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妄想 diary

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亡き恋人にそっくりな男・レイと恋に落ちたウィニー。しかし、日が経つに連れウィニーの言動に異変が生じてきて…。

妄想 Diary 2006年

感想

監督は、オキサイド・パン。

これがまた、本当に恐ろしいんですよ。「ドリーム・ホーム」同様に好きなんだが、好きと言うと、趣味を疑われる。

非常に丁寧な丁寧な作りのホラーだ。しかも、「何が起こったか」を推測させるだけで明確にさせない。「その後」というように文字でも説明しないので余計に恐ろしい。「面白いホラーだよ」とお勧めすると悪趣味きわまりない人だと思われかねないが、結構好きなホラーだ。

タイトルの「妄想」だけで、シャーリーン演じるウィンナに精神疾患があることはわかるし、妄想症の説明と明らかな妄想(作った人形が巨大化して動く、など)があるのでほとんどネタはわれてしまっているが問題はない。二度三度と似たシーンやモノクロによるフラッシュバック(カラーのシーンとはセリフが異なる)があるせいで、見ているのはウィンナの妄想の世界なのか、「事実」なのかわからなくなってくる。

一時間くらい妄想に付き合わされ、それからタネが明かされる。

日本ではさほど話題にはなっていない映画なので、盛大なネタバレなのでお気をつけて。
印象的に使われるのが「料理のシーン」それに続く「今夜は○○よ、と電話をするシーン」「床を磨くシーン」、そして「何かを刻む音」、「人形」の五つだ。シャーリーンがいつも代わり映えのしないキャミソールなのもうまく時系列を誤解させていて丁寧だ。

時系列を並べる、という野暮なことをしてみよう。
①センクワンとの争いと別れ
②悲しみの中、何年も「人形」作りをしてライイーとセンクワンを呪う
③センクワンとそっくりなワイホウに出会ってしまい、ストーカーになる
④ワイホウを引きずり込み、食事に毒を混ぜ、監禁する
⑤ワイホウとの妄想の混じった生活をする
⑥ワイホウが衰弱する
⑦食べない(食べられない)ワイホウに激高する
⑧ワイホウを手にかける
⑨ワイホウを料理して食べる
⑩逮捕
だろうか。

⑨は描かれてはいない。だが、何度も何度も料理のシーンが出て、一番長いであろうオープニングからの料理のシーンは魚のうろこをおとしたり、魚料理をするのだと思わせるが、赤い肉もミンチにしている。このシーンは断片も含めて何度も何度も出てくるので、また料理をしているな、と思わせられるのだが、「ワイホウは殺されたのだと考えています」という警察の言葉から、ワイホウの死体は出てこないことがわかる。何度も何度も出てくる料理シーン、肉を刻むような音はおそらくワイホウを料理しているシーンなのだが、「ウィンナの妄想」というか「ウィンナの認識」では別の食材を料理しているのだろう。と受け取った。

そして人形。人形は昔から苦手だ。気持ちが悪いのだ。とくに精巧な人形は不気味だ。動かない人のようだからだろうか。結局、ウィンナは欲しい男、センクワン=ワイホウを人形にしてしまったのだ。ああ、怖い。

シャーリーン・チョイの「ウィンナ」の不気味さ、気持ち悪さは一見の価値がある。シャーリーンと言えば、ツインズ映画だし、単体では「カンフーダンク」だったり「新香港国際警察」だったりと俳優メインで見るのでほとんど気づかないのだが、シャーリーンをメインに据えて見ると、良い女優さんだと気づかされる。この人はいつもの「元気娘」だけではなく、こういう内気でかつ狂った人を丁寧に演じられたんだ。香港映画は(少なくとも日本で見られるものの多くは)俳優メインの映画が多いと思う。そのせいでシャーリーンの出演映画は本数が多くても幅は狭買ったのではないかと思う。スキャンダルを乗り越え、もっと幅を広げていって欲しい。

もう一人、イザベラ・リョン。ラスト、シャーリーンの再登場からのどんでん返しを生かすことのできた女優さんはなかなかいないだろう。本作はとにかくイザベラにつきる。ただ、イザベラはシャーリーンよりもかなり若いのでそれだけが不自然だった。

いつもは女優が花瓶な香港映画だが、これはショーンが花瓶。この頃のショーンは綺麗だったなあ。
なぜかショーン・ユーは映画の中で結構ひどい目に合わされているのだが、今回もしかり。縛られてみたり、血みどろにされるのはよくある(ないっけ?血みどろはデフォじゃない?)のだが、今回の見所は、炒め物に床磨きをさせられるショーンの手つきのぎこちなさ。油をしいていないらしく、「油抜きで炒めるの?」と言われるくらい。演出のせいか、本当にできないのか不明だが笑ってしまった。香港男子って料理もできそう、と思ったが、香港の人たちは食べに出るから料理しないんだった。

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