはサラリーマンなんだから」という決め台詞(?)も、思考停止にしか聞こえなかった。それは私が自営業者だから思うのかもしれない。けれど、「サラリーマンNEO」の面白さは、そういう思考停止を誇張された「変な人たち」によって揶揄するところだったと思うのだが。このプアでナイーブな物語が「NEO」の精神を殺してしまった。
横串をさすための「新しい血」が新入社員役の小池徹平だ。この人が良い仕事をしさえすれば救われるのだが、小池徹平は逆の働きをしてしまった。
小池徹平と私の相性は最悪、というよりも本作以前に見たのは「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」だけなのだが、ほんっと、この人の主演作品はもう見ないで良いことにしようと思うほどだ。
顔が一般的に「かわいい」男子だったのは認めよう。それも「ちょっと痛ぶりたくなるようなかわいさ」なのだ。だから「ブラック企業」であったり、本作のどM社員として使われるのだろう。ビジュアルは重要。けれど、本作ではもう、以前ウェンツ瑛士とテレビに出ていた頃のような肌ツヤはもうなくなっていて、「かわいい男の子」とか「美少年」ではない。フレッシュさすらない。かわいい顔立ちだが、かわいい、ではもう売れない。
「童顔の美少年の若者」なので、これから顔立ちが変わることはないだろうが、童顔は役に困るのは東西を問わないではないか。演技力に定評のあるレオナルド・ディカプリオですら童顔で苦労している。それでも、役者として生き残るために必要なのは演技力、これしかないのだ。その演技力が小池徹平にはない。
表情はいつも同じで、台詞まわしも単調。見ているだけでイライラさせられた。
戦犯はもちろん、監督吉田照幸だ。もう商業映画は作らないでね。