一時期、ヒッチコックばっかり見ていた時期がありましてね。シネフィルを名乗るからには、押さえておかねばならないところ。全作品を見ているというわけではないんだけどね。「サイコ」と「鳥」は必修科目。
サイコ
アルフレッド・ヒッチコック監督による画期的なホラー映画の傑作!アンソニー・パーキンスが精神を病んだ青年ノーマン・ベイツを主演。青年の住む古くて暗い家と、それに隣接するモーテルで無事に夜を過ごす者はいない。不運な宿泊客マリオン・クレイン(ジャネット・リー)は、有名な“シャワーシーン”で犠牲者になる。彼女の行方を捜して、私立探偵そしてマリオンの妹(ヴェラ・マイルズ)がモーテルを訪れる。殺人犯人の正体が明かされるクライマックスへ向けて、恐怖とサスペンスが高まっていく!
Psycho 1960年
感想
うっとりするほど、無駄がない。
いいねえ。
ガス・ヴァン・サントがリメイクしているが、どう見ても本家には勝てない。
鳥
美しいブロンドの女性メラニー・ダニエルス(ティッピー・ヘドレン)が、婚約者のミッチ・ブレナー(ロッド・テイラー)に会いにボデガ・ベイにやってくる。カモメに襲われる彼女。その後、何千羽もの鳥が町に群れをなしてやってきて、子供や住民たちを襲う。ミッチやメラニーも、何の理由もなく襲う鳥たちの力と戦うのに命をかける。
The Birds 1963年
感想
理由なく襲ってくる「鳥」というのがいいですね。襲ってくるのに理由なんかいらないんですよ。世界はそもそも理不尽だから。
これ、進歩的な女が旧弊な場所で「魔女」と罵られ、石を投げられたということだったんだ・・・ようやく気づいた。
1963年。ウーマンリブ前夜か・・・そりゃそうだ。何人ものメラニーがいて、ウーマンリブになるのか。
マーニー
噓癖が直らない妻をおぞましい過去から助けようと努力する夫を、ティッピー・ヘドレンとショーン・コネリーが引きつけられるような見事な演技で見せるヒッチコックのスリラー。
Marnie 1964年
感想
あー、精神分析。
今なら、表現で見せるのをもろに「精神分析」してしまったのか。つまらないな。
ショーン・コネリーがセクシーそのものである。
ベネディクト・カンバーバッチの知的なセクシーさでも、レスリー・チャンの孤高のセクシーさでも、アラン・ドロンの良い意味で下品なセクシーさでもなく、スコットランド人ショーン・コネリーが単純明快なアメリカのマッチョなジェントルマンのセクシーさであった。
主演のティッピ・ヘドレンという人は印象に残らない。だからいろいろな人に化ける「マーニー」にあっているのか。むしろ、リル役のダイアン・ベイカーの方が印象的だった。
逃走迷路
航空会社の工場で火災が発生。同僚のメイソンが焼け死んだ事件の容疑者に仕立てられたバリー・ケンは警察の追及を受ける。一度逮捕されるも護送中橋の上の渋滞を利用し川に飛び込み逃走する。そこで盲目の紳士に助けられるが、その姪のパットに警察に通報されそうになる…
Saboteur 1942年
感想
ああ、テロねたサスペンスの始まりはここかな。
ただ、現在のサスペンスに慣れてしまうと、たった二時間なのだがのんべんだらりとしていると感じる。それは典型化されていないからだろう。本数を重ねて見つけた黄金法則。それがない。
パットが乗っている船はスタテン島クルーズかと思ったら、自由の女神ツアーだった。
この時代、ファーはほんものだろうが、動物のしっぽだけではなく足とかすごく生々しい・・・。
いずれにせよ、これが1940年代である。こんな国と戦って勝てるわけがない。
知りすぎていた男
休暇を過ごしていたマッケンナ夫妻の息子が誘拐され、イギリスへ連れていかれた。
The Man Who Knew Too Much 1956年
感想
しょっぱなから不快であった。
馬鹿で間抜けなアメリカ人観光客というやつだ。
少し前までは日本人観光客がこう感じだったし、今なら中国人観光客だ。
それにしてもいくつだよ、ハンクは。ベールをはぎとって怒られて「騒ぎすぎだわ」はないだろう。躾が悪すぎる。ぶん殴られても同情はしない。捕り物を見て、飛び出して見に行こうとするのも馬鹿すぎる。
片手で食べろと言われて怒るのとかね。そのせいでハンクが誘拐されて、気の毒だと思ったのは誘拐犯の方だったのだ。私ならさっさと殺すだろうなあ、ああいう馬鹿な子を誘拐することになったら…
クライマックスで歌と夫妻の心情が重なるとか、今では珍しくもない手法だが、当時は珍しかったのだろうなあ。