声をかくす人

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南北戦争終結から間もない1865年のワシントンで、アメリカ合衆国大統領リンカーンが暗殺される。
すぐさま犯行グループは拘束され、その一人として下宿屋を営む南部出身のメアリー・サラット(ロビン・ライト)も捕らえられる。
罪状は犯行グループへのアジト提供であったが、彼女は一貫して無実を主張。メアリーの担当弁護士を引き受けることになったフレデリック(ジェームズ・マカヴォイ)は、
北軍の英雄であったこともあって彼女と向き合うことに抵抗を覚えるが、実際に無実で何かの事情から自身を捧げようとしているのではと考える。

2010年 The Conspirator 

感想

監督はロバート・レッドフォード。

レッドフォード好みだ。いかにも。どこまで史実に近いかは別にしても、ネタがネタだけにメアリーについてはさほど史実とはかけ離れていないだろう。しかも、フレデリックはメアリーの裁判の後に、ワシントンポスト紙の初代社会部部長になっている。出版されたか否かは別として書き残しているだろう。

大統領を暗殺したからといって、公平な裁判を行わずに死刑にしたことは、アメリカの民主主義、アメリカの法治主義にとっては恥部といって良い。一人の政治家の恣意で判決文が書き換えられたことは特に。メアリーのために、弁護士としてなすべきことをしようとするフレデリックはアメリカの良心だ。

なんだかんだいって、アメリカという国は健全だ。アメリカという国の言論の自由、そして法治主義。それもちろん万全ではない。けれど、こうやって、後世になってその不正は正されようとする。日本人である私にはスタントンという人物は知らない。リンカーンの後を継いだジョンソン大統領についても。実際にどんな人物であったかも知らないし、正直興味もない。けれど、墓場でひっくり返っているのではないだろうか。

戦時には法は停止する。
そうだろうか。正義は復讐か。国を建て直す、とはいえ、憲法を守らねばならない。これがレッドフォードの主張だ。(もう一つ、死刑反対、というものもあるかもしれない。)

守らなかった者は、最後にはこうやって不名誉な作品として映像化してやる。それが映画人の気概なのだ。
アメリカ映画は、アメリカという国家のプロパガンダに使われることが少なくない。けれど、本作のように過去の国家の所業を暴こうとすることができる。

メアリーの処刑から一年後、最高裁判所は民間人を軍法会議で裁くことは禁じた。南部人と北部人で構成された陪審員はジョンの裁判では合意に至らず、ジョンは釈放されることになる。これが健全な国家の姿だ。日本であればどうだろう。一度曲げたからにはずっと曲がりっぱなしなのではないだろうか。それが先に処刑された者と公平だ、とか言って。

どちらが健全な国家だろうか。

だから、私はアメリカが好きだ

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