昭和40年、エネルギー革命により閉鎖が迫る炭鉱のまち。そこでは北国をハワイに変えようという起死回生のプロジェクトが持ち上がっていた。目玉となるのはフラダンスショー。誰もが見たことがなかったフラダンスを炭鉱娘に教えるため、東京からダンサー平山まどかが教師としてやってきた。旬を過ぎ、しがらみを抱えるが故に、最初は嫌々ながら教えるまどかだったが、生きるためにひたむきに踊る少女たちの姿に、いつしか忘れてかけていた情熱を思い出してゆく。しかし肌を露に腰蓑をつけるなど恥とされた時代、世間の風当たりは冷たく、教える相手は全くのド素人。果たして常夏の楽園は誕生するのか?オープンの日は迎えられるのか?
2006年
感想
監督は李相日。
スタンダードなストーリー展開だが、それがいいのだろう。安心してみられる映画である。それも、偽善的な話ではない。ヤマの男は仕事を失い、落盤事故で死ぬ。女のマフラーは穴があいている。
劇中のいろんなもののフォントなんか本当に時代がかっている。松雪泰子の髪型も。時代を超越しているのは蒼井優だが。いつもの芋っぽさというか、ファニーフェイスぶりがそのまま高度成長期の時代にマッチしているのだ。
ストーリーはさておき、気になったことが一つある。
時代は昭和40年代なのだ。ヤマが閉山しようが、規模を縮小しようが、工場を誘致する、という話はなかったのだろうか。ハワイアンセンターは良いアイディアだが、ヤマほどの経済効果はない。むしろ、ヤマの経済効果が反映されるところがハワイアンセンターではないか。
実際にはハワイアンセンターは現在まで続いている。バブル期の日本に雨後の筍のように産まれ、10年も断たないうちに潰れていった奇妙なテーマパークとは違う。その意味では「良かった」のだが。けれど、「万事上手く行」っただろうか?町おこしで規模は違えど何かのテーマパークやイベントを用いようとすることは今でもよくあることだ。その中、常磐ハワイアンセンター並みにできたところはあるだろうか?ハワイアンセンターが今でも残っていても、決して磐城は上手く行ったとはいえないし、ハワイアンセンター並みになれたところもほとんどない。