キッズ・オールライト

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ニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)は、長年付き合っている(女性同士の)カップル。同じ精子提供者を受けてそれぞれが産んだ子供、ジョニ(ミア・ワシコウスカ)とレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)の4人で暮らしている。
ママ二人と姉弟という少しいびつな家族だが、仲良く、楽しく愛情に満ちた生活を送っている。
しかし、18歳になり、大学進学のための1人暮らしを控えたジョニと15歳のレイザーは、まだ会ったことのない自分たちの医学上の父親・ポール(マーク・ラファロ)に興味を持ち、こっそり会いに行くことに。
オーガニックレストランを経営し、気ままな独身生活をするポールに親しみを感じた二人。
しかし、親二人にもポールのことがばれたことから家族に少し異変が起きはじめる・・・。

The Kids Are All Right 2010年

感想

監督はリサ・チョロデンコ。

もう、変なに日本題つけないでよ。
キッズ・アー・オールライトなんだよ。

ニックは女性だがとても男らしい人だ。むしろ保守的で抑圧的。コントロールフリークでもある。たまたま女に生まれてしまっただけだ。ジュールズはむしろ女らしい人。運命の人がたまたま女だったのでレズビアンになっただけらしい。むしろ、バイなのかもしれない。そういう「普通の人たち」がたまたま同性愛者だという描き方は少し新鮮だった。そこはいい。

二人の関係が倦怠期にあって、そこに闖入者が入る。それが子供達の精子ドナーだった、という成り行きもいい。

とにかく気の毒なのがポール。
これまで楽しくやってきたポールは突然現れた子供たちを受け入れる。ジュールズの浮気相手になってしまい、本気になって身辺を整理したのに、叩き出される。

社会学においては「女性嫌悪」のことをミソジニーという。これまでたくさんミソジニー満載の映画を見てきた。いわゆる、アマゾネスもの(女戦士もの)は大抵ミソジニーにまみれている。

ミソジニーの対義語として男性嫌悪のことを「ミサンドリー」という。滅多にそういう作品に出会うことはない。
しかし、本作は明らかなミサンドリー作品である。

ニックが男性だったとする。
コントロールフリークな男性だ。妻は浮気をしてしまい元に戻れるのか。こういう人は「僕のところに帰ってきてくれるなら構わない」というような態度を取らないと思わないだろうか。女性だったら良いのだろうか。

ポールが何をしたと言うのだろう。ジュールズをレイプしたわけではない。二人の関係は誰かが誰かを誘うようなものではなかった。ただただ突発的なものだった。同性愛者にとって異性は排除すべきものなのか。単にスパイスでしかないのか。ニックとジュールズはどうして元に戻れるのだろう。そこがきちんと描けていない。そのせいで本作はミサンドリーなのだと私は解釈した。

もう一人、ただただアレルギーで鼻水を垂らしているだけのメキシコ人の庭師。ヤクをしていることにされてクビにされて本当に気の毒だ。

ミソジニー作品を見たいとは思わない。しかし、ミサンドリー作品も見たくないのだ、と思った。

キッズ・オールライト (字幕版)

キッズ・オールライト (字幕版)

アネット・ベニング, ジュリアン・ムーア, マーク・ラファロ, ミア・ワシコウスカ
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