人間に変身したペリカンと少年の心温まる交流を描く。少年・エミルは、離婚した母と都会のアパートへ引っ越す。ある日、同じアパートに謎めいた男が現われて…。
Pelikaanimies 2004年
感想
監督はリーサ・ヘルミネ。舞台は懐かしのヘルシンキ。
子供向け映画とあなどるなかれ。「人間は見たいものしか見ない」というのはなかなか含蓄に飛んだ言葉だった。
まず、ペリカン男(カリ・ケトネン?)がなかなかのイケメンの上に、ペリカンというか鳥類の動きそのものなのだ。
ペリカンは声帯模写が得意らしく、言葉をすぐに学んだ。学ぶ過程でおうむ返しで会話が成立してしまうというおかしさ。でも、それで十分成立することは現実にもある。「人間は見たいものしか見ない」というのと同時に「人間は聞きたいことしか聞かない」ということだろうか。(実際に、そういう喋り方をしすぎるといらいらするけれど。カウンセリングを学んだときにやりすぎるな、と言われた。確かに、どうもカウンセリングを受けているのだろう、と思われる友人に会ったときにおうむ返しで会話をされて悲しくなったのと同時に怒りを覚えたことがある。)
ペリカン男は博識。文字をエミールから学ぶと哲学的な鳥になってしまう。それでいて、電子レンジに時計を入れ、冷蔵庫には靴。冷凍庫には服を入れている。人間的に見ればバランスが悪い行動だ。けれど、その人間社会の「バランス」って?というわけか。