高校時代はチアリーダーのアイドル、30代の今はシングルマザーでハウスクリーニングの仕事をする傍ら、かつての恋人と不倫中の姉・ローズ。妹・ノラは父親と実家暮らしを送っている。ローズは家族のピンチを乗り切るため、妹と一緒に事件現場をクリーニングする、ちょっと危ない“清掃業”をスタートさせるが…。
Sunshine Cleaning 2009年
感想
監督はクリスティン・ジェフズ。
ローズの毎朝の日課らしいのが、「私は〇〇」「私は〇〇できる」といったポジティブな言葉を鏡の中の自分に向かってかけることだ。しかし、現実のローズはそれとはかけ離れていて、痛々しい。「呪文」としか言いようがない。
その姿はまさにポジティブ信仰の篤いアメリカンだなあと思う。個人的に知る限り、アメリカ人は泣くのが嫌いだ。映像作品でも韓国ドラマも台湾ドラマもしょっちゅう俳優が泣くが、アメリカ人俳優がアメリカで演技をするときはここぞ、というとき一度だけ泣くだけだ。人前では泣かない。いや、鼻水まで垂らしながら口説くベン・アフレックもいたが。それも一度きりか。
ポジティブであれ。前向きであれ。ひたむきであれ。否定するものではないけれど、やはりどこの国にいても本作のローズのようになかなか報われない人がいるわけで、そういう人にまでこのポジティブ信仰を押しつけるのはいかがなものかと感じるのだ。
ただ、アメリカの物語らしく、最終的にはローズとノラは自分で道を切り開くのだが。
もう一つ。日米を比較するときに日本の同調圧力の強さを指摘することがあるが、アメリカだって同調圧力がないわけではない。ちょっと「問題を抱えた」子に対しては決してやさしいわけではない。それは田舎ならばなおさらだ。
作品としては、良作。面白さなら「リトル・ミス・サンシャイン」の方が上。
ローズを演じたエイミー・アダムスが気に入っているので評価が上がる。