片田舎でピザ店を営む純朴なディーズに、突如400億ドルの莫大な遺産が舞い込んだ!急死した大企業の会長の唯一の相続人が彼だったのだ。そんな彼をニューヨークで待ち受けていたのは、遺産騒動に沸くマスコミと会社乗っ取りを企む幹部たち。そんな大都会で、ディーズはキュートな女性ベイブと運命的な出会いをして恋に落ちる。ところが彼女の正体は彼のスクープを狙うリポーターだった・・・。
Mr.Deeds
感想
監督はスティーブン・ブリル。
私とアダム・サンドラーとの相性はめちゃくちゃ悪い。ちょっとえぐいアメリカン・コメディは嫌いではないのだが、アダム・サンドラーものはいまいち乗れないのだ。なぜ面白いのだろう?と首をひねりながら見るのだ。
アダム・サンドラーが演じるディーズは田舎の人間だ。グリーティングカードに陳腐な言葉を書いてカード会社に送りつけて売ろうとしているのだが、どうも、一種の発達障害の方をデフォルメしているように見えるのだ。村人もそうだ。「心やさしい田舎の人」、どころではない。
都会を代表する重役とウィノナ・ライダーの演じる記者が悪人、そして田舎を代表するディーズが善人で、彼に恋をした悪人のウィノナが改心してディーズに協力して重役をやっつける、というのが面白いだろう?というのだが。このあざとさと演出の下手さときたら「噂のモーガン夫妻」の比ではない。ディーズの後にモーガン夫妻を見れば、さすがはヒュー・グラント、おしゃれで知的だ。
株主総会で会社を分割して売っぱらい、株主が利益を得て、従業員は首になる、という図式もありえないのだ。投資家は心が冷たい?株をもっているのは普通の人だ。ディーズの演説も白々しいし、薄っぺらい偽善にみちみちてリアルさに欠ける。
全てが空回りしているのだ。
あーあ、一時間半を無駄に過ごした。こんな駄作、見たことないよ。ウィノナもこの頃、万引き事件を起こしたばかりで、こんな映画にしか出られなくなっていたのか、と思うと、ちょっと哀れだった。
ニューヨークはこんな退屈な映画にはふさわしくない