ジェイとサイレント・ボブは大親友。ある日、自分たちをモデルにしたメジャー映画が作られると聞き、2人は契約金をせしめようとハリウッドへ。しかしそんな金などもらえないことが判明し、脇役コンビは全力で映画を妨害しようとするのだった… 大勢のセレブ俳優がカメオ出演。ジェイとサイレント・ボブの繰り広げるアメリカ横断の旅には、まともじゃないキャラクターたちがノンストップで登場。ムードはさながら交通ルールの即席講座?
Jay and Silent Bob: Strike Back 2001年
感想
監督はケヴィン・スミス。
コンビニはもちろん、「クラークス」のコンビニだし、漫画家はもちろん「チェイシング・エイミー」のホールデン。「モール・ラッツ」の男はDVDショップで働いているようだ。ヒロインたちもラストにカメオ出演している。ベン・アフレックつながりで「グッド・ウィル・ハンティング」は「グッド・ウィル・ハンティング2 狩りの季節」で、ついでにガス・ヴァン・サントは金勘定に忙しい。「ドグマ」の「あのお方」も健在。
登場人物はジャスティス一味以外はケヴィン・スミス作品のセルフ・オマージュ、「グッド・ウィル・ハンティング」、「スター・ウォーズ」のセルフ・パロディ、ダムのシーンは「逃亡者」、とパロディ映画の域を出ない。「ジェイとサイレント・ボブ映画なんてクソだ」とがきにネットで書かれるのは確か、本当にケヴィン・スミスとPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)ファンとの間でネットで大喧嘩になったことを題材にしているのではなかっただろうか。
ここまで書けばわかると思うが、ケヴィン・スミス映画を見続けていなかったらすべてのシーンが楽しめるわけではないタイプの映画だ。内輪受けなの。「知っている」私には面白いのだけど、ちょっと不親切だな、と思わなくもない。ただ、笑えるシーンは比較的有名な映画のシーンの部分なので、最終絶叫計画シリーズの新しいもののように不親切なパロディではない。いちいち台詞を言った後にカメラを向いてみせるシーンがあったり、「笑えよ、はん?好きだろ?こういうの?」といわれているような気になる。笑えないわけではない、というよりも、2003年に日本公開時に劇場で見たが、その段階で「クラークス」以外は全部見ていたので腹を抱えて笑ったのであった。
それでも、評価するとなると、ちと辛くなるのは仕方がない。それは本気で体を張って笑いを取りに行く香港パロディコメディを見慣れたせいだろうか。香港コメディの「笑うところです!」というのは嫌いではないのだが、どうも本作のカメラ目線になるところがいけないらしい。