あの夏、ヨーコさんが教えてくれたこと コーラと清志郎と思いきり笑うこと
2007年
感想
監督は根岸吉太郎。
「サイドカーに犬」というタイトルのせいで、ようこさんはサイドカーに犬を乗せて颯爽と現れる人なのだと思っていた。違う。ようこさんは何をしているかわからない人で、自転車に乗っている。
薫は母に置いていかれた。そのせいで、ようこさんに捨てられるのではないかとおびえる描写など、うまかった。
ようこさんはふっと連れ出してしまったのだろう。そのまま行けば誘拐することになるかもしれない。心中するかもしれない。あのばあさんのせいで我に返った、というところだろう。そこも上手かった。
ふと、小さい頃の友人の継母を思い出した。
小学校の低学年の頃に母が逃げ出した、という友人だった。父と祖父と二人の娘たちで生きていたが、継母がきて、弟が産まれた。あの継母さんの暗い表情を思い出す。暗い家でぼうっとしていた。
私の頃はまだ土曜日が完全な休みではなかった。土曜日の学校帰りにそこに寄ってしまい、継母さんがうどんを作ってくれたのだけど、継母さんは何も食べなかった。おそらく私に出したのだろう。そのときは行ってはいけなかったんだ、という罪悪感を覚え、確か、それ以降行かなかったな、と思いだした。
うちの母ならどうしただろう。あのうどんは袋に入った生麺にただおぼろ昆布が入っただけだった。味も覚えている。だしの素だけ、という感じ。母なら生麺でその都度買うのでははなく、乾麺でストックはある。なかったとしても一人分の麺の量を減らして、何か具を多めに入れて人数分作っただろう。今の私でもそうする。
知恵のない人だったと言うしかなかった。
実は、実家の近くのスーパーに行ったとき、その継母さんらしき人を見かけたのだった。やっぱり、ぼうっとしていて、暗い表情のまま年を取っていた。
あの友人もどうしただろう。高校時代、まだ中学生だったその友人の妹が「姉ちゃんが男を連れ込んで」とぼやいていたのだった。学力は底辺層、そして嘘つき。でも当時でも美人だった。いろんな家庭があるものだ。